オーディオを楽しむ際に必要なアンプ。
ただ、アンプにも色々な種類があります。プリアンプ、パワーアンプ、プリメインアンプ、AVアンプ、ネットワーク機能付きのアンプ…。名前だけでは、正直どれがどんな役割を持っているのかわかりませんよね。
そこで今回は、アンプの種類ごとの役割の違いがわかるよう、各アンプについて簡単に説明していきます。
目次
プリアンプとパワーアンプの違いとは?
プリアンプとパワーアンプという2つのアンプが、オーディオを楽しむのには最重要です。この2つの違いさえわかっていれば、とりあえずアンプを導入することはできます。そこでプリアンプとパワーアンプの役割をそれぞれ紹介し、プリメインアンプの正体についても説明しましょう。
プリアンプとは
プリアンプというのは、直訳すると前置増幅器というものです。プリという言葉には、前もって、事前にという意味があります。アンプは音声信号の増幅という役割を担っているんです。
つまり、事前に増幅しておくための機器、ということですね。
事前に?どういうこと?
あや
よしぞー
スピーカーで再生する前段階で、アンプとしての役割を果たすということだよ
プリアンプだけでは、スピーカーで音楽を十分に再生できるレベルまでの信号の増幅はできません。
それより前の段階で、左右のスピーカーのバランス調整や音量、音質の調整などをするのがプリアンプの役割です。音源ソースの選択という役割もあります。
つまり、再生するためのアンプではなく、より良く再生するための前準備をするアンプということですね。仕事は主に、内部の信号の整理です。プリアンプだけでは再生できませんが、プリアンプがあれば音質を変化させることができるということになります。
また、スピーカーには不十分ですが、ヘッドホンを鳴らす程度ならプリアンプだけでも十分な音量が出ますよ。そのため、プリアンプにはヘッドホン端子が付いていることが多いです。
ヘッドホンアンプ、ポータブルアンプというものがあります。
これは、ヘッドホンを鳴らすために作られたプリアンプといったところです。
パワーアンプとは
パワーアンプは、電気信号をスピーカーから再生できるレベルにまで増幅するという役割を担っています。プリアンプより後の段階ですね。一般的にアンプと言うと、このパワーアンプを指すことが多いです。
ただし、パワーアンプだけでは音質の変化まではできません。パワーアンプはあくまでも、信号を増幅させて再生機器で出力することが役割ですから。
なるほど、プリアンプからパワーアンプへ流れて、それがスピーカーで出力されるのね
あや
よしぞー
そういうこと。一般的なアンプのイメージそのものって感じだね
2つを一体型にしたのがプリメインアンプ
プリアンプだけではスピーカーから出力するのには不十分ですが、パワーアンプだけだと音質の変化はできないと説明しました。
さらに、プリアンプにはボリュームつまみが搭載されていることが多いです。両方、オーディオ環境にとって大切ということですね。
ただ、プリアンプとパワーアンプを両方用意するのはお金がかかります。そのうえ、接続の手間などもありますし、気軽に扱えるとは言い難いです。少なくとも、両者がどんな役割を担っているのかの知識は必要になります。
そこでこの2つを一体化させて、1つの機器で両方の役割を果たせるようにしたのが、プリメインアンプです。
近年は、手軽に楽しむということがどんな娯楽でも共通してテーマとなっており、この一体型のプリメインアンプが主流になってきています。
プリメインアンプを使うメリットとデメリット
プリメインアンプは便利ですが、メリットもあればデメリットもあります。ライトユーザーには一体型のプリメインアンプが主流ですが、オーディオマニアの中にはやはり分離させたほうが良いという人もいるんです。そこでプリメインアンプのメリットとデメリットを、簡単に紹介しましょう。
メリットは利便性と簡単さ
プリメインアンプのメリットは、利便性と扱いやすさです。
プリアンプとパワーアンプの両方を分離させて使うには、色々と大変な点があります。揃えるのが大変だったり、組み合わせ次第で音が変わるので最適解を見つけるのが大変だったりしますから。そもそも置く場所が無いという人もいるでしょう。
プリメインアンプは一体型なので、組み合わせについて思考する必要はありません。
プリメインアンプの製品ごとの違いとスピーカーとの相性だけを考慮すれば、十分です。分離していると製品ごとの性能の違いと相性に加え、プリアンプとパワーアンプの相性も探る必要があり、初心者向けとは言い難いでしょう。
