近年話題のNFTには、さまざまなアイテムがあります。
NFTアートという、デジタルイラストが最も有名でしょうか。1枚のイラストに数百万などの高値が付いたという例が、日本・海外問わず報じられていましたね。
ただ、NFTトレカというのも少しずつ盛り上がってきているジャンルのひとつです。
そこで今回は、そもそもトレカがなぜ注目されているのか、NFTトレカの特徴や具体例と、NFTトレカの利点について紹介していきます。
目次
トレカが近年注目されているのはどうして?
トレーディングカード…通称トレカは、ここ数年で注目度がとても高くなっています。トレーディングカードにも収集と交換だけのものと、バトルができるゲームタイプのものとがありますが、主に注目されているのはゲームタイプのTCGの方です。
NFTトレカについて語る前に、そもそもなぜ最近トレカやTCGが注目されているのかについて説明しましょう。
高額カードの認知度が高まり資産的価値が認められた
近年、トレカが注目されているのは高額カードの認知度が高くなったことです。
カードゲームは、たいてい1パック数枚で入っています。MTGで10枚から15枚、ポケモンカードで10枚です。1パックあたりの値段は、MTGの場合は450円から2000円程度と開きがあり、ポケモンカードの場合は税込み165円となっています。
どうしてMTGには開きがあるんだろう?
あや
よしぞー
1シリーズあたりのパックの種類が多いからだね。一番高いのはレアが出やすいんだ
MTGはパックが高いですが、他のカードゲームはポケモンカードのように1パック200円以下となっています。
一方、そこから出てくるレアカードの中には1000円、1万円、10万円と高値がつくものがあるんです。
中には、1枚数百万円するカードもあります。
ただレアなだけだと、つり上がってもせいぜい1万円程度です。
1万円を超える高額カードは、たいてい付加価値があります。有名イラストレーターが描いた、特別な絵柄のカード、流通量が少ないなどですね。
こういう付加価値がつくことで元値が安いものに高値がつくというのは、良い投機材料になります。
そのため、近年はトレカに資産的価値が認められて、注目度がより高くなっているという背景があるんです。
また、コロナ禍で一人で自宅でも楽しめる収集趣味を楽しむ人が増えたことも、理由として挙げられます。
実際の高額カードの例
少しだけ、実際の高額カードの例を紹介します。
最もわかりやすいのは、MTGのブラックロータスでしょう。
これは初期のパックにのみ入っていたレアカードです。MTGは最も歴史が古いTCGで、1993年に生まれました。この初期の頃には強力すぎるカードがいくつかあり、ブラックロータスは中でも最強と呼ばれているカードです。
この強力すぎるカードはパワー9と呼ばれ、全て高値がつきます。
高値がつく理由は、再収録禁止であることと初期のパックでしか出ないということと、強いことの主に3つです。
初期となるとTCGが高くなるなんて想像もできなかった時代なので、遊びにガシガシ使われて、状態が良いものとなると今ではなかなか残っていません。そのうえそもそもの流通量が少ないですし、紛失なども考えると現状は数がとても少なくなるわけです。
そのうえ再収録が禁止されているため、増えることもありません。
このことから、状態がイマイチなものでも200万円前後、状態がとても良いものだと1億以上の値がついたことがあります。
他にも、ポケモンカードの「かいりきリザードン(通称)」「がんばリーリエ(通称)」などは数十万の値が付いていることで有名です。
たとえば「マリオピカチュウ」や、ムンク展でのみ手に入れられた「さけびピカチュウ」などコラボ系のカードも高値が付いています。
元々は数百円のパックからこんなのが出るのはロマンだね
あや
よしぞー
ランダム性が高いのも、TCG含むトレカの魅力だよね
NFTトレカとは?現状どのようなものが多いのか
紙のトレカは高値がつくことが認知され、注目されています。その後はさらに高値がつくことが増えており、ユーザー数も増え、趣味としても投機商材としても熱いです。じゃあNFTトレカというのは、一体どういうものなのか? どんなものがあるのか? 今度はNFTトレカについて、簡単に説明していきます。
ブロックチェーンを適用したデジタルカード
NFTトレカは、言ってしまえばトレカをNFTとして販売しているものです。
