Hidizs社のDAP「AP80PRO-X」をレビューします。
AP80PRO-Xは、超小型・高性能・低価格が売りで、DAP入門機として人気のモデルです。小さいため持ち歩きがしやすく、安いため気軽に使えるのがポイント。
ただ、人気と言えどもWALKMANのように言わずとしれたものではありません。AP80PRO-Xの評判や、魅力・イマイチな点などが気になるという方もいるはず。
そこで、Hidizs AP80PRO-Xのスペック、良いところ、気になるところを実際に使用した上で徹底的にレビューしていきます。
- Hidizs社公式サイト:https://www.hidizs.net/
目次
Hidizs AP80PRO-Xのスペックをレビュー
- CPU:Ingenic X1000
- DAC:ES9219Cデュアル
- ハウジング:アルミニウム合金
- ディスプレイ:Samsung社製2.45インチフルタッチスクリーン
- OS:HyBy OS 3.0
- 接続:Bluetooth4.2、SONY LDAC、HyBy UAT、CSR APT-X、AAC、SBCなどに対応
- ロスレス形式のサポート:DSD64/128/256、PCM384kHz/32bit、FLAC、APE、WMA、WAV、ALAC、MQA
- ロッシー形式のサポート:MP3、AAC、WMA、OGGなど
- 充電時間:約1時間
- 使用可能時間:40日間のスタンバイ 、シングル8~11時間、バランス6~8 時間
- 出力:3.5mmステレオミニ出力/2.5mmバランス出力
- マイクロSDカード最大サイズ:512GB
- 製品重量:68g
- 周波数特性(±3db):20~90kHz
- 定格出力電力:シングル 70mW+70mW@32Ω/バランス 190mW + 190mW@32Ω
- ステップカウンター & 電子ブック機能
うーん、モリモリって感じ!
あや
よしぞー
ざっくりした感想だなあ…サポート形式が多いのがいいよね
ハイレゾに対応しており、FLACなどよく使われる形式に対応しています。DSDも対応しており、サポートは万全です。
さらに、約1時間の充電で11時間使えるのが便利。連続使用時間自体は長いモデルとは言えませんが、使用時間に比べて充電時間が短いので気になりません。出かける準備をしながら充電していれば、出かけるときには十分なバッテリー残量になっています。
小型DAPのなかには利便性が低いモデルもあるものの、AP80PRO-Xは小型DAPとしては非常に使い勝手がよいスペックです。
Hidizs AP80PRO-Xの良いと感じた感想をレビュー
Hidizs AP80PRO-Xのスペックについて紹介しました。ただ、スペックを見てもどういうところが良いのかいまいちわからない方もいるはず。そこで今度は、Hidizs AP80PRO-Xの良い感想・レビューについて紹介します。
ハイレゾ音源を小型筐体で気軽に楽しめる
AP80 PRO-Xは、小型DAPです。手のひらサイズで、胸ポケットにも入るほど小さいため、気軽に取り回せます。
端子の都合上厚みはあるものの、ポケットのなかで邪魔にならない厚さです。厚みは、DAPの製品特性上、薄くするにも限界があります。本機は限界まで薄くして、なおかつ小さいのが魅力です。
そんな小型DAPにも関わらず、ハイレゾ音源を高いレベルでガッツリと堪能できるのが最大の特徴。
歌い手の声や呼吸、楽器、それぞれの音粒が鮮明であるとともに、心地の良い中低音、美しく伸びる高音など、ハイレゾ音源ならではの特徴をしっかりと楽しめます。
音場・定位も申し分なく、音楽の作り手の意図がAP80 PRO-Xを通じてしっかりと伝わってきます。
2万円台という価格帯を考えれば申し分のない音質です。
DACとして活用可能
AP80 PRO-Xは、PCやスマホと接続してDACとしても使用することが可能です。
普段、SpotifyやAmazon Musicなどストリーミングサービスで聴いている音楽をワンランク上の音質で楽しめます。
お気に入りの曲はハイレゾ音源を購入して音源データから聞く、なんとなく聴きたい曲はストリーミングサービスで聞く、AP80 PRO-Xはそんなニーズに対応してくれるDAPです。
AP80 PRO-X単体でストリーミングサービスも聞けたら良いのに
あや
よしぞー
AndroidOSを搭載したDAPで存在するけど、相当スペック(値段)を上げないと動きがモッサリするよ
Bluetooth DACとしても活用可能
本機は、スマホとの無線接続に対応しています。AP80 PRO-Xに有線イヤホンを繋ぎ、スマホとは無線で接続することで、有線イヤホンの無線化が可能です。
それ、意味あるの?ケーブルは消えないじゃん
あや
よしぞー
AP80 PRO-XのDACを介すから音が良くなるし、直接つなぐより、スマホが扱いやすくなるよ
音楽視聴中もスマホの操作がしやすくなるうえ、本機は小型なのでスマホでは入れにくいところにも入れられます。
スマホよりも取り回しが良いので、有線イヤホンの無線化をすると外出時の音楽鑑賞が快適です。
またスタート・ストップなど簡単な操作はもちろんですが、AP80 PRO-X側でスマホとは切り離した音量調整も可能です。スマホの音量だけでは心もとない場合でもパワーを発揮します。
また、スマホがLDACに対応していれば、ハイレゾ音源を無線で楽しむことが可能です。
小型・安価でバランス接続対応
AP80PRO-Xは、小型で安いのが魅力のDAPです。
26,000円程度で購入できます。DAP全体を通して考えると非常に安いです。機能性・性能と比べると非常にコスパがよく、入門機として最適。
そのうえ、バランス接続にも対応しています。
バランス接続って何だっけ?
