2022年3月15日に、アメリカのメタ社(旧フェイスブック社)がインスタグラムでNFTを扱えるようにするという計画を発表しました。
これは2021年に情報がリークされており事前に予測していた人もいた内容なので、本当に計画されていたことに驚いた人もいるかもしれませんね。
ただ、インスタグラムにNFT機能が付くと言っても、イマイチよくわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、メタ社の発表内容と、NFTの特徴、インスタグラムにNFT機能が付くメリットなどについて紹介していきます。
目次
InstagramがNFT機能の開発を発表! その内容とは
マーク・ザッカーバーグCEOが、数ヶ月以内にインスタグラムにNFT関連の機能をいくつか導入していくという方針を発表しました。
NFTは、メタ社が力を注いでいくことを宣言している仮想空間の一種「メタバース」と親和性が高いです。実際に、NFTを扱える機能を持つメタバースが多数登場しています。
つまり、足がかりってこと?
あや
よしぞー
だろうと考えられるね。将来的にNFT×メタバースを推進するためだろうなあ
まずは自社が既に持っている人気サービスに、NFT機能を付けることでテスト的な意味合いもあるでしょう。
詳細は正式に発表されていませんが、以前リークされた情報によるとインスタグラムの投稿をNFTに転換して取引できるようにするということが語られていました。
SNSにNFT機能を付けるのであれば、このような投稿をNFT化する機能が実装される可能性が非常に高いです。
実際、先日の発表でも「いずれはインスタグラム内でNFTを発行・作成できるようにする」と語っています。
これを「投稿をNFTとして発行すること」と捉えることもできますし、「インスタグラム内にNFTプラットフォームを作る」と捉えることもできるでしょう。
また、その前に何らかの機能を数ヶ月以内に加えるとしています。
段階的にNFT機能を強化していくとのことで、NFTに注目が集まる昨今、この動きもまた注目されているということです。
そもそもNFTとは? 技術面をわかりやすく解説
ここまで、NFTという言葉を当たり前に使ってきました。ただ、中にはNFTが何かがよくわからないという人もいるでしょう。そこで、そもそもNFTとは何かということについて、わかりやすく解説していきます。
NFTの語源
NFTという言葉は、「Non Fungible Token」の略です。これは、日本語で非代替性トークンと訳されます。
非代替性というのは、簡単に言うと替えがきかないということです。代替性があるものと、非代替性があるものの例について箇条書きで紹介します。
代替性があるもの
- 通貨
- フリー素材
- あらゆるデジタル画像
非代替性のもの
- カードゲームのイラストの原画
- 直筆サイン入りの書籍や記念品など
- 世界に一つしかないような物品
トークンというのは、ブロックチェーン技術を使って発行される暗号資産の総称です。
まとめると、NFTの語源・意味は「替えがきかない物であることをブロックチェーン技術によって証明するもの」だということになります。
NFTに使われるブロックチェーン技術とは
ブロックチェーン技術というのは、簡単に言えば改ざん困難な電子領収書を作る技術みたいなものです。
たとえばNFTアートを販売したとします。
すると、販売日時・発行枚数などの販売データがブロックチェーンに記録されるんです。取引があった場合は、取引相手と取引額などの情報も記録されます。
これらの情報が全て「紐付けられた状態で」保存されるのが、肝です。
さらに、NFTは買ったものを他の人に売ることができます。
AさんがBさんに売って、BさんがCさんに売ったとしましょう。
通常の買い物の場合、「Aさん→Bさん」「Bさん→Cさん」の取引の流れを一連の流れとして記録することができません。それぞれが別の取引として記録されるため、取引の流れを追うのが難しいです。
そのうえ、Cさんが取引履歴を改ざんしようとしたら、簡単に改ざんできます。「Bさん→Cさん」の履歴だけを変えればいいのですから。
一方ブロックチェーンを使うと、「Aさん→Bさん→Cさん」の取引を全て一連の流れとして記録できます。
これにより、改ざんするには全てのデータを変えなければならなくなるんです。
これが、改ざんが難しいってことなのね
あや
よしぞー
そうだね、そして替えがきかないということにもつながるんだ
また、先程「替えがきかないものであることをブロックチェーン技術で証明する」と説明しました。
ブロックチェーンにはあらゆる販売データが記録されており、購入した人によって「購入日時」「購入者の情報」などが全て異なります。自分がそのNFTアートの所有者であることを証明してくれるようなものです。
これが「替えがきかないことを証明してくれる理由」になります。
まとめ:NFTはデジタルデータの改ざん困難な領収書
ここまでの内容をまとめると、NFTはデジタルデータの売買の際に付属する改ざん困難な電子領収書のようなものだと言えるでしょう。
NFTとして販売されているイラストなどのデータ自体が特別なのではなく、NFTという仕組みが特別だということです。
ただ、これによってコレクターにとってはデジタルデータに所有感が生まれるなど、メリットがたくさんあります。
このNFTをインスタグラム内で発行できるようにするというのが、先日メタ社が発表した内容ということです。
NFTとSNSが関わった事例を紹介!