さらに、音源ソースもスピーカーも両方をプリメインアンプという1つの装置に繋げられるので、楽です。
プリアンプとパワーアンプの知識が乏しい人でも使いやすいですし、最近人気が高いハイレゾに対応する機種も増えてきています。
これがあればOKっていうのは確かに便利かも
あや
よしぞー
だけど完璧じゃないから、オーディオマニアは満足しなかったりするんだよ
デメリットは調整の不便さと電源容量
プリメインアンプのデメリットは、調整と電源容量にあります。
プリアンプとパワーアンプには、それぞれ役割に合った調整があるんです。プリメインアンプは一体型なので調整しようにも、それぞれを細かく調整することはできません。
独立したプリアンプとパワーアンプがあれば、それぞれを細かく調整して役割と環境に応じて最適化することができます。それぞれの性能を最大限引き出せるということです。
電源容量っていうのは、どういうこと?
あや
機器には、駆動させるのに必要な電気の量があります。大雑把に言えば、これが電源容量です。
プリアンプとパワーアンプは、それぞれ最適な電源容量が異なる場合があります。
ただ、プリメインアンプは2つの異なる機能を同時に成立させなければならず、その仕組み上、電源系統は1つになるんです。1つの電源から異なる容量の電気を複数同時に流すことは、できません。
そのため、プリアンプとパワーアンプそれぞれの機能や性能に対し、十分な電源容量を確保できない可能性があります。
また、異なる機能を同じ機器で同時に使うことでノイズを拾いやすくなるとも言われているんです。
よしぞー
ただ、プリメインアンプにもセパレートタイプというのがあるんだ
オーディオマニアたちの間では、2つを分けた方が音質が良いという意見が強いです。そんな需要に応えるためにあるのが、セパレートタイプ。
セパレートタイプはプリアンプ部分とパワーアンプ部分を、それぞれ単独で使うことができます。
完全ではないものの、一体型プリメインアンプのデメリットを緩和できるんです。
しかも、初心者のうちは一体型として手軽に扱えます。それでは物足りなくなったり、もっと色々調整してみたいと思ったりしたときに、新しい機器を買わずに対応できるのが強みです。
AVアンプとプリメインアンプの違いとは?
AVアンプは、簡単に言えば映像も同時に楽しむときのためのアンプです。
映像機器に信号を分配してくれるAVセレクタ機能と、映像や音源に合わせて音場空間を調整する役割を持っています。
音場空間というのは、音が存在する空間や音が広がる空間のことを指す言葉です。日常において、色んな方向から音が出ていますよね。聞く環境によって、音の感じ方はそれぞれ異なります。
この「環境ごとに音が聞こえてくる方向などを再現する」というのが、音場空間の調整です。
よしぞー
つまり、映像ごとに音が聞こえる方向を調整したり音質を調整したりするものだね
映画とかに臨場感が生まれそうね
あや
また、最近は再生する映像や音源に合わせて、音場や音質を自動で調整してくれる機能を持つAVアンプも増えています。
プリメインアンプとの違いは、活用シーンです。
プリメインアンプは音楽を鑑賞するときに使いますが、AVアンプは映像付きで音を楽しむときに使います。映画を見るとき、ライブ映像を見るときに音によって臨場感を増すために使うというイメージです。
ネットワークアンプとは? プリメインアンプとの違い
ネットワークアンプというのも、最近は使われることが増えてきました。
その名の通り、ネットワーク機能を持ったアンプおよびプレイヤーのことです。通常、ネットワーク上のストレージにある音源を再生するには、PCなどを使う必要があります。ストリーミングサービスを楽しむときもそうです。
PCを立ち上げて、PCにスピーカーやアンプを接続して、再生しますよね。
これをPCが無くても行えるようにしたものが、ネットワークアンプです。
NASやHDDといったネットワーク上のストレージに直接アクセスできるほか、ストリーミング再生を単体で行うこともできます。
今どきのオーディオ環境を、これ1つにまとめることができるんです。
よしぞー
プリメインアンプにネットワーク機能が付いたものが、ネットワークアンプと呼ばれるよ
つまり、正体はプリメインアンプというわけね
あや
プリメインアンプを選ぶときの選択肢のひとつとして、覚えておくと良いでしょう。
結局アンプはどれをどう使うのが正解?
