Marshall MOTIF II A.N.C.は、有名ギターアンプメーカーが2023年10月に発売したノイズキャンセリング対応ワイヤレスイヤホンです。
2022年1月に発売されたMOTIF A.N.Cの後継機にあたります。前モデルと比べて、機能などさまざまな点を改良しているのが特徴です。
ただ、決して安いイヤホンではありません。購入前には、特徴をしっかりと把握し、自分に合う製品かどうかを見極めるのが大切です。
そこで本記事では、Marshall MOTIF II A.N.Cの良いところと気になる点について、レビューしていきます。
メーカー様から製品提供をいただきレビューしています
目次
Marshall MOTIF II A.N.Cの基本仕様
MOTIF II A.N.Cの良いところなどについてレビューする前に、まずは本機の基本仕様を簡単に紹介します。基本的なスペックや、外観、付属品などについて知りたい方は、ぜひご参考ください。
基本スペック
- 形式:ダイナミック型
- 通信方式:Bluetooth 5.3 LE
- 対応コーデック:SBC/AAC/LC3
- ドライバーサイズ:6mm
- 連続再生時間:約6時間(ANCオン)/約9時間(ANCオフ)
- 充電ケース使用時:約30時間(ANCオン)/約43時間(ANCオフ)
- フル充電時間:約1.5時間(イヤホン)/約1.5時間(充電ケース)
- 再生周波数帯域:20Hz〜20kHz
- 重量:約4.31g(イヤホン片耳)/約47.1g(充電ケース)
- インピーダンス:16Ω
- 防水:IPX5(イヤホン)/IPX4(充電ケース)
以上が、Marshall MOTIF II A.N.Cの基本的なスペックです。
まず、通信方式がBluetooth 5.3 LEになっているのが特徴的。前モデルは、Bluetooth 5.2でした。5.3 LEに変更されたことにより、LE Audio使用時の転送データ量が増えて消費電力が削減されているのがいいところです。
さらに、対応コーデックもSBCのみだったのがAACとLC3が追加されています。特にAACに対応したことによって、より使いやすくなりました。
前モデルから結構進化してるんだね
あや
よしぞー
基本的な機能とか性能とかがアップしてるよ
そして、充電ケース使用時の連続再生時間も長いです。前モデルでは20時間だったのが、30時間になっています。
外観
MOTIF II A.N.Cの大きな魅力の一つが、デザインです。
ケースは、マーシャルのギターアンプのようなデザインになっています。ロゴの位置、シワが寄っている革のような衣装と質感、さまざまな点でマーシャルアンプを意識しているのが面白いところです。
そのうえ、グリップ感があるので滑りにくく、ポケットから出した拍子に落としにくくなっています。
さらに、前モデルにあったケース開閉部の金色の印字がなくなり、シンプルになったのも特徴です。
そして、イヤホン本体にも高級感があります。
耳から出る部分が、どことなくギターのシールドの端子部分のようなデザインなのが特徴的。底の部分が前モデルでは黒だったのが、ゴールドになったのも魅力的です。
付属品
- イヤホン本体
- 充電ケース
- USB Type-Cケーブル(約20cm)
- イヤーチップ(S/M/L各1ペアずつ)
- 取扱説明書
2万円超えの高級イヤホンとしては、シンプルなパッケージです。
必要最低限の付属品といった印象ですが、それぞれのつくりが良いので納得感があります。
付属品を豪華にしてコストを上げるのではなく、付属品は簡素にしてイヤホン本体とケースを作り込んでコストに見合う製品にするといった意識が感じられるつくりです。
Marshall MOTIF II A.N.Cの良いところをレビュー
Marshall MOTIF II A.N.Cのスペックと外観、付属品について解説してきました。今度は、MOTIF II A.N.Cの良いところについて、レビューしていきます。本機の音質、機能のどこが優れているのか気になる方は、ぜひご参考ください。
ロックに合う中毒性の高い音質
イヤホンにとって特に重要な音質は、マーシャルがギターアンプメーカーなのを実感するような音になっています。
まず、低音域が丸みを帯びているように感じられるのが特徴的です。優しい味付けで、中音域・高音域の邪魔にならず、土台としてしっかりと機能しているような印象があります。あくまでも土台に徹しており、バランスがいい音です。
続いて、中音域が非常にクリアなのがいいところ。ボーカルがクリアで、なおかつ近くに聞こえます。ギターの音も聞こえやすく、生々しさのあるかっこいい音が鳴るのが特徴です。
さらに、中高音域から高音域あたりがしっかりと前に出ています。
これらの音質傾向が合わさって、全体を通して迫力があるアタックの強い音になっています。歯切れが良いので、邦ロック、洋ロック、アニソン、ゲームBGMなどとの相性がいいです。
ついついボリュームを大きくして、聞き入ってしまうような中毒性の高い音に仕上がっています。
ボリュームを大きくしたらうるさくならないの?