インスタグラムにNFT関連の機能が付くと発表されましたが、イメージしにくい人もいるでしょう。そこで、インスタグラムではないもののNFTとSNSが関わった事例をいくつか紹介します。
SNSの投稿がNFTで販売され数億円になった
2021年3月22日に、Twitterの運営会社のCEOによる世界初のツイートが約3億1,500万円で売却されました。
世界初ツイートをNFT化して、3億円以上の値段が付いたということです。
現在はもう総ツイート数が数え切れないほどにあるSNSでの初投稿という価値と、運営企業CEOの投稿という価値があるとはいえ、それだけでは3億円の値段にはなりません。
能動的に見つけようと思えば見つけられるでしょうし、それをスクリーンショット等で保存しておけば良いわけですから。それをツイートして不特定多数にばらまくこともできてしまいます。
よしぞー
SNSの投稿をNFTにするとどうなるかがわかる例だね
金額的には極端な例だけど
あや
NFTアートをSNSのアイコンにできる
NFTプラットフォームで購入したNFTアートを、SNSのアイコンにしている人もいます。NFTアートは基本的に唯一無二の価値を持つものです。
個性的な作品も多数あります。
つまり、自分自身を示すアイコンとしてはとても相性が良いです。実際に、NFTアートをアイコンにしてからフォロワーが増えたという人もいます。
どうしてNFTアイコンにするんだろう?
あや
よしぞー
個性的なアイコンにしたいけど自分じゃ作れない人にとっては、ピッタリなんだと思うよ
さらに、「自分はこんなに良い作品を持っている」「凄いNFTを持っている」ということが自信にも、アピールにもつながるでしょう。高額な作品を持っていれば、経済力を示す根拠にもなります。
自分自身を出さず見せずが基本だった昔のSNSと違い、現在のSNSは自分自身を出してなんぼというところがあるでしょう。
人となりが評価され、フォロワー数に繋がります。ネットはリアルが見えにくいからこそ、内面がより注視されるためです。
そんなネットの現状とNFTのアイコンが合致しており、今後もNFTアートをSNSのアイコンにする人や、NFTをアイコンに使えるSNSは増えていくかもしれませんね。
InstagramにNFT機能が付くメリットとは? 価値や魅力を考える
インスタグラムにNFT機能が付くということでしたが、具体的にそれで何がどう変わるのか、どんな価値・魅力が生まれるのかがわからないという人もいるでしょう。先程紹介した他のSNSの事例も踏まえて、インスタグラムにNFT機能が機能が付く魅力について説明します。
ユーザーがより「発言」の価値を考えるようになる
仮にインスタグラムの投稿をNFT化できる機能が付くとしたら、ユーザーがより「発言」の価値・重さを考えるようになるのではないかと予想されます。
投稿をNFT化できるとなると、自分の投稿が収益を生むツールになります。
収益を得るためには、人に好かれたり価値を感じてもらえたりする投稿をする必要があるでしょう。そうなると、「より面白い投稿を」「より価値のある情報を」という意識がユーザーに生まれやすくなります。
そして、ユーザー全員にとってより役立ち、楽しめるサービスになる可能性が高いです。
よしぞー
ただ、慎重さが無いと面白い投稿というのを過激な投稿にすり替えてしまう人もいそうだね
良くも悪くも、より発言が重くなるってことね
あや
インフルエンサーの収入源が増える
インスタグラムからは、インフルエンサーという影響力を持った人が大勢生まれています。その中にはYoutubeを始める人もいたり、テレビに出たり雑誌のモデルになったりする人もいますよね。
インスタグラムにNFT機能が付くことによって、インフルエンサーの活動の幅と収益源が増えます。
投稿をNFT化する機能であれば、単純な収益源の増加です。
インスタグラム内で様々なNFTアイテムを販売できるようにする機能であれば、インフルエンサーたちが自分で手掛けたNFTアイテムを販売できるようになるでしょう。そうなると、ファンにとっても「推しが手掛けたものが手に入る」という恩恵が得られます。
前者か後者、より盛り上がりそうなのはどっちだと思う?
