ゲームは今や国内外問わず、巨大な市場になってきていますよね。コンシューマ向けゲームはもちろん、PCでもインディー・メジャー問わず毎年さまざまな作品が登場します。スマホゲームも、人気です。
そんな昨今、e-sportsが盛り上がっています。
現代のゲーム業界について語るなら、e-sportsを外しては成立しないというほどです。
今回はそんなe-sportsについて語りつつ、ゲーム業界の現状と動向について語ります。
目次
eスポーツとは? その基本を説明します!
まずは、e-sports(以下eスポーツ)の基本を説明しましょう。
eスポーツは、エレクトロニック・スポーツの略です。つまり、コンピューターゲームを使ったスポーツ競技のことですね。格闘ゲームやFPSなど「人と対戦して競うゲーム」をスポーツだと解釈しています。
一時期はスポーツじゃないだろうという議論も巻き起こりましたが、最近はあまり聞きませんね。アメリカだと国がeスポーツをスポーツだと認め、プロゲーマーはスポーツ選手だと認識されています。日本の場合は、eスポーツと通常のスポーツとを切り離して考えている節があるでしょう。しかし、それでかえってeスポーツというジャンルが認められてきています。
世界のゲーム市場はどうなっている? 現状と動向を解説
eスポーツの基本について説明しましたが、ここからが本題です。世界と日本のゲーム市場の現状と動向について、それぞれ簡単に解説します。市場規模、シェア、今後の課題など一緒に分析してみましょう。
ゲーム業界の市場規模
ゲーム市場に衰退というイメージを持っている人もいるでしょう。確かに家庭用ソフトの市場規模は10年前より下がってきています。ところが、家庭用ハードの規模はほとんど変わりません。そのうえ、オンラインプラットフォームの市場は10年連続成長中です。
オンラインプラットフォームとは、スマホ向けゲームアプリを含むもの。Steamなどもオンラインプラットフォームの中に入るでしょう。
ファミ通ゲーム白書2020によると、国内ゲーム市場は10年連続成長中。特にオンラインプラットフォーム市場は2019年には1兆2962億円にまで伸びています。市場全体は1兆7330億円、2019年時点で過去最高になりました。
一方世界のゲーム市場は、東アジア・東南アジアの好調さが目立ちます。日本の市場が大きい上に、中国のゲーム市場も近年大きくなってきていますからね。昔は中国のゲームというと出来が悪いものをイメージしましたが、近年は特にアプリゲーム関係において中国のコンテンツの出来は結構良いです。
日本国内にも中国製コンテンツの支持者は大勢います。
Steamなどのプラットフォームを通じて、さまざまな国のゲーム愛好家が自作ゲームを配信するようになったためか、北米や欧州などのゲーム市場も大きくなっているんです。
ゲーム業界のシェア
少し古めのデータではありますが、年収ラボの企業別平均年収&売上高ランキングを見ると、数年前のシェアが見えてきます。
平成26年度から27年度、売上高ランキングはソニーがトップです。売上高1兆2921億円と、圧倒的なシェアを誇っています。任天堂は2位で、この時点では5497億円の売上高です。
ただ、現在はかなり様子が違っています。現在と比較してみましょう。
任天堂の第80期(決算年月2020年3月)の売上高は、約1兆3000億円です。
一方ソニーのゲーム事業は6978億2100万円となっています。近年、ソニーのゲーム事業の売上高は下降しているんです。PS4があまり売れていないためだと言われています。
ゲームソフトを制作している会社でシェアが大きいのは、やはりスクウェア・エニックスです。2019年から2020年までの売上高は2605億円。他はサイバーエージェントやガンホーなど、アプリゲームが強い会社のシェアが大きい傾向があります。
外出自粛による需要増とeスポーツの盛り上がり
2021年3月現時点、最近のゲーム業界について語るなら「外出自粛の影響」を外すことはできないでしょう。
コロナウイルスが世界的に大流行したことで、巣ごもりをする人が増えました。休日や平日の仕事終わりの暇つぶしに、ゲームをする人が増えています。さらに、これまであまりゲームをしなかった人もゲームをするようになったケースも多いです。
そのうえ、YoutuberやVtuber、プロ選手によるゲーム配信を楽しむ人も増えています。配信をきっかけにゲームを買う人も決して少なくはありません。
さらに、eスポーツも近年盛り上がっています。他のスポーツはコロナウイルスで無観客試合になったり、試合自体が中止になったりしていますよね。そんな中、eスポーツ大会は変わらず開かれています。