あや
よしぞー
それがね、不思議とうるさいと感じないんだよ
定位感に優れており音の位置を聞き取りやすい
MOTIF II A.N.Cは定位感が良く音の位置を聞き取りやすいのも特徴です。
左からなのか右からなのか、手前からなのか奥からなのかなど、音の発する場所がしっかりと伝わってきます。
合わせてそれぞれの音がしっかりと分離されて聞こえてきますので、オーケストラなど大人数で演奏するような音楽も十分に楽しめます。
LE Audioに対応できる
MOTIF II A.N.Cは、Bluetooth 5.3 LEに対応しています。
LEというのは、Low Energyの略です。消費電力が低い通信規格だということになります。LE Audioを使うと、電力効率が良くなりバッテリー消費が少なく済むのがいいところです。そのうえ、伝送の安定性が高くなり音が途切れにくくなります。
さらに、音質も向上するのがいいところです。
めちゃくちゃいいじゃん!
あや
よしぞー
スマホやDAPも対応してる必要があるけどね
2024年2月現在、LE Audioに対応したスマートホン・DAPは少ないので今後を期待しましょう。
マルチポイント対応
Marshall MOTIF II A.N.Cは、マルチポイントに対応しています。
マルチポイントというのは、複数機器とペアリングして、瞬時に接続を切り替えられる機能のことです。たとえばスマホとDAPの両方とペアリングして、音源によって切り替えて使うのに便利。
音楽はDAPで楽しんで、配信コンテンツなどを聞きたいときはスマホでというような使い分けができます。
近年はマルチポイントに対応する機器が増えていますが、前モデルは対応していませんでした。需要が高い機能なので、ここが改善されたのが、本機の進化点でも特に大きなポイントだと言えます。
私はプライベート用のスマホと業務用のスマホを使い分けていますが、両方に接続しておけば、プライベート用スマホで音楽を聞きつつ、業務用のスマホで電話が鳴った時すぐに気づけて通話できるという便利さがあります。
アプリの機能が便利
Marshall MOTIF II A.N.Cは、アプリを使ってさまざまな設定ができます。このアプリの設定機能が、非常に便利で使いやすいです。
- ノイズコントロール(ANCオン・オフ、TRAトランスペアレンシー設定)
- イコライザー設定
- タッチコントロールのカスタマイズ
- 操作音オンオフ
- 自動再生・停止の調整
- バッテリー保護機能
- Spotify Tap
ANCとトランスペアレンシーは、レベルを低・中・高で調整できます。トランスペアレンシーは、簡単に言えば外部の音を取り込む機能のことです。
タッチコントロールについては、標準・ミニ・オフにカスタマイズできます。タッチコントロールを完全にオフにすることもできるので、場面によって使い分けると便利です。たとえば寝転びながら使いたい場合は、タッチが誤作動を起こすことがあるため、オフにすると使いやすくなります。
さらに、自動再生と停止もオンオフで切り替えて調整できるのがいいところです。
そして、バッテリー保護機能として3つの機能が用意されています。
- 最大充電制限(充電を90%までに制限する)
- 充電スピード(充電速度を調整する)
- 温度制限(室温状態の場合のみ充電する)
この3つの機能を使って、バッテリーを保護しつつ寿命を伸ばせるのがいいところです。
圧迫感や違和感のないノイキャン
Marshall MOTIF II A.N.Cのノイキャンは、自然な仕上がりが特徴です。
アクティブノイズキャンセリング機能を使うと、圧迫感や違和感を抱く場合があります。外部のノイズをカットするために、逆位相のノイズをぶつけるのがノイズキャンセリング機能の仕組みです。これが耳に負担になることがあります。
本機のノイキャンは使っていて圧迫感は感じません。もちろん、人によって感じ方には差があるので一概には言えないものの、ほかのノイキャンイヤホンと比べると自然です。
日常的に使いやすいノイキャンなのね
あや
よしぞー
そうだね、常用するには便利かな
Marshall MOTIF II A.N.Cの気になる点をレビュー
Marshall MOTIF II A.N.Cの良いところについて、レビューしてきました。音質も使い勝手もいいですが、それでも一部に気になる点はあります。そこで今度は、MOTIF II A.N.Cの気になる点についてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
ノイキャン重視の方にはやや合わない
MOTIF II A.N.CのANCは、それほど強くはありません。
圧迫感が無くて自然なのがいいところですが、その分、ノイズキャンセリング性能自体は少し控えめです。それでも、日常的な騒音程度ならしっかりと抑えられます。作業中に騒音が気になるなどの場面では、使いやすいです。
ただ、ノイキャン重視のイヤホンと比べるとどうしても劣るため、ノイキャン性能を重視する方には少し向きません。
実際、電車の中でノイキャンをオンにしていても車内アナウンスなどは普通に聞こえます。
音質重視でノイキャンもあれば! みたいな?
