プリメインアンプは、ピュアオーディオを楽しむうえで、音を変える重要なデバイスです。プリアンプとパワーアンプを一体化させた、初心者でも比較的簡単に使える機器になっています。
マランツのPM6007は、プリメインアンプで人気なマランツの中で廉価なモデルとして位置づけられているものです。
廉価モデルではありますが、実際に愛用してみてオーディオ好きも唸る実力があるアンプだとも感じています。
今回は、そんなマランツPM6007のスペックと機能、良い評判・不満点などについて紹介しましょう。
目次
マランツPM6007のスペックと機能
マランツPM6007は、プリメインアンプの入門機です。5万円程度で手に入る安価なモデルには、あまり期待しないという人もいるかもしれません。そこでまずは、マランツPM6007のスペックと主な機能について、簡単に説明していきます。
PM6007のスペックを解説
- 定格出力:45W/8Ω/60W/4Ω
- 対応インピーダンス:AorB:4~16Ω、A+B:8~16Ω
- バイワイヤリング接続時:4~16Ω
- 再生周波数帯域:10Hz~70kHz
- 消費電力:155W
- リモコン有
- アナログ入力:4系統
- デジタル入力:光デジタル×2、同軸デジタル×1
- Phono対応
- アナログ出力:1系統
- スピーカー出力:2系統
- ヘッドホン出力対応
- DAC対応
- DAC機能:PCM:最大192kHz/24bit
- 幅×高さ×奥行き:440×105×370mm
- 重量7.8kg
定格出力は、入門機としてはとても良いですね。しっかりとしたパワーが出ている、と言えるでしょう。10万円を超えるモデルだと8Ω60Wになったりしますが、5万円程度の値段だということを考えると良い性能を持っていることがわかります。
よしぞー
アナログ入力が4つ、光デジタルが2つも手厚くていいね
色々挿せるってことよね!
あや
DAC機能もしっかりありますし、サンプリングレートもハイレゾ相当です。気軽に良い音を楽しめるようになった今、耳が肥えている人でも満足できるでしょう。
PM6007の主な機能を解説
PM6007の主だった機能には、バイワイヤリング接続、デジタルフィルター、フォノイコライザーの3つが挙げられます。
デジタルフィルターは、デジタルの音源を2つに分ける機能です。Filter1とFilter2に分かれ、それぞれで異なる音を鳴らしてくれます。
Filter1は、正確な音を鳴らしてくれるんです。すべての音域のバランス、音階の移行が滑らかになります。何かをしながら聴くというよりも、じっくりと音楽に集中して聞きたいというときに良いでしょう。
Filter2は、明るく元気の良い音になります。とはいえ、極端なドンシャリというわけではありません。聴き疲れが無く、それでいて気分を盛り上げてくれます。ポップサウンドを聴くとき、作業用に流すときなどにちょうどよいでしょう。
バイワイヤリング接続機能は、バイワイヤリング対応スピーカーと接続するための機能です。
ツイーターとウーファーそれぞれに接続端子があるのが、バイワイヤリング対応スピーカーの特徴となっています。
ツイーターは高音域、ウーファーは低中音域を担当しているんです。
この2つに独立した端子を持たせることにより、逆起電力というノイズの影響を減らすことができます。ノイズが減り、結果的に高音質になるんです。
難しい話だけど、要はスピーカーの選択肢が広がるってことよね
あや
よしぞー
そうだね、こだわろうと思うと、とことんこだわれるアンプだね
フォノイコライザーは、一言で表せば、アナログレコードを楽しめる機能のこと。近年のレトロブームには、ぴったりではないでしょうか。
マランツPM6007によく挙げられる良い評判
マランツPM6007のスペックと機能を説明してきました。それだけでも、魅力は伝わるかもしれません。ただ、それだけでは語りきれない良さがあります。そこで、マランツPM6007によく挙げられる良い評判を紹介しましょう。
ノイズ対策がしっかりしている
マランツPM6007は、ノイズ対策に定評があります。バイワイヤリングに対応しているというのは、あくまでも「ノイズに強いスピーカーが使える」ということです。それだけだと、マランツPM6007がノイズに強いアンプとは言えないでしょう。
もちろん、PM6007自体にノイズ対策の工夫がされています。
特徴的なのは、シールドボックスです。
PM6007には、デジタル回路とアナログ回路の両方が搭載されています。デジタル回路は音声などの入力があると、ノイズが発生するんです。これは、必ず起こります。
ただ、アナログ回路と隣接していると、このノイズがアナログ回路に影響を与えてしまうんです。
それで、どうなるの?
あや
よしぞー
音質が劣化してしまうんだ
それを防ぐために、シールドボックスを付けています。
デジタル回路をシールドボックスによって覆うことにより、ノイズを遮断するんです。
さらに、電源LINEには高周波ノイズを減らせる導電性ポリマーコンデンサーという部品を使っています。
そして、デジタル回路を使わないときには電源供給を止める仕組みになっているんです。
こうしてノイズ対策を徹底しているため、ノイズが無いアンプとして評価されています。
マランツ特有のクリアな音を楽しめる
マランツは、クリアな音に定評のあるメーカーです。PM6007も比較的低価格ではありますが、この特有のクリアな音をしっかり楽しむことができます。ノイズが無いのも、音がクリアだと感じる理由のひとつですね。
淀みも歪みもなく、ハッキリとした音を楽しむことができます。
それは、音源ごとの違いや良さをしっかりと聞き取ることができるということです。アンプを使って音が変わるという体験を、より音源に忠実な形で提供してくれています。
音像定位が良く表現力が高い
PM6007は、音像定位が良いという評価をされています。
音像定位というのは、音が聞こえてくる方向のことです。たとえばバンドだと、右にギターがいて左にベース、中央にはボーカルがいて、その後ろにドラムがいるという構成が多いですよね。
その演奏を聞いているとき、右からギターの音が聞こえてきて、ボーカルが中央にいるように聞こえることを「音像定位が良い」と表現します。
音像定位が良いとどうなるの?
