音の良いイヤホンを買うには、ひと昔前までは最低でも1万円を出す必要がありました。
ところが近年は、5000円前後の低価格帯のイヤホンにも十分に音が良く個性があると感じられるイヤホンが多数出てきています。
TRIPOWIN Piccoloも、そのうちのひとつです。高い透明度と解像度を誇る低価格帯のイヤホンとして、徐々に注目を集めてきています。
今回は、そんなTRIPOWIN-Piccoloの特徴や音質、使い勝手などについてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
目次
TRIPOWIN-Piccoloのスペック・デザイン
まずは、TRIPOWIN-Piccoloのスペックとデザインについて、簡単に紹介していきます。ビルドクオリティのレビューも兼ねているので、気になる方はぜひご参考ください。
スペック
- ドライバー:11mmデュアルキャビティLCPダイナミックドライバー
- 感度:106dB±3dB
- インピーダンス:31Ω
- コネクター:0.78mm 2ピン
- ケーブルプラグ:3.5mm
- ケーブル:高純度着脱式2ピンケーブル
- ケーブルの長さ:1.2m±5%
- 価格:35.00USD(約4600円)
高級イヤホンなどと比べると、スペックに書ける内容が少なくシンプルに思えます。
ただ、十分に特徴的です。
ドライバーは低価格帯にありがちなダイナミックドライバー1基構成ではなく、少し特殊なドライバーを採用しています。そのうえ2基構成なので、ほかの低価格帯のイヤホンと比べるとパワフルさが期待できるのも特徴的です。
さらに、ケーブルが着脱できるなど高級イヤホンに採用されがちなギミックも備わっています。
再生周波数とかは?
あや
よしぞー
販売ページとかには書かれてないけど、20Hz~20kHzは問題なく出てるよ
デザインとビルドクオリティ
TRIPOWIN Piccoloは、少し変わったデザインが特徴です。
表面には波打っているような加工がされており、これが印象的な模様になっています。好みは分かれる可能性があるものの、シンプルなデザインが多い同価格帯のイヤホンと比べると特別感があるのが魅力です。
さらに、ビルドクオリティも価格と比べると高め。
どういうところが高いの?
あや
よしぞー
まず素材だね
本機はプラスチックではなく、金属製です。
この価格帯のイヤホンで金属製は、非常に貴重。そのうえで破綻もなく、加工が粗い部分も見られません。ビルドクオリティは、値段以上に高いです。
パッケージ内容
- 本体
- ケーブル
- イヤーピース×3サイズ
- 説明書+合格証
パッケージ内容は、非常にシンプルです。
ただ、価格帯と比べると十分な同梱物だと言えます。
本体とケーブルはもちろんのこと、イヤーピースが3サイズ付属。付属するイヤーピースは良い意味で癖が無く、一般的なタイプになっています。購入してすぐ使い始められるようになっており、性能を発揮できるように作られているのがポイント。
パッケージのデザインも、安っぽさはあまり感じられません。
TRIPOWIN-Piccoloの特徴
TRIPWON Piccoloのスペックとデザインなどについて、紹介してきました。ビルドクオリティが高いのが特徴であり魅力でしたが、ほかにもスペック一覧だけでは語れない特徴があります。今度は、そんなTROPWIN Piccoloの特徴を紹介していくので、ぜひご参考ください。
第3世代LCP振動板を採用
TRIPOWIN Piccoloには、第3世代LCP振動板が使われています。
どういう振動板なの?
あや
よしぞー
高音域が刺さりにくいのが特徴かな
高音域は、解像度を高めると音が耳に刺さるような感じになりやすいです。耳に刺さる感じがすると、長時間聴くのが辛くなってしまいます。
一方本機に搭載されているLCP振動版は、高音域の刺さりを除去するのに役立っているのが特徴です。
理由は、ポリマーフィルムシートを結晶化して架橋させる加工を施していること。同時に振動版の性質に合った素材を使うことで、高音域の刺さりを除去しています。
そのうえ、振動版の応答性が高く、全高調波歪みも低減されているのが特徴です。
高純度のOCC鋼ケーブルで低歪
TRIPOWIN Piccoloは、高純度のOCC鋼ケーブルを採用しているのも大きな特徴です。そもそも、5000円前後の価格帯で、ケーブルにまでこだわるイヤホンはなかなかありません。
ケーブルにこだわるとどうなるの?
