音楽を楽しみたいときに、邪魔になるノイズ。
音楽に混ざるようにしてイヤホンやスピーカーから聞こえてきたり、何もしていなくても部屋中から聞こえてきたりしますよね。オーディオ機器にも空間にも、ノイズの発生源はたくさんあります。
今回はそんなオーディオのノイズ発生源と、ノイズ対策について紹介しましょう。
目次
音にノイズが混ざるのはどうして? 仕組みとよくある原因
まず、音にノイズが混ざるようにしてイヤホンなどから聞こえてくるパターンです。ザザッと一瞬のノイズだったり、サーッというホワイトノイズだったり種類もさまざまですよね。そんなノイズの仕組みと、よくある原因について紹介しましょう。
音声信号と一緒にノイズが送られてくる
音にノイズが混ざるのは、音声の電気信号と一緒に送られてくるためです。電気信号に対し、何らかの外部要因が影響を与えています。この電気的なノイズは、同一方向に影響を与えることがほとんどなんです。
これが、ノイズが音と一緒に流れてしまう仕組みとなっています。
じゃあその外部要因とはたとえば何なのか?
ノイズが発生するよくある原因を3つ紹介しましょう。
原因1.ケーブル・アダプタの接触不良
ケーブルやアダプタの接触不良によって、ノイズが発生することはよくあります。有線のイヤホンやヘッドホンを使っている人は、ケーブルがねじれたりした経験もあるでしょう。ずっとPCに繋ぎっぱなしのような状態だと、よくそうなりますよね。
このような物理的要因のために接触不良が起きたり、ケーブルの線に何らかの不具合が生じたりするとブツッ、ザザッというノイズが発生しやすくなります。
アダプタを使っている人は、特に注意が必要です。少し手がケーブルに触れたりしてアダプタ内部でピンが動いたりすると、すぐにノイズが発生します。
原因2.外部の電気信号と混ざる
これはPCで音楽を聞いているときにありがちな原因です。「ブー」などのPCノイズが鳴っている際には、外部からの電気信号が影響しているケースがあります。PCで音楽をストリーミング再生しているときなどには、通信を電気信号で行っているんです。
この通信信号に、他の機器の電気信号が混ざったとき、ノイズが鳴ります。スピーカーだと、特にわかりやすいですよ。低音で振動するので、触るととてもよくわかります。
原因3.可変抵抗器の接点の腐食
音量を上げるとノイズが鳴るというケースがあります。
この原因としてよくあるのは、ボリュームつまみに使われている可変抵抗器の接点の腐食です。可変抵抗器は、長い間回さずにしておくと、自然と腐食します。腐食すると接触が悪くなり、音量を上げたときなどにノイズが入るようになるんです。
これを、AV機器に詳しい人の間では「ガリ」と呼んでいます。
また、逆に回しすぎてガリが発生することもありますが、回しすぎによるガリは簡単には直らないことが多いです。その場合はパーツの耐久値がもう無いのかもしれない、と思ったほうが良いかもしれません。
よしぞー
たまには回してあげなきゃね
やばい、1年くらい回してないかも!
あや
ノイズ源になりがちな機器とは?
音楽を聞いていないときにも、部屋のどこからかノイズが聞こえてくることがありますよね。耳を澄ましてみると、わかりやすいです。一般的な部屋には、ノイズの発生源になりやすいところがたくさんあります。
まず、わかりやすいのは家電です。
たとえば冷蔵庫ですが、冷蔵庫は稼働しているだけで「ブーン」などの音がすることがあります。稼働音なのでおさえるのは難しいですが、問題なのはそのAC電源からもノイズが発生することがあるということです。
AC電源は他のデジタル機器等でもそうですが、よくノイズ源になります。
さらに、LEDライトもノイズ源としてよく挙げられるんです。LEDは発光ダイオードを使い、直流電流を流す必要があります。AC100Vを直流に変換したり、電圧を調整したりする回路があるんです。これには、数百Hzの周波数が使われており、これ自体ノイズになってしまいます。
医療用として、発生ノイズを少なくしたLED照明もあるんですが、高いので一般的にはほとんど使われません。
他にも、パソコン、オーディオ機器、エアコン、電子レンジ、ルーターなどからノイズが発生します。
よしぞー
ありとあらゆる電子機器から発生するんだよね
こうしてみると、身の回りってノイズだらけなのかもね
あや
音に混ざるノイズを軽減・無くす方法
音に混ざるノイズを軽減したり、無くしたりする方法は案外簡単です。今回はすぐにできる、もしくは専門知識がなくてもできるノイズへの対処法を4つ紹介します。参考にしていただけると幸いです。
バランス接続を使う
バランス接続ケーブルを使うと、音に混ざるノイズは驚くほど綺麗にかつ簡単に消えます。
オーディオの接続には、アンバランス接続とバランス接続という大きく分けて2つの区分があるんです。一般的なミニプラグは、アンバランス接続に分類されます。
アンバランス接続は、ホットというプラスの性質を持つ信号のみでやり取りを行うんです。ここにノイズが乗るわけですが、ノイズを消す作業をしていないため、普通にノイズが聞こえてきます。
一方バランス接続は、ホット(+)とコールド(-)の両方の信号でやり取りするんです。当然ノイズも乗りますが、ホットとコールドとは逆の波形になっています。そして、ノイズはホットとコールドとで、逆なだけで形は同じになっているんです。
つまり、+と-とが同じ値同士で足し算されている状態ですね。
よしぞー
例えるなら、5+(-5)という計算式みたいな感じだね
答えはゼロ!