NFTというのは、ブロックチェーンに取引履歴や販売情報などを記録することで、改ざん・コピーなどがとても困難になるデジタルデータのことを指します。
ブロックチェーンについて、簡単に紹介しましょう。
AさんがBさんにカードのパックを500円で売ったとします。Bさんがその中から高額カードを見つけ、1万円でCさんに売ったとしましょう。
通常は、AさんがBさんにカードを売ったという情報と、BさんがCさんに売ったという情報は別々のものです。連動はしていませんよね。
そのため、Cさんが取引履歴の改ざんを試みた場合、BさんとCさんの取引履歴だけをハッキングして変えれば良いということになります。
一方ブロックチェーンは、このABCさんすべての取引履歴を連動させるんです。すべて一連の流れとして記録されるため、改ざんするなら関わる全ての人のコンピューターをハッキングして、改ざんしなければならなくなります。
ということで、事実上改ざんはとても困難になるというわけです。
しかも、このブロックチェーンに保存されている情報が「Bさんがカードを所有している」という所有証明にもなります。
そのため、NFTとして取引されるデータは、現物と同じような資産的価値があるということになるんです。
つまり、デジタルカードだけど資産的価値があるってことね
あや
よしぞー
まあ、そういうことだね
他にも、NFTはある程度の互換性があるので、規格が同じプラットフォームならどこにでも移動できるという特徴があります。
次は、現状NFTトレカにはどのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
例1:アイドルのNFTトレカ
現状、NFTトレカとして多いのはアイドルのトレカです。
アイドルのブロマイドのようなものですね。これをNFTとして販売して、収集や交換・売買などの取引を楽しんでもらうというのが狙いになっています。
アイドルのトレカは現実でも人気コンテンツのひとつですが、現実のカードだとイベントに来た人同士で、その場で交換するしかありませんでした。中には割に合わない交換…いわゆるシャークトレードを仕掛けてくる人もいます。
NFTトレカはデジタルデータなので、遠く離れている人とも交換や売買が可能です。
2022年2月現時点では、NFTトレカというアプリで販売されています。限定販売から通常販売まで色々あるので、気になった人は覗いてみると良いでしょう。
アイドルのトレカとNFTとの相性はとても良いため、今後もアイドルのトレカでNFTの活用が増える可能性は高いです。
例2:Crypto Spells
近年は紙のカードゲームだけでなく、オンラインでできるデジタルカードゲームも人気です。
シャドウバースなどのデジタル専門のものから、MTGアリーナやデュエルマスターズプレイスなど紙のゲームとして人気なゲームをオンラインで遊べるようにしたものまで様々なゲームがあります。
NFTにも、Crypto Spellsというデジタルカードゲームがあるんです。
他のデジタルカードゲーム同様に、カードを集めて戦うことが目的のゲームとなっています。対戦はCPU戦と対人戦とがありますし、最初は全プレイヤー共通でスターターデッキが貰えるのでお金が無くても始められるのが特徴です。
カードは、パック開封で集めるのがメインとなっています。
ただ、NFTのカードは換金性があるので、これをランダム封入にすると賭博になってしまう危険性があるんです。
そのため、レアリティが低いカードと高いカードで分けて、他の入手方法が用意されています。
ひとつは、採掘チケットという、ゲームプレイで手に入るアイテムを使って換金性のないカードを手に入れられる機能です。換金性はありませんが、ゲーム内でのユーザー間取引ができるシルバーというレアリティが出ます。
もうひとつは、ゲーム内マーケットでのシングル買いです。「このカードを買う!」と選んで買うことができ、これらはすべてゲーム外で売買したりすることができます。
こちらは高レアが手に入れられるという仕組みです。
NFTカードの収集目的でも、NFT関係なくゲームを遊ぶ目的でも楽しめますよ。
NFTトレカの利点とは? 紙のカードと比べた価値を解説
紙のトレカとNFTトレカについて、簡単に説明してきました。面白い試みですが、紙のカードと比べて価値はどうなるのか、NFTトレカの利点はあるのか気になる方もいるでしょう。そこで今度は、NFTトレカの利点と紙のカードと比べた価値について簡単に説明します。
NFTトレカは遊んでも飾っても劣化しない