あや
よしぞー
イヤホンの持つ特性を最大限活かせるようになる
イヤホンの設計に合ったケーブルを使うことで、イヤホンの実力を引き出しやすくなります。メーカーがケーブルにこだわるのは、そのためです。
本機はOCC鋼ケーブルにより、力強い低音を表現できることと合わせ、歪みが少ないクリアな音を表現しています。
リケーブル対応
TRIPOWIN Piccoloは、ケーブルにこだわっているだけでなく、リケーブルに対応しているのが特徴です。
リケーブルとは、ケーブルの交換のこと。ケーブルを着脱して、対応する規格の異なるケーブルを使えます。本機は2ピンという一般的な規格なので、合うケーブルが多いです。
ケーブルを交換することにより、自分好みの音にしやすかったり異なる性質の音を楽しめたりするのが良いところ。
つまりどういうこと?
あや
よしぞー
安い割には遊びがいがあるイヤホンだってこと
TRIPOWIN Piccoloの良いところをレビュー
TRIPOWIN Piccoloの特徴について紹介しました。
ただ、音質や使い心地などについてはスペックや特徴だけではわかりません。そこで今度は、TRIPOWIN Piccoloの音質面・使い勝手面の良いところについてレビューしていきます。
解像度が高くクリアな中音域
TRIPOWIN Piccoloは、中音域の音が特に良いです。
全体的に高解像度系の音が特徴ですが、中音域が特に解像度が高く感じます。ボーカルとギターサウンドの再現性が高く、聴いていて楽しいです。
それでいて音がクリアなので、非常に聴きやすく感じます。解像度の高さとクリアさとを含め、女性ボーカルを聴くのに向いている音質です。ギターの音も良いので、ガールズバンドの曲や女性シンガーのアニソンなどとの相性が良い音だと言えます。
力強くもニュートラルな低音域
中音域単体のクオリティが非常に高いですが、低音域も負けてはいません。
TRIPOWIN Piccoloの低音域は、力強くもニュートラルなのが特徴です。
たとえばドラムキックにはしっかりとした重みがあり、ベースは引き締まっているような空気感のある音になっています。低音は強めではあるものの、ドンシャリではなく中域を立たせるために強くしているという印象です。
立たせるため?
あや
よしぞー
低音がある程度主張することで、中域を際立たせてるんだ
刺さりが無く聴きやすい高音域
TRIPOWIN Piccoloの高音は、刺さりが無く聴きやすいのが特徴です。
先述のように、ドライバーの設計から高音の刺さりを無くすように作られています。それでいて原音再現性が高いので、解像度を高めながら刺さりを無くしているのが好印象。高域の艶やかさも、しっかりと感じられます。
バイオリンの音などは特に伸びが自然に感じられるので、相性がいいです。
結局どういう音なんだろう
あや
よしぞー
中域メインで、全体的なバランスを取ってる感じかな
耳にかけやすいケーブルで装着感が良好
TRIPOWIN Piccoloのケーブルは、耳にかけやすい形状をしています。いわゆるシュア掛けと呼ばれる着け方を前提にしており、ケーブルの固くカールしている部分を耳に引っかけて装着するスタイルです。
同価格帯のイヤホンだと、このカール部分が無い製品が多い傾向があります。そのため耳に引っかけにくく、歩いていると落ちやすいのがネック。
一方TRIPOWIN Piccoloはしっかりと耳にかけて保持できるので、歩いている程度では落ちにくいです。
さらに、装着時の快適性も良好。重量は金属製のため少々重いですが、長時間着けてもあまり疲れません。
音の立体感と質感の再現度が高い
TRIPOWIN Piccoloの音の定位や質感に関しては、「定位はそれほどだけど質感は高い」という印象です。
まず、音に立体感がしっかりと感じられます。じゃあ定位が正確かというと、必ずしもそうとは限りません。本機は定位感の正確性自体はそこまで高くはないものの、音を立体的に感じさせる工夫がされています。
つまりどういうこと?