あや
よしぞー
SNSの機能としては前者のほうが納得度が高いけど、盛り上がるのは後者かなあ
NFTがより身近になり活用の幅が広がる
インスタグラムでNFTの発行ができるようになることで、NFTがより身近な存在になるでしょう。
現在、NFTが流行っていると言っても一部界隈のみでの流行といったところです。具体的に言えば、投資家・資産家がメインとなっています。
一般の人は「よく分からない」「ハードルが高い」「金額が高くて手が出せない」というイメージがあり、興味があっても身近とは言えないために触れられていないという現状です。
ところが、利用者が多く身近で気軽に活用できるインスタグラムにNFT機能が付くことによって、NFTがより身近なイメージになります。
NFTが身近になることで、これまでは一般消費者には縁遠いと思われていたためにNFT関連事業に手を出さなかった企業も、手を出すようになる可能性があるでしょう。そうなれば、NFTの活用の幅が広がりますよね。
普及しはじめると、不自然に値段が高騰するようなことも少なくなり、相乗効果のようにより盛り上がっていくのではないか、と考えられます。
最終的にメタバース×NFTもより盛んになる可能性がある
インスタグラムにNFT機能が付くことによって、最終的にメタバースとNFTとの連動も今より盛んになる可能性が高いです。
メタ社はメタバース×NFT事業の足がかりとして、まずは既存かつ身近のサービスであるインスタグラムで始めると発表しています。これは試験的にNFT事業を行うという意味合いもあるでしょうが、まずはNFTをより身近なものにするという意味合いもあるでしょう。
メタバースは注目されていますが、基本的には既存のオンラインゲームと大差無い部分があります。特にVRを使わずにパソコンだけでアクセスする場合、その感覚は強いです。
たとえばFF14では、土地を買ったり家を建てたりすることができます。仮想空間で生活するかのような楽しみ方も、人と交流する楽しみ方も可能です。実際にそうして楽しんでいる人は、大勢います。
メタバースが既存のオンラインゲームと異なるところをアピールするのに、NFTが使われている印象です。NFTアイテムは規格さえ一致していれば、一つのアイテムを色んなゲームに持ち込むことができます。
こういうメタバースとNFTならではの部分が、NFTがより身近になると強化されるでしょう。メタバースもどんどん跳ねていく可能性が高いです。
メタバースが好きな人にもメリットがありそうね!
あや
よしぞー
ゲーム業界の可能性も広がりそう
インスタグラムのNFT機能はまだ未定! 実装を楽しみに待とう
インスタグラムのNFT機能は、まだ詳しいことは未定です。メタ社の全体方針としてメタバースに力を入れるということで、まずはメタバース事業をする上で重要になるNFTを身近なサービスに導入するという流れになっています。
これで変わることもあれば、変わらないこともあるかもしれません。
いずれにせよ、数ヶ月以内に何らかの機能が加わるということで、実装を楽しみに待ちましょう。