特に「コロナで試合ができなかったからゲームで試合をしよう」と、バスケットボール選手によるゲーム大会が開かれるなど、スポーツ系のeスポーツ大会の盛り上がりが大きいです。
それに追随する形で、格闘ゲームやFPSなどのeスポーツを支えてきたジャンル熱も再燃。ウィズコロナ時代に、ゲームとeスポーツはよくマッチしているということですね。
これからのゲーム業界の動向と課題
家庭用ゲーム市場では、プレステ5が発売されましたね。グラフィックの向上、ロード時間の短縮、ネットサービスの充実などさまざまな面が話題になっています。同様に、Xbox Seris Xも注目を浴びました。
Xbox Game Passというネットサービスを通じて300以上のタイトルが遊び放題になるという話が、あったんですよね。
さらに、両機種ともにディスクドライブありと無しとがあります。
Steamなどのプラットフォームの隆盛、PS NowやSTADIAなどのクラウドゲームの盛り上がりなども気になるところですよね。
これからはオンラインプラットフォームと、クラウドゲーム、サブスク型サービスにゲーム業界がますます力を入れていくと考えられます。PS5などが最後の家庭用ゲーム機になるのではないか、と考える人も少なくありません。
今がアツイ! eスポーツ界隈の現状と動向を解説
ゲーム業界の現状について語る中で、何度もeスポーツの名前が出ましたね。それだけ、現在のゲーム業界の中で、eスポーツは重要な立ち位置にあるということです。そこで、eスポーツ業界の現状と動向を解説・紹介します。
e-sports大会の歴史
まず、eスポーツ大会の歴史について振り返っていきましょう。昔はeスポーツという言葉はありませんでしたが、ゲーム大会はかなり昔から開かれています。
文献として残っている最古のゲーム大会は、1974年の「セガTVゲーム機全国コンテスト」です。
そこからゲーム大会が時折開かれるようになりました。さらに、全国規模でなければ「ゲームセンター」が主催して格闘ゲーム大会を開くことが、1990年代に多くなっています。これはスト2の流行による影響が大きいです。
1991年にはゲーメスト杯スト2チャンピオンシップという全国規模の大会が開かれ、92年には両国国技館でスト2チャンピオンシップが開かれました。
1995年にはEVOの前身であるNYブロードウェイが開催。97年には、アメリカでサイバーアスリート・プロフェッショナル・リーグが設立されました。サイバーアスリートという言葉に、eスポーツという意識がこの頃からあったということが示されているのではないでしょうか。
2000年には日本にもプロゲーマーと呼ばれる人が誕生していましたが、世間の認知度が低くスポンサーもつきにくく、活動は長続きしない傾向があったんです。
プロゲーマーの認知度が日本国内で向上したのは、2010年のこと。日本初プロ格闘ゲーマー梅原大吾さんの登場が、きっかけとなっています。
梅原さんがメディア露出したりゲーム大会で優勝したりするたびに、日本国内でのゲーム大会の地位は向上。結果として、日本国内のeスポーツへの関心が高まることにより、eスポーツとプロゲーマーがこれだけ広く認知されるようになったんです。
e-sportsの競技人口
世界のeスポーツ競技人口は、約1億人だと言われています。おそらくプロアマ問わず大会出場者などが合算されているでしょうが、それでも結構大きいですよね。競技人口以外に、観戦・配信視聴者などは3億8000万人います。
だいたい日本3個分の人口です。
一方、日本の競技人口は390万人、観戦・視聴者は160万人と世界に比べるとまだまだ発展途上といった印象を受けます。競技人口より観戦人数の方が少ないのが、意外ですよね。
今以上にITインフラの土台が固まってくれば、観戦人口は増えるでしょう。競技人口は、プロゲーマーの育成をどのように行っていくかによるのではないでしょうか。大学に行きながら、さらには働きながらでも指導を受けられる動線が増えれば競技人口も増えそうです。
e-sports選手の知名度が向上しつつある
近年、日本国内のe-sports選手の知名度が向上してきています。梅原選手がレジェンド的に語られるのはもちろん、格ゲー界隈だと、ときど選手や板橋ザンギエフ選手などが話題になることが多いです。
特に板橋ザンギエフ選手は「勇者ああああ」など、テレビ出演も行っています。
知名度向上の理由は、イベントとテレビやネット配信への露出でしょう。