あや
よしぞー
簡単にいえば音の立体感が増したりノイズが減ったりする接続方法だね
生相と逆相の音声信号が、左右それぞれに流れます。これにより、左右の信号が混ざり合うクロストークが減少し、左右の音がハッキリと分離するのが特徴です。左右の音が混ざりにくくなることで、立体感が増しているように聞こえます。
そのうえ、逆相の信号を流すことでノイズが低減されるのも魅力です。
2万円台のDAPで、バランス接続に対応している機種はそう多くありません。加えて小型DAPともなると、対応していない機種のほうが多いです。コストもかかるうえに、小型の場合は「小型にしたいのに接続端子を増やさないといけない」という相反する仕様が生まれるため、より難しくなります。
小型・安価でバランス接続に対応しているというだけでも、購入する価値があるDAPです。
チャンネルセパレーションが広い
Hidizs AP80PRO-Xは、チャンネルセパレーションが同型モデル「AP80 Pro」と比べて広いのが特徴です。
チャンネルセパレーション…?
あや
よしぞー
左右のチャンネルがどれだけ分離してるかを示す値だよ
チャンネルセパレーションが広いほど、左右がしっかり分離していることになり、左右の音が混ざりにくくなります。一般的には、バランス接続のほうがチャンネルセパレーションが広いです。
Hidizs AP80PRO-Xのチャンネルセパレーションは、以下のようになっています。
- シングルエンド:110dB
- バランス:117dB
AP80 PROはシングルエンドが70dB、バランスが98dBなので大幅な向上です。
特に注目すべきは、シングルエンドのチャンネルセパレーションの広さ。バランス接続と7dBしか差がありません。
シングル接続でも、左右の音の分離による音の定位感をしっかりと楽しめます。
独自OSで操作がサクサク
Hidizs AP80PRO-Xは、HyBy OS 3.0というDAP専用に作られたOSを搭載しています。
一般的なAndroidOSが搭載されたDAPと比較して機能が制限されているためサクサクと動き快適です。
サクサクは良いね!
あや
よしぞー
独特の操作感なので、最初は操作でつまずくけどスグに慣れるよ
カスタマイズが豊富
Hidizs AP80PRO-Xは、カスタマイズが豊富です。
イコライザはプリセットが8種類、カスタムが1種類の合計9種類から選べます。そのうえ、プリセットのカスタマイズも可能です。プリセットが気に入らなければ、それを土台として自分好みにアレンジできます。
イコライザのバンドも10個あり、細かく設定できるのがよいところです。
さらに、メーカー独自のMSEBという音色調整機能があります。
ハイレゾ音源を音色調整を通して聴くと違和感が出るものもありますが、AP80PRO-XのMSEBは違和感が小さいのが魅力です。
MQA技術が採用されている
Hidizs AP80PRO-Xには、MQA技術が採用されています。
MQA?クイズマジックアカデミー?
