近年、ハイレゾはしっかり浸透していますよね。サブスクでもハイレゾ音源が増えていますし、DAPもハイレゾ対応機種が多いです。
ただ、イヤホンもハイレゾに対応していないと、ハイレゾは聴けません。
音源だけでなくDAPやイヤホンの性能まで良くないと、せっかくの高音質音源が台無しになりかねないのがオーディオの難しいところですよね。
そこで今回は、ハイレゾ対応イヤホンの選び方と、おすすめハイレゾ対応イヤホン5つを紹介します。
目次
まずはハイレゾの基本をおさらい!
ハイレゾ対応イヤホンについて詳しく語る前に、まずは勘違いされることの多いハイレゾの基本についておさらいしましょう。
ハイレゾというのは、音源の収録技術のようなものです。ハイレゾというファイル形式があるわけではありません。
従来のCDは、元の音源を圧縮して収録しています。圧縮する際に特定音域の音をカットするなど、情報の削減が行われるんです。原音と似た形の波形になるものの、一致率は低く、元の音の再現性はどうしても低くなります。
一方ハイレゾは、従来のCDに比べて原音の再現性が高いです。従来のCDと比べると情報量は約6.5倍だとも言われています。
サンプリングレートはCDは44.1kHz/16bitが主流で、ハイレゾは192kHz/24bitにもなるんです。
ただ、このサンプリングレートに対応していないDAPやイヤホンで聴くとハイレゾ音源にはなりません。自動的にその端末・イヤホンの限界のサンプリングレートに調整されます。
だからハイレゾ対応イヤホンが必要なんです。
ハイレゾ対応イヤホンを選ぶときに見るべきポイント
ハイレゾ対応イヤホンを選ぶときには、見るべきポイントがいくつかあります。イヤホンの音質、音の傾向、装着感などをスペックから察するために必要なことです。今回は簡単に、4つのポイントを紹介します。
ハイレゾ対応ロゴをチェック
ハイレゾ対応イヤホンには、ハイレゾ対応ロゴが描かれています。公式ページを見ると、わかりやすいですよ。
ハイレゾ対応ロゴというのは、日本オーディオ協会が一定の性能・品質を満たすオーディオ製品に使用を許可しているロゴのことです。ハイレゾ音源を含む、さまざまな音源を聴くことを前提にしています。対応ロゴが無くても実質ハイレゾを聞けるイヤホンもあるものの、一つの目安として覚えておくと良いでしょう。
また、ワイヤレスでハイレゾを聞けるイヤホンは有線と比べると少ないです。
無線より有線の方が音質を高めやすいためですね。
ワイヤレスイヤホンでハイレゾに対応している場合、「Hi-Res AUDIO WIRELESS」と書かれたロゴが記載されます。
接続方法をチェック
イヤホンには、大きく分けて有線・無線の接続方法があります。
運動中などコードが邪魔になるようなシーンで使いたい人は、無線を選ぶのがおすすめです。落ち着いて音楽を聴きたいという人は、有線が良いでしょう。
また、有線でスタンダードなのは3.5mmステレオミニプラグです。これがほとんどのオーディオ機器で使われているため、最も汎用性が高くなります。
他にも高性能イヤホンだとバランス接続可能なものもあるんです。これは2,.5mmまたは4.4mmとなっています。
ドライバーユニットをチェック
イヤホンには、3タイプのドライバーユニットがあります。
まず、一番多く採用されているダイナミック型です。
信号を振動板に伝えて音を出す、スタンダードなタイプとなっています。音に関しては低音が少し得意で、再生周波数の範囲(レンジ)が広く、音の解像度が低いという特徴があるんです。
音の解像度は、「どれだけ細かくオリジナルの音を再現しているか」を示す指標として使われます。密度・情報量とも言いかえられるのですが、レンジが広くなると自然と解像度も低くなるんです。人口密度と同じですね。密集している方が個々の顔を認識しやすく、広い空間に散らばっている方が個々の顔を認識しにくくなるのと似た現象です。
ただ、近年はダイナミック型でも音の解像度が高めのイヤホンが多数あります。モデルによる違いもあるので、ダイナミック型だから解像度が低いとも言い切れません。
あくまで、他のタイプに比べれば低めという話です。
続いて、バランスアーマチュア型。
これは、比較的高価格帯のイヤホンで採用されることが多い傾向があります。高音と中鬼木が得意で、レンジが狭い分音の解像度が高いです。
そして、ダイナミックとバランスアーマチュアの2つを搭載したハイブリッド型もあります。両方の良いところを受け継いでいるため、音には特に欠点がありません。