アンプにはさまざまな種類があるということと、それぞれの役割について説明してきました。これで各アンプの違いについてはクリアしたと言って良いでしょう。最後に、それぞれのアンプはどういう場合に使えばいいのかについて、これまでの内容を踏まえ簡単に説明します。
気軽に使いたいならプリメインアンプ
オーディオ初心者の方や、細かい調整などを抜きにして気軽にアンプの実力を試してみたい人はプリメインアンプを使うと良いでしょう。プリメインアンプはプリアンプとパワーアンプが独立したものよりも、調整が簡単です。それぞれを細かく調整する必要がありませんから。
そのうえ、狭い場所にも置きやすいです。
取り回しやすさ、接続のしやすさ、調整の簡単さ全てが初心者向きと言えます。
後々細かい調整も試してみたくなったときのために、セパレートタイプを買っておくのもありですよ。
映像と一緒に楽しみたいならAVアンプ
ライブ映像を頻繁に見る方、映画を見るときの音響を整えたい方には、AVアンプがおすすめです。
AVアンプがあればライブ映像ごとに音場空間を調整できるため、より臨場感のあるオーディオ体験ができます。映画も同様です。映画館のような音の分離感、音場を楽しめます。
ただ、自動補正機能が無いと、映像や音源を変える度に自分で色々調整しないといけないので面倒です。そのうえ、初心者向けとは言い難いでしょう。
面倒に感じたり調整に不安を感じたりするなら、自動補正機能付きのものを買うことをおすすめします。
ストリーミング環境重視ならネットワークアンプ
購入したCDを聞いたり、購入した音源データをCDやUSBなどのメディアに自分で保存したものを聞いたりするのがメインなら、プリメインアンプまたは独立したプリアンプとパワーアンプを使うのがおすすめです。
ただ、ストリーミング環境を重視するならネットワークアンプも選択肢に入ってきます。
プリメインアンプでもPCをなどを使えばストリーミング再生はできるのですが、ネットワークアンプがあれば単独で楽しめますから。そのうえプリメインアンプにネットワーク機能が付いたものなので、プリメインアンプとしても普通に使うことができます。
よりこだわりたいならプリアンプとパワーアンプ
よりオーディオにこだわりたい人向けなのが、プリアンプとパワーアンプをそれぞれ導入することです。
プリアンプとパワーアンプは、組み合わせによって音が変わります。違うメーカー同士を組み合わせたりするのも楽しいです。無限大にある組み合わせから自分に合ったものを探る楽しさは、プリメインアンプにはありません。
そのうえ、調整次第で音が変わるということを実感できます。そこも面倒ではあるのですが、楽しいポイントです。
また、ヘッドホンだけならプリアンプの一種とも言えるポータブルアンプ・ヘッドホンアンプを使うのも選択肢のうちですよ。
よしぞー
趣味のためなら面倒も楽しめるという人には、独立してるのがぴったりだね
自分の用途や好みにあったアンプを選ぼう!
アンプにはさまざまな種類があり、それぞれ持っている役割が異なります。結局のところ、自分がどのように音楽を楽しみたいのか次第です。気軽に音楽だけ楽しむならプリメインアンプ、ストリーミングをメインにするならネットワークアンプ、映像も一緒ならAVアンプ…。
あとは、面倒なことを楽しめるかどうか、オーディオにどこまで本腰を入れるかですね。
自分の用途や好みなどと照らし合わせながら、自分に合った種類のアンプを選びましょう。