紙のカードと比べたときのNFTトレカの最も大きな利点は、遊んでも飾っても劣化しないことです。
紙のカードは、遊べばどうしても劣化します。高額カードほど効果が強かったりするので使いたくなるのですが、シャッフルしたり場に出したりしているとスリーブを付けていても劣化は避けられません。
ただ、大事に飾っていても多少なりとも劣化することがあります。
紫外線による日焼け、ニオイ移り、ヤニ汚れなどなど…。さまざまなことに気をつけていなければ、意外と早く劣化するんです。
そのため、紙のカードを飾るなら紫外線カットのローダーなどのケースに入れなければなりません。
より厳重に管理するならば、スリーブに入れたうえでカード用のファイルなどに収納して、暗所に保管しておく必要があります。
しかし、それだと折角のコレクションをいつでも気軽に眺められなくなるのがネックです。
一方NFTトレカはデジタルデータなので、劣化することがありません。紛失の心配もほとんどなく、そのうえデータなのでいつでも気軽にコレクションを鑑賞できます。
NFTトレカは場所を取らない
NFTトレカは、場所を取らないのも良いところです。
紙のカードも1枚1枚は薄いのですが、たとえば紫外線カットのケースに入れると、結構かさばります。ファイリングしていても、コレクションが増えるにつれてファイルの数も増えていき、少なからず場所を取るようになるものです。
シングルで買っているとまだ良いですが、パックで集めるとなると低レアのカードが山のように積み上がります。
一方NFTはデジタルデータなので、どれだけ集めても場所を取らないのが良いところです。
まあ容量は食うかもしれないけどね
あや
よしぞー
一つあたりはそれほどじゃないから大丈夫だし、そもそもローカルで保存しないからね
NFTトレカは自由に取引ができる
NFTトレカは、自由に取引できます。クリプトスペルズなど、一部低レアのカードには取引制限があるケースもあるのですが、基本的には取引自由です。
これまでデジタルカードは、交換も売買もできませんでした。それが交換するも自由、売買するも自由になっているのは大きなメリットです。
そのうえ、データのやり取りなので紙のカードよりも取引が楽というメリットもあります。
NFTはある程度互換性があるので、プラットフォームをまたいだ取引もできますからね。
現状は紙のほうが価値が高いが今後は伸びる可能性がある
NFTトレカには紙のカードにはないメリットがありますが、価値としては紙のカードのほうが現状は高いです。
というのも、NFTトレカには現状キラーコンテンツと言えるものがありません。クリプトスペルズなどのオリジナルゲームはありますが、シャドウバースやデュエプレなどのデジタルカードと比べると弱いです。
現状はブロックチェーンという仕組みで値がついているという感じで、値動きも激しく不安定な要素が大きくなっています。
ポケモンカードなどの人気コンテンツがある紙のトレカと比べると、どうしても価値は劣ってしまうんです。
ただ、NFTがもっと一般的になれば、今後は伸びる可能性が高いジャンルだと言えるでしょう。
トレーディングカードという名前にある通り、トレカはそもそも交換などの取引を前提としたコンテンツです。特にアイドルのカードはゲーム要素が無いので、純粋にコレクションと交換を楽しむものとなっています。
TCGはゲーム要素があるのでそれだけではありませんが、交換などの取引はやはり盛んです。
そもそもトレカは、ブロックチェーンという仕組みとの親和性が高いと言えます。
そのため、NFTが今より一般化すればトレカをNFTとして発行する企業ももっと増えるでしょう。
また、現実のカードゲームのようにパックから換金性のあるレアカードが出ても問題ないような法整備が進めば、より伸びるのではないでしょうか。
もっとも、それにはまずNFTだからと値がつく現状ではいけません。レアだから値がつく、特別なカードだから値がつくという市場になれば、NFTトレカももっと広まるでしょう。
NFTトレカはコレクターにぴったり! 収集と売買を楽しもう
NFTトレカは、コレクション趣味との相性がとても良いです。
カードというサイズが小さいデータのためか、NFTアートよりも現状は値段も落ち着いています。現実でもカードより絵画のほうが高値がつくことが多かったりすることがありますが、それと同じでしょう。
NFTの中では比較的始めやすいので、NFT初心者にもおすすめです。
収集と取引を楽しんでみてはいかがでしょうか。