その分、価格帯が高くなりがちです。
ドライバーユニットの種類によっても音が変わるため、ここはしっかり見ておきましょう。
装着タイプをチェック
装着タイプも見ておきましょう。
カナル型やインナーイヤー型と呼ばれるものです。
近年最も主流なのは、カナル型。先端を耳に挿して使うタイプです。耳栓のような使い方をするので、密閉状態で音を楽しめます。遮音性が高いので音楽の世界への没入感が高いのが魅力です。
ただ、長時間使用すると耳が痛くなることもあります。
インナーイヤー型は、耳の穴に引っ掛けるようにして装着するタイプです。耳の穴に挿入しないので装着感が良く、疲れにくくなっています。その分、音漏れしやすいのが欠点です。
ハイレゾの高音質を楽しむのなら、相性が良いのはカナル型でしょう。
おすすめのハイレゾ対応イヤホン5選
ここまで、ハイレゾ対応イヤホンについて説明してきました。選ぶときに見るべきポイントがそれなりにありますが、慣れれば簡単に選べるようになりますよ。そこで、実際におすすめなハイレゾ対応イヤホンを5つ紹介しましょう。
SONY XBA-N3
- 接続方式:有線
- 駆動方式:ハイブリッド
- ドライバーサイズ:9mm
- タイプ:カナル型
- インピーダンス:16Ω
- 再生周波数帯域:3Hz~40kHz
- 音圧感度:107dB
小さなドライヤーのような特徴的な形をしているイヤホンです。この形状とドライバーユニットの質量のおかげで、カナル型特有の「耳に挿入している」という違和感のようなものがありません。付けているのを忘れるほどに自然です。
駆動方式は、ハイブリッドタイプ。価格帯は3万円台なのですが、この価格でハイブリッドドライバーユニットを搭載しているイヤホンは、あまりありません。
音は、SONYらしくとてもクリアです。原音の持っている音色の美しさを、ありのままに表現しています。それぞれの音の粒がしっかりと立っているように聞こえるものの、音のまとまりがとても良く、全音域バランスが良いです。
高音域は音の余韻、残響、静寂、息遣いまで聞こえてきます。静寂が聞こえてくるというのは冷静に考えるとおかしいかもしれませんが、この「静かだ…」という感覚は、まさにそう表現するにふさわしいでしょう。
ずっと聴いていられる心地よい音です。
よしぞー
ハイレゾ音源と合わさると、本当に原音の再現度が高まるよ
JVC HA-FX1100
- 接続方式:有線
- 駆動方式:ダイナミック型
- ドライバーサイズ:11mm
- タイプ:カナル型
- インピーダンス:16Ω
- 再生周波数帯域:6Hz~45kHz
- 音圧感度:106dB
HA-FX1100の最も特徴的なのは、随所に木が使われているところです。
まず、ドライバーが格納されている重要な部分、ハウジングが木製になっています。そのうえ、11mmのウッドドームユニットも搭載。徹底的に素材にこだわっているのがわかります。
ウッドドームユニットは、独自の薄膜加工技術が使われた振動板です。ここにリング状に加工したウッドディフューザーを配置することにより、音を拡散させて自然に音を広げています。
一般的に、木製イヤホンはクリアな音と美しい音色の響き、自然な音の広がりを楽しめるのがメリットだと言われているんです。本モデルも、その木製イヤホンの特性はしっかり感じられます。クオリティが高いのか、より高次元に昇華されている印象すらありますよ。
高音は全体的におとなしめですが、艶やかさがあります。
中音域は音の厚みがかなりあり、濃厚な味付けです。音の芯がしっかりとしていて、自然と空間に溶け込むようにして広がっていきます。
低音域は振動が厚く、どっしりした音です。濃密な空気感を作り出してくれており、熱気を感じやすいです。ロックを聞くと、とても楽しいでしょう。
音の解像度もダイナミック型としてはしっかり高く、ハイレゾとの相性も良いです。
ついつい一緒に出かけたくなるイヤホンね
あや
DENON AH-C820
- 接続方式:有線
- プラグ形状:ミニプラグ
- 駆動方式:ダイナミック型
- ドライバーサイズ:11.5mm
- タイプ:カナル型
- インピーダンス:16Ω
- 再生周波数帯域:4Hz~40kHz
- 音圧感度:115dB
AH-C820は、2基のダイナミック型ドライバーを対向配置しています。これにより、2倍の振動板面積が確保されており、音の質感が高く超低域までクリアな音になるんです。そのためか、低音に強い傾向があります。