あや
よしぞー
より臨場感が生まれて楽しいんだよ
さらに、表現力も高いです。特に女性ボーカルの声のニュアンス、息遣いなどの表現がうまいという評判があります。
臨場感のある音像定位に、高い表現力…。幅広いジャンルの音楽を楽しめるのではないでしょうか。
廉価モデルながら十分なパワーがある
廉価なモデルでありながら、しっかりとしたパワーがある点を評価する人も多いです。スペックでも述べたように、定格出力がしっかり出ています。10万円超えのモデルには流石にかなわないものの、5万円程度で買えるアンプとしては申し分ありません。
安いアンプだと、十分なパワーが出ず、恩恵がいまいち得られないこともあります。アンプは基本的には増幅器なので、パワーが無いアンプは使いにくいです。
機能ばかりに目を奪われがちですが、アンプを選ぶときには、パワーにもしっかり注目しましょう。
マランツPM6007によく挙げられる不満点
マランツPM6007の良い評判を挙げてきました。じゃあ、不満点やデメリットはないのかというと、実はそうでもありません。
よく挙げられるのは、ネットワーク機能が無い点です。
PM6007は、入門機に位置づけることができます。入門機ということは、ピュアオーディオ沼にどっぷり浸かりきったマニアというよりも、これからピュアオーディオを始めるライトユーザーが選択肢に入れることが多いモデルだということです。
現在のオーディオ文化において、ライト層が好むのはサブスク形式のストリーミングサービスでしょう。
定額制で色々な曲を高音質で楽しめる気軽さが、求められている時代です。
そのため、ライト層はストリーミングサービスを使うのに適したデバイスを好むでしょう。アンプに限らず、DAPなどでもOSTを搭載してストリーミングサービスに対応したモデルが売れています。
そんな中、ネットワーク機能が無いため不満に思う人もいるのではないでしょうか。
ただ、マランツにはネットワーク機能を搭載したモデルもあります。
メーカーとしては、棲み分けを考えているのかもしれません。ノイズを低減したクリアな高音質を低価格で楽しめるという点をPM6007では重視し、価格を上げる要因になるネットワーク機能は排除したのだと考えることができます。
また、他には特に不満点が挙げられていません。
ネットワーク機能が要らない人にとっては、すごく良いってことね
あや
よしぞー
そこをどれだけ重視するかが肝だね
【使用レビュー】マランツPM6007を実際に使ってみた感想
私の場合は、PCをネットワークデバイスにして、DAC(ZEN DAC)を介してPM6007を使用しています。
上の不満点にてネットワーク機能が無い事を述べましたが、パソコンと接続することでSpotifyやAmazonミュージックなどのストリーミングサービスも聞けますし、購入したハイレゾ音源などもPCを介して試聴することが出来ます。
操作性についてもマウス操作になるため、ストレスなく音楽を楽しめます。
その為、ネットワーク機能が無い事は全く問題にならず、むしろNW機能が有ったとしても不要な機能になるところでした。
音質についてPM6007はMarantzの中で最も安価なモデルとなりますが、私の耳ではこれ以上を求める必要性が全く感じられません。
スピーカーはWHARFEDALE diamond 12.0と組み合わせて音楽鑑賞していますが、マランツ特有の澄み切った美しい音、定位の良さ、心地よい低音などすべてが満足のいくもの。
当面これ以上の音質を求める事は無いのではと感じています。
ちなみにこの音楽鑑賞環境を構築するのに、PM6007が55,000円程度、ZEN DACが22,000円、Diamond12.0が48,000円程度で合計125,000円。ケーブルを足して13万円前後で揃えることが出来ます。
「音楽鑑賞が好きで良い音響環境を整えたいけど、予算は出来る限り抑えたい」そんな自分のニーズに合った程よい構成が作れたかなと考えています。
なお、アンプはほんのり温かく、猫が好みます。
我が家でも開封と同時に猫が乗って動かなくなりました。
当然ですが、猫の毛がアンプの中に入ってしまったり故障の原因になる為、収納ラックは必須です。
私はハヤミ工産のNX-B301Lというオーディオラックをチョイスしました。
オーディオラックって、振動から守るために作りがしっかりしているものが多く、その分値段もするのですが、このNX-B301Lは15,000円前後で購入できます。
値段は安いですが、めちゃくちゃしっかりした作りですし、サイズ感も丁度良いです。
ラックも含めて15万というところですね。
マランツPM6007は良い音を比較的安く実現できる!
マランツPM6007は、ネット上でもほとんど不満点を挙げられていない完成度の高いプリメインアンプだと言えるでしょう。もちろん、予算さえ考えなければ他にもっと良いアンプはあるのかもしれません。
ただ、5万円以下という比較的手を出しやすい価格帯で、これだけノイズを徹底的に減らし、高音質化をはかることができていることに価値があります。
限られた予算の中でどれだけクオリティを高めるかという意味では、ハイエンドモデルと比べても完成度が高いと言えるのではないでしょうか。