あや
よしぞー
正確じゃなくても立体的で楽しいってことかな
そして、音の質感の再現度は非常に高いです。定位感の正確性は低くなければ高くもないといったところですが、質感の再現度が高いため全体的な音の立体感の再現度は高いように感じられます。
音像がしっかりとしている音、というイメージです。
イマイチなところ
ここまで、TRIPOWIN Piccoloの良いところについてレビューしてきました。音に関しては褒める部分が多く、装着感も良いです。とはいえ、イマイチなところが無いわけではありません。
そこで今度は、TRIPOWIN Piccoloの人を選ぶと感じる部分やイマイチに感じられる部分について、レビューしていきます。
高域が刺さりにくい一方控えめ
TRIPOWIN Piccoloの高音域は、刺さりにくい一方控えめな印象を受けます。
低音域と中音域に比べると、明らかにパワーが低いです。全てを強めに調整するとまとまりがなくなるので、全体的なバランスを保つためには必要なことではありますが、高音域が好きな方には物足りない可能性があります。
ただ、この調整のおかげで刺さりにくいという側面もあるので、一概に悪いということではありません。
分離感が若干低め
TRIPOWIN Piccoloの音の分離感は、若干低めです。
全体的に一貫性のある音ですが、若干締まりが悪い部分もあります。そのためか分離感が低く感じ、たまに音がごちゃっとするのが難点です。
分離感?
あや
よしぞー
1つ1つの音がどれだけ分離してるかってこと
分離感が高いと、ボーカル・ギター・ベースなど各パートの音を個別に聞き分けられるようになります。一見音がバラバラに感じそうなものですが、分離させながらまとまりを持たせることでより音がまとまった印象を受けるものです。
一方本機は全体的なバランスは良いものの、分離感が低めなので時折ごちゃごちゃとしたように感じます。
特に、フルオーケストラのような楽器数が多いジャンルの音楽を聴くと、ごちゃごちゃと不快に感じられる可能性があるので注意が必要です。
解像度は高いがディティールは出にくい
TRIPOWIN Piccoloは、全体的にディティール不足感があります。
低音はインパクトがあるものの、深くずっしりとしたような細かい感じが出にくいです。たとえばじっくり聴けば暗く感じるような音が、少しだけ明るい雰囲気になることがあります。
中域は最もディティールが出ているものの、若干輪郭が薄いのでごちゃごちゃする印象です。
高音域は、最もディティールが出にくくなっています。高音の繊細な響きはあまり感じられず、どちらかと言えばギラギラした音になっているのが特徴です。
これ、単純な良し悪しの話?
あや
よしぞー
ん−…細かい音や空気感まで拾いたいという人にはデメリットだよって話
TRIPOWIN Piccoloの音質の総評! どんな方におすすめ?
ここまでTRIPOWIN Piccoloの音質などについて、レビューしてきました。
本機の音は、総じてバランスが良いのが特徴です。中域を中心に据えて、中域を際立たせるために調整しているのがよくわかります。低域は若干の主張を持たせ、高域は潜ませることによってバランスを取っているのが特徴です。
全体的に聴いていて不快感もあまりなく、ジャンルによる相性はあるものの、聴きやすい音質になっています。
ここまでの内容を踏まえると、TRIPOWIN Piccoloは、以下のような方におすすめです。
- 作業中BGM用のイヤホンが欲しい
- 低価格で音質が良いイヤホンが欲しい
- 低価格でフラットな音質のイヤホンが欲しい
本機の音質傾向は、音楽を聞き流すのにぴったりです。聞き流すと言っても悪い意味ではなく、作業をより快適にかつ楽しく行えるように音楽で盛り上げることができるということ。それでいて変に意識させられるような音でもないので、非常に快適です。
さらに、本機は低価格帯のイヤホンの中では音質がかなり良い部類に入ります。そのうえ、低価格帯では珍しく比較的フラットな音です。
低価格帯でなるべく音質が良いイヤホンを探している方や、安くフラットな音質のイヤホンを探している方の需要にも応えられます。
まとめ|音のバランスが良いコスパ最高イヤホン!
ここまで、TRIPOWIN Piccoloについて、さまざまな面からレビューしてきました。
4000円台とは思えないほどの特徴を持っており、色々な面で楽しめるイヤホンです。作業中に音楽を楽しむ用途にも向いていますし、変換ケーブルを使ってスマホなどでじっくり音楽を楽しむのにも十分使えます。
リケーブルも可能で、気軽に色々遊べるのも良いところです。
入門用イヤホンとしても、最適。
低価格で使いやすく音も良いコスパの高いイヤホンに興味がある方には、非常におすすめです。