とはいえ、低音が激しく強調されたというわけではなく、あくまでも全体としての調和を保つためにブーストされているという印象です。リズム隊と低音による下支えがしっかりしているので、他の音域もかえってわかりやすくなっています。
さらに、ハウジングというパーツにアルミダイキャストとABS樹脂が使われているんです。これによって、無駄な振動を抑えることができます。無駄な振動が抑えられると音がクリアになるんです。
デュアル・アコースティック・オプティマイザーも搭載。
ドライバー前後の音圧バランスを調整し、振動板のピストンモーションを最適化しているんです。ドライバーがより精密に動き無駄がないので、よりドライバーの性能を良く引き出してくれます。
そして、音の情報量と密度に関してはダイナミック型の中では高い方です。特に低域は強いというだけのことはあります。太さと厚みがしっかりあり、どっしりとした重厚な音になっているんです。パーカッションは表面張力すら感じられるほど音の粒が細かく、高音域は伸びやかになっています。
よしぞー
低音が好きな人におすすめのイヤホンだね
audio-technica Sound Reality ATH-CKR100
- 接続方式:有線
- 駆動方式:ダイナミック型
- ドライバーサイズ:13mm
- タイプ:カナル型
- インピーダンス:12Ω
- 再生周波数帯域:5Hz~45kHz
- 音圧感度110dB
ドライバーサイズは、イヤホンとしては大きめです。これを二基搭載しており、ハイレゾ音源をより細かく描写することができます。ダイナミック型の弱点である解像度を補い、ダイナミック型とは思えないほど高解像度な音が楽しめるんです。
さらに、優れた音響特性を持つ素材である、高剛性チタニウムをハウジングに採用しています。これで無駄な振動を減らし、音をクリアに。そのうえ左右独立のスターカット撚り線が、ノイズをもっと減らしてくれています。徹底的にクリアな音作りが見られ、好印象です。
ハイレゾは特にそうですが、解像度の高い音を聴くのにノイズがあると激しく邪魔になります。ハイレゾにただ対応するだけでなく、情報量の多い音をより良く聴いてもらおうという工夫が感じられるんです。
音は、若干味付けが感じられるフラットといったところ。
音場が広く、前後左右さまざまな方向から音楽を浴びせられているように感じられます。音の粒がハッキリとしていて、定位・分離感共に優秀。基本性能が高いです。
低音は主張しすぎることがなく、キレがあります。
高音域は特に情報量が多く、伸びやかに感じられるんです。
高音寄りのフラット…少し珍しいかも?
あや
よしぞー
たいていは低音寄りだからね。高音域が好きな人には嬉しいことだよ
JVC CLASS-S WOOD 01 inner HA-FW01
- 接続方式:有線
- 駆動方式:ダイナミック型
- ドライバーサイズ:11mm
- タイプ:カナル型
- インピーダンス:16Ω
- 再生周波数帯域:6Hz~50kHz
- 音圧感度:104dB
本モデルも、ウッドドームユニットが特徴的です。独自の薄膜加工技術を用いた軽量11mmウッドドーム振動板が、ハイレゾ音源の繊細な音のニュアンスの表現力を高めてくれています。さらに強力な駆動力のあるハイエナジー磁気回路と、軽量CCAWボイスコイルによる振動板の正確な動作が原音の忠実性を高めてくれているんです。
音の広がりもとても自然で、サウンドは滑らか。アコースティックな曲調と相性がとても良く、ボーカルもツヤ感がたっぷりとあります。低域のキック感も適度に強いので、JAZZなんかに特に適しているでしょう。
もちろん、ポップ系も楽しく聴くことができます。
左右の分離感などは他のイヤホンのほうが優れているかもしれませんが、音の自然さは今回紹介したモデルでも随一です。木製パーツの特性がうまくきいている印象があります。
あまりに自然なので、長時間聴き続けても飽きが来ません。疲れもなく、ずっと使い続けられる相棒になるような一本です。
よしぞー
フラッグシップモデルだけど値段も今なら下がってるし、買いどきだね
自分に合ったイヤホンでハイレゾ音源を楽しもう!
ハイレゾ対応イヤホンを使えば、ハイレゾ音源を楽しめるようになります。もちろん、再生端末もハイレゾに対応している必要はありますが、既にハイレゾ対応端末を持っていれば追加投資はイヤホンだけで足りるでしょう。
ただ、ハイレゾ対応と言っても音の傾向はそれぞれ異なります。
自分の好みの音を鳴らしてくれるイヤホンを選び、ハイレゾ音源を楽しみましょう!