eスポーツのイベントを実施したいという会社は、近年増加傾向にあります。実際、関連イベントは多く開催されているんです。そこにeスポーツ選手を呼んで話を聞いたり、エキシビションマッチを行ったりすることで、選手ひとりひとりの認知度が上がりました。
さらに、テレビ出演する選手も少しずつ増えてきています。テレビ東京がeスポーツ系のゲームをプレイする番組を制作したり、テレビ朝日がeスポーツに力を入れたりしてきているんです。
そして、プロゲーマーがYoutubeチャンネルを開設して視聴者参加型のゲーム配信をしたりする動きも、高まってきています。梅原選手も公式youtubeチャンネルを開設しましたしね。
他にもVtuberなどの既存配信者とのコラボなど、活躍の場が広くなってきています。
このような取り組みにより、選手の知名度とeスポーツ自体の認知度が上がっているのが現状です。
地方支部が増えてきている
日本eスポーツ連合(以下JeSU)が、近年地方支部の設置を進めています。2020年8月時点で、25都道府県に支部が設置されました。全てしっかり活動しています。北海道、東京、愛知、大阪、福岡など各地方の主要都市はもちろんカバー。他にも岩手や兵庫県、徳島県などにも支部を設置しています。
各地方に支部があることにより、イベントの開催がしやすくなるだけでなく、プレイヤーの育成などもしやすくなるんです。eスポーツが地域振興に繋がることもJeSUはアピールしているので、地域との繋がりが強くなることも考えられます。
現在はまだまだ始動したばかりで結果は見えにくいですが、eスポーツと地域振興がうまく結びつけば大きな結果が出るのではないでしょうか。
e-sportsの壁は法律にある
日本のeスポーツの問題点・課題について語るうえで、「選手の育成環境」「eスポーツに対する理解度」がよく挙げられます。
育成環境はまだまだ整っているとは言えないものの、地方支部の設置によりJeSU主導で強化される可能性が高いです。理解度は近年高まってきています。
ただ、問題はそれだけではありません。
法律の課題もよく指摘されます。
ゲームの大会を開くには、まずゲームの権利者である会社に使用許可を貰わないといけません。著作権法の壁があります。
さらに、風俗営業法、景品表示法、刑法の賭博罪などが関わってくることがあるんです。
風俗営業法には、ゲームセンターの規制も含まれています。ただし、PCやスマホなどの汎用性の高い機器を使う場合はテレビゲーム機にあたらないため、風営法の適用外となるという考え方があります。
一方、モニターを使って娯楽を提供すればアウトという法解釈をする人もおり、ややこしいです。
現在日本で開かれるeスポーツ大会が、PCゲームを基本としているのはそのためでしょう。海外ではファミコンなどを使ったゲーム大会もありますが、日本だと少ないです。
ゲームバーなども、ゲーム機を提供している店は風営法で摘発されたりして閉店することがあります。
次に、景品表示法。
これは高額な景品を規制する法律ですね。
2016年時点では、消費者庁は10万円を超えてはならないという見解を示していました。
2019年、JeSUから消費者庁に対して照会が行われています。
その際、仕事の報酬等と認められる金品の提示は景品類の提供に当たらないという部分を引用し、ゲーム大会の賞金は景品にはあたらないと結論づけました。
ただ、それは仕事の報酬等の提供であると認められない可能性もあるということです。たとえば、参加者の実力などに相応しない高額な賞金を提供したりする場合ですね。JeSUも注意喚起を行っています。
現在も、日本の賞金金額は世界に比べるとかなり低いです。
今後のeスポーツの発展という意味で壁になるのは、賭博罪でしょうか。
試合に対して賭け事を行う場合にも適用されますが、大会来場者から入場料を賞金にあてる場合にも適用される可能性が高いです。海外だと入場料を徴収して賞金にあてることはよくありますが、日本だとありません。
風営法、景品表示法、賭博罪。
これらの法律の壁を超えることが、今後のeスポーツの発展に関わってくるのではないでしょうか。
e-sportsは今が熱い! 気になる人は配信を覗いてみよう
ゲーム業界の現状と動向について語ってきました。中でも、eスポーツは熱いです。テレビなどで取り沙汰されることも多くなり、eスポーツの地位向上にさまざまな人達が関わっています。
法律の壁など超えなければならないハードルはまだまだあるものの、今後さらにeスポーツが広がればそれらのハードルを超える日も来るのではないでしょうか。
eスポーツは今も、今後も熱い。
気になる人は、配信を覗いてみてはいかがでしょうか。