あや
よしぞー
そう、ノイズが消える仕組みも同じだね
難しい言葉で説明すると、正相と逆相とが組み合わさると音が消えるということです。
どんな原因があろうと、音声の電気信号に混ざっているノイズを消すため、一定の効果を期待できますよ。
ただ、機器によってはバランス接続に対応していない場合があります。イヤホンがバランス接続対応かどうか、対応していない場合はケーブルの交換が可能かどうか。さらに、使っているDAPやポタアンなどがバランス接続を受付けてくれるかどうかを、しっかり確認しましょう。
ケーブル・アダプタまわりを見直す
ケーブルやアダプタまわりからノイズが発生する場合、ケーブルやアダプタに触れるとわかりやすいです。接触不良だったり、何らかの不具合が発生していたりすると、少し強めに触れたり接続した状態で左右に振れたりするだけでノイズが発生することがあります。
ケーブルやアダプタからノイズが発生するなら、それらを見直すのがおすすめです。
ケーブルの取り外しができるイヤホンやヘッドホンを使っている場合、他のケーブルを購入しましょう。
ねじれているのが原因だと思う場合は、ねじれを解消してから再度音楽を聴いてみてください。それでノイズが解消されなければ、そもそものケーブル自体に問題がある可能性が高いので、やはり交換するのが望ましいです。
交換できない場合は、イヤホン・ヘッドホン自体の買い替えということになります。
また、アダプタも問題があるなら買い替えた方が良いでしょう。イヤホンなどと比べれば安価なので、アダプタに関しては消耗品だと割り切ることをおすすめします。
イヤホンに関しては、ケーブルの取り扱いに不安が残る場合、リケーブル可能な機種を選ぶのがおすすめですよ。
PC内のオーディオツールを見直す
PCを使っていてノイズが入る場合は、オーディオツールを見直すのも手です。使っているツールや設定によっては、ノイズが低減することがあります。無くなるかはわかりませんが、気にならない程度に減らすことは可能です。
よしぞー
思い切って違うものを使うのも良いね
ボリュームつまみを大小大小と何度も回す
音量を上げたときにノイズが発生する場合は、ボリュームを大小大小と何度も回すことをおすすめします。だいたい30往復くらいはしたほうが良いです。動かしていないことが原因のガリは、これで解決することがあります。
よしぞー
バカみたいな方法だと思うかもしれないけど、意外と効果があるんだよ
私も回さなきゃ
あや
なお、音楽は再生しないようにしてください。音楽を再生しながらだとマックスまで回すのに躊躇してしまいますし、大音量で迷惑もかかりますからね。
機器から発生するノイズを抑制する方法
さまざまな電子機器から、ノイズが発生すると説明しました。冷蔵庫、電子レンジ、パソコン、ルーター、LEDライト…。これらの機器から発生するノイズを抑制する方法を、紹介しましょう。
ルーターをオーディオ機器から遠ざける
オーディオ環境のある部屋にルーターを設置している、という人も多いでしょう。昨今はストリーミング再生が主流ですからね。このルーターとオーディオ機器の距離を離すことで、ノイズが低減されることがあります。
ルーターはAC電源などを介し、壁コンセントに高周波ノイズを流してしまっているんです。そのうえWi-Fiの電波を出していますよね。電波は近いところのほうが強くなります。この電波が、オーディオ機器・ケーブルなどにノイズとして飛んでしまうんです。
ルーターとオーディオ機器との距離を取ることで、オーディオ機器に飛んでくる電波を弱くできます。
よしぞー
電波が弱くなると、必然的にノイズも小さくなるよ
さらに、電源もなるべく違うコンセントを使いましょう。
アナログ機器とデジタル機器のコンセントを分ける