あや
よしぞー
それはQMA。MQAは最大サンプリング周波数が高く容量が小さくなる圧縮技術のことだよ
MQAは、WAVという非圧縮形式の音声データを音のボケを減らしながら、折り紙のように折りたたんで容量を減らす技術のことです。通常、音声データの圧縮は音を削る形で行われます。
MQAは削らず、データ自体を折りたたんで小さくすることができるため、より原音に近い音を楽しめるのが魅力です。
ハイレゾ音源なのに容量が小さくなるのもよいところ。
そのうえ、音の分離感がよいです。MQA音源はサンプリング周波数192kHzまたは352kHzが一般的。量子化ビット数は、24bitです。
音の解像度が非常に細かく、情報量・密度の大きな音楽が聴けます。
よしぞー
超ザックリ言うと、FLACとかより音質がいいのに容量が小さい!ってことだね
Hidizs AP80PRO-Xの気になる部分をレビュー
ここまで、Hidizs AP80PRO-Xの良いところをレビューしてきました。ただ、なかには人を選ぶポイントや気になると感じられるところがあるのも事実。今度は、そんなAP80PRO-Xの気になると感じた部分をレビューしていきます。良いところと気になるところを両方知ったうえで、購入を検討しましょう。
文字が小さく曲選択に苦労する
AP80PRO-Xは2.45インチの小型ディスプレイです。そのため表示できる情報量は限られております。
曲選択時にアルバムによっては曲名が全て表示されず、聴きたい曲にたどり着くのに手間取るというデメリットが生じます。
よしぞー
特にクラシック系の曲はタイトルが長いものが多いから探すのに苦戦するよ
小さなサイズがウリのDAPだから仕方ないね。これ以上文字小さくしちゃうと見えづらいし。
あや
解決策としてはプレイリストを作成して、好きな曲を整理しておくのがベストでしょう。
映像コンテンツ視聴に不向き
本機は、スマホと無線で接続します。無線接続は確かに便利ですし、LDACに対応していればハイレゾ音源も高音質で聞けますが、どうしても遅延はあるので注意しましょう。
音楽を聴くだけなら全く問題がありませんが、映像コンテンツ視聴に使うのには不向きです。動画やアニメ・映画を見るときは、AP80PRO-Xを無線接続しないようにしましょう。
よしぞー
遅延はBluetooth製品全般に言える課題だから仕方ないね
遅延が嫌なら無線DAPは使わないほうが良いってことね
あや
MSEBの調整が難しい
Hidizs AP80PROのMSEB機能を使えば、音質を調整できます。
ただし、調整が難しいです。指をスライドさせて値を動かそうとしても、なかなか思った値に設定できないケースがあります。特に細かく設定したい場合は、難しいです。
その場合、指をスライドさせず、画面に軽く指を当てた状態で左右に軽く傾けましょう。そうすれば、比較的値の調整がしやすいです。
SDカードが差し込みづらい
AP80PRO-Xは音楽データの入ったSDカードを差し込んで使用しますが、このSDカードが中々奥まで差し込めないという印象を最初に受けました。
小さめのマイナスドライバーなど細い棒で押し込んであげればカチッとハマるのですが、初めて使用した時はその感触がイメージできず指で一生懸命押し込んでいました。
SDカードを取り外すときも同じで指だけでは取り出せない(爪が長ければなんとかなるかも)ので、同じようにSDカードの差し込みで苦戦したらそういうものだと認識ください。
Hidizs AP80PRO-Xのレビューまとめ
ここまで、Hidizs AP80PRO-Xについてレビューしてきました。
小型のため細かな調整がしにくいなどの難点もありますが、総じてクオリティが高いDAPです。特に、2万円台という価格でありながらハイレゾに対応し、MQAも採用している点が魅力的。
もちろんコンパクトなDAPのため画面の使いづらさ・見ずらさはあります。
自分に合うDAPかどうか見極めて、購入を検討しましょう。
- Hidizs社公式サイト:https://www.hidizs.net/
AP80PRO-Xと組み合わせたいおすすめイヤホン
最後にAP80 PRO-Xと組み合わせたいイヤホン、Hidizs社のMD4を紹介します。
MD4はバランスドアーマチュアドライバーを4基搭載しているのが、スペック上最大の特徴。高解像度でクリアな音質が楽しめるハイレゾ対応イヤホンです。
また、イヤホン本体にチューニングスイッチが付いており、4種類のモードを切り替えられるのも面白いところ。
値段も26,000円程度と抑えられており、AP80PRO-Xと合わせ50,000円ちょっとで高品質なハイレゾ環境を手に入れることができます。
同じHidizs社でデザイン的にもAP80PRO-Xと相性が良く、ハイレゾ音源を堪能できる音質の良いイヤホンを探している方にぜひ検討いただきたいイヤホンです。
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