あや
よしぞー
そういう人のほうが向いてるだろうね
装着感は好みが分かれる
Marshall MOTIF II A.N.Cの装着感は、人によっては合わないことがあります。
スティックタイプとしてはやや小ぶりなためか、耳の形状によっては入り口の溝の部分でうまく支えられないことがあります。溝の上に置いているだけ、というような装着感で圧迫感が無いのはいいですが、その分少し外れやすいです。
ただ、フィットする方にとっては圧迫感がなく軽いつけ心地で快適なタイプなので、一長一短という印象があります。
もし、装着感に違和感があるようなら、イヤーピースのサイズを変えてみるなどを試してみると良いかもしれません。
私自身、Mサイズのイヤーピースでは不安定さを感じましたが、Lサイズに変えたところジャストフィットしました。
止まっている状態・歩いている状態はもちろん、走っていても特にストレスのないフィット感で使えています。
防水もイヤホン本体がIPX5の性能がありますので、汗や多少の雨でも十分に対応できます。
ケースからの取り出しが少し滑る
Marshall MOTIF II A.N.Cを使用していてケースからイヤホン本体を取り出す際、イヤホン本体にグリップ力のある素材が使われていないため、滑りやすく感じます。
合わせて本体とイヤホンが磁石でくっつき合うような仕組みになっているため、少し力を入れないと取り出せません。(収納する際は磁石で吸い寄せられるので気持ちよくスッと収納できます)
特に冬場などハンドクリームを使っているときは少し苦戦するケースがあるはずです。
駅のホームなどでイヤホンを取り出す際に滑って落としてしまうこともあり得ますので、注意しながら取り出すことお勧めします。
Marshall MOTIF II A.N.Cはこんな方におすすめ!
- ロックやアニソンをよく聴く方
- ゲームのサントラをよく聴く方
- 音質重視の完全ワイヤレスイヤホンが欲しい方
- 音質、機能、デザインのどれも妥協したくない方
- 強すぎるノイキャンが苦手な方
Marshall MOTIF II A.N.Cは、以上のような方々におすすめです。
本機は中音・中高音あたりを重視した設計になっており、ロックやアニソンとの相性が非常にいいのが特徴。ギターサウンドとの相性もよく、昨今の楽器をガンガンと鳴らしているようなゲームBGMとの相性も良好です。
さらに、音質、機能、デザインの三つが魅力的なイヤホンだと言えます。このどれにも妥協したくない、全てが高レベルなイヤホンが欲しいという方には特に最適な製品です。
まとめ|デザインも音もかっこいいイヤホン
本記事では、Marshall MOTIF II A.N.Cの良いとことろ気になる点についてレビューしてきました。
音質を重視したつくりでありながら、機能性も充実しているのが魅力的です。そのうえ、デザイン性も高く全体的なビルドクオリティも高いため、所有欲が満たされます。
音質、機能、デザインの三拍子が揃ったイヤホンは意外と多くはないので、その三つを高水準で求める方には非常に最適です。
デザインも音もかっこよくて、便利なイヤホンで音楽ライフを思う存分満喫できますよ。