アナログ機器とデジタル機器の電源を分けておくと、ノイズが低減することがあります。特にプリメインアンプ、プリアンプ、パワーアンプを使っている場合は効果的です。デジタル機器が発生させる高周波ノイズが、電源ケーブルを通してアンプにまで影響を与えてしまいますから。
部屋の中に複数の壁コンセントがあれば、挿す場所を変えましょう。起きたい場所から遠いなら、それぞれから別の延長コードを使って伸ばすことをおすすめします。
また、コンセント同士がかなり離れている電源タップもあるので、そういうものを使うのもおすすめです。もちろんその場合も、デジタルとアナログとは離して挿してくださいね。
照明を白熱電球に変える
LED照明からノイズが発生していると説明しました。ノイズが発生する仕組みはLED照明特有のものであり、白熱電球にはありません。そのため、白熱電球に変えれば照明からはノイズが発生しなくなります。
もちろん経済的にも環境敵にもLEDのほうが良いので、オーディオを優先するか経済的に有利なのを優先するかをじっくり考えると良いでしょう。
正直なところ、照明から出るノイズは音楽を聴いているときはそこまで気にならないという人もいますから。
よしぞー
まず、他のノイズを低減してから、それでも気になるなら白熱電球にすると良いかもね
私は経済的にLED使いたくなっちゃうなあ
あや
フェライトコアを使う
電源ケーブルから流れてくるノイズを低減する方法は色々ありますが、難しいものばかりです。オーディオ機器の基盤をいじらないといけなかったり、専門的な知識と技術がないとできない方法がよく語られます。
難しすぎて、聞くだけで頭を抱えちゃう!
あや
難しいと感じる人には、フェライトコアがおすすめです。
これはケーブルに取り付けることで、ノイズを低減できるアクセサリーとなっています。AC電源だけでなく、USBなどさまざまなケーブル類に使うことが可能です。仕組みを詳しく説明すると難しい話になりすぎるので省略します。ノイズを低減できるものだ、と覚えておくくらいで問題ありません。
ただ、使い方にはコツがあります。
オーディオ用に開発されていないフェライトコアを使えば、低音感が薄くなることもあるんです。
コツとしては、オーディオ機器からなるべく離れたところに使うこと。冷蔵庫やエアコンなどの各家電など、オーディオ機器以外のノイズが発生する機器のケーブルに使いましょう。
そして、2つか3つほど使ったら、再生音を確認することです。何か音に悪い影響があれば取り外したり、場所を変えたりしましょう。そうして、音に悪影響が出ない範囲で取り付けていく工夫が必要です。
よしぞー
手間はかかるけど、知識要らずでトライ&エラーだけでノイズを低減できるから簡単だよ
ノイズフィルターを使う
ノイズフィルターも、ノイズ対策としては効果的です。
ノイズフィルターって何?
あや
EMIフィルタと呼ばれることもある、コイルとコンデンサで構成される部品のことです。電流の周波数をある程度制限して、特定周波数以上のノイズ電流を流さないようにしてくれます。
よしぞー
ただ、ノイズフィルターを既にある電源に取り付けるのは難しいんだ
おすすめなのは、ノイズフィルターを内蔵した電源タップです。探せば、いくつかの製品が出てきます。1つの電源タップに1つのコンセントを搭載したタイプと、延長コードタイプとがあるので、必要な方を選びましょう。
これを使うだけでも、使っていないよりはノイズが低減されますよ。
ノイズを減らして音楽をよりクリアに楽しもう!
ノイズは、音を楽しむのには大敵です。小さなノイズなら認識しにくいのでまだ良いものの、邪魔になるほどの大きなノイズは取り除きたいですよね。ノイズはさまざまな原因で発生します。音に混ざったり空間に発生したり、さまざまです。
それぞれに、効果的な対処法があります。
今回紹介した対処法をはじめとして、ノイズ対策を行い、音をクリアに楽しみましょう!