2021年あたりから急速に注目度が増してサービスも日毎に拡大している、メタバース。
実は、メタバースが流行する前から今日のメタバースの基礎とも言えるようなプラットフォームがありました。仮想空間にアバターを通して集まりコミュニケーションをとるというのは、日本でもアメーバピグという形で親しんでいる人が大勢いましたよね。
それよりもっと、現在のメタバースに近かったのが「Second Life(セカンドライフ)」です。
メタバースの歴史を追うには、欠かせない存在だと言えます。
今回は、そんなセカンドライフが流行した理由や特徴について、紹介しましょう。
目次
セカンドライフって何? 特徴を解説
まずは、セカンドライフとはどういうプラットフォームだったのかについて、簡単に説明していきます。セカンドライフは当時としては画期的なシステムがあり、アニメなどで見たような「仮想世界」そのものでした。そんなセカンドライフがどんなメタバースだったのか、説明していきます。
PCでアクセスできる仮想空間
セカンドライフは、PCを通じてアクセスできるインターネット上の仮想空間です。
3DCGで構成された世界に、プレイヤーはアバターを通してアクセスします。アバターは多彩なアクションを取ることができ、ボイスチャットとアクションでコミュニケーションが取れたんです。
アメーバピグと違うのはリアリティのあるグラフィックと、ボイスチャットができたということでしょう。流行した当時は、日本人プレイヤーも大勢いました。
アバターを通してコミュニケーションが可能
アバターを通して声やアクションなどでコミュニケーションがとれると説明しましたが、セカンドライフ内のコミュニケーションはもっと多種多様でした。たとえば普通に会話するだけということもあれば、セカンドライフ内で路上ライブのようなことをする人もいたんです。
他にも当たり屋的に通りすがる人全員に喧嘩を売る人、初心者ユーザーに案内をする古参ユーザーなどなど…。
またアダルト系の土地も普通に有ったりします。
現実世界同様に色々な人がいて、さまざまなコミュニケーションの形がありました。当然良し悪しはありますが、そのカオスなところも現実世界と似ていて、そこもまた魅力だったものです。
喧嘩売られるのは勘弁だけどね
あや
よしぞー
初期は優しい人のほうが多かったよ
自由にイベントの企画・ものづくりができる
セカンドライフ内では、自由にイベントの企画が楽しめました。
たとえば、セカンドライフ内にビルを建ててテナントを募ったり、ショップをオープンしたりですね。現在のメタバースでNFTアイテムを通じて行われるようになってきているようなことが、当時も行われていたわけです。
他にもゲーム内に現実の街を再現するプロジェクト、テーマを決めて話し合うミーティングなどなど…。ユーザーが多種多様な催しを企画していたものです。
毎日ワクワクしながら過ごせそう
あや
よしぞー
本当にそうだったんだよね
また、セカンドライフ内でものづくりを楽しむこともできました。自由度が相当高く、当時としてはとても画期的なゲームだったんです。
セカンドライフが流行した理由は?
セカンドライフがどんなプラットフォームかについて説明しました。コミュニケーションを主体とし、自由に楽しむことができる仮想空間…まさにメタバースですよね。今度は、セカンドライフが流行した理由について紹介しましょう。
クリエイターが注目したのがはじまり
はじまりは、クリエイターたちがセカンドライフに注目したことです。
セカンドライフは、プラットフォーム内でさまざまなワールドを作ったりものを作ったりできます。プログラミングができたり、3DCGをイジれたり…。しかもそれをすぐ自分たちで遊ぶことができるのですから、技術を持ったクリエイターたちにとってはとても良い遊び場だったんです。
そうしてクリエイターたちの間で共有されたのが、流行の始まりでした。
当時としては革新的なサービスでメディアが取り上げた
セカンドライフは、VRChatやNeosVR、The Sandboxなどがある今となっては珍しいプラットフォームではありません。
ただ、当時としては革新的なサービスでした。当時、リアリティを追求したグラフィックでアバターを通じて集まれる仮想空間というのは、ほとんどなかったんです。それだけでも注目されるだろうところ、自由に世界を作れるなどの充実した機能面により注目されました。
注目されて、それでどうなったの?
あや
よしぞー
メディアが盛んに取り上げたんだ
メディアに取り上げられると、クリエイター以外もセカンドライフに興味を持つようになりました。今のメタバースのようにVRゴーグルなどの特別な機材は不要で、オンラインゲームが楽しめる程度のスペックのPCがあれば良かったのも流行の一因でしょう。
興味を持った人が、持っているPCをそのまま使って楽しめました。
しかも基本プレイ無料です。
革新的なうえにはじめやすく、メディアの後押しもあり、クリエイター以外の一般的なユーザーが急増しました。
よしぞー
盛り上がっていたころは本屋に行くとセカンドライフ系の書籍がたくさん並んでいたよ!
クリエイターが一般ユーザーを巻き込んでイベントを展開した
クリエイターと非クリエイターとが一箇所に集まり、セカンドライフに新しい動きが生まれました。
これまでセカンドライフで楽しまれていたイベントは、クリエイター同士が一緒に何かを作るというものがほとんどだったんです。
そこに、クリエイターが非クリエイターを巻き込むようなイベントが生まれました。例えばクリエイターが物を作り、そこを非クリエイターたちに提供して自由に遊んでもらうなどです。他にも非クリエイターも一緒になってものづくりを楽しんだり、という感じですね。
こうしてユーザーたちの交流が、より盛んになったのも流行の理由としてとても大きいです。
結局のところ、人あってこそのメタバースですからね。
ゲーム内の土地を売って収益化できた
セカンドライフは、当時としてはあまりに革新的すぎるシステムがありました。
ゲーム内の土地を売って、収益化できるというものです。現在のメタバースがNFTアイテムとして行っていることを、この頃既に行っていたということですね。収益化ができるということで、稼ごうとするユーザーを集めました。
それがセカンドライフにとって良いことだったかどうかは置いておくとしても、流行がさらに大きくなる理由のひとつであったことは確かでしょう。
クリエイターに、ただ楽しみたい人たち、そしてビジネスでプレイする人たち…。さまざまな目的を持った人がセカンドライフに集まったことにより、交流も盛んになりイベントの種類も増え、セカンドライフは一大ムーブメントになったんです。
セカンドライフは衰退したって本当? その背景とは
セカンドライフは、まさにメタバースの先駆者とも言える特徴を持っていました。時代を先取りしたようなシステムで注目を集め流行したわけですが、今は当時ほどの勢いはありません。サービス終了はしていないものの、2022年現在人は少ないです。
そこで、今度は勢いがなくなってしまった理由についても語っていきます。
収益化ができたことによる金銭トラブル
セカンドライフは、収益化が可能だと説明しました。
これはユーザー層の広がりを生むとともに、トラブルも生みました。主に金銭トラブルですね。土地を買うと言ったのに支払いが無かったとか、支払ったのに土地をくれなかったとか…。
金銭トラブルが頻発するようになると、人は寄り付きにくくなります。
それは当然の話ね
あや
よしぞー
オンラインゲームのRMTに似てる流れだ
ユーザー間の詐欺行為
セカンドライフには、詐欺行為をはたらくユーザーもいました。当時、セカンドライフには月間で6億円ほどの土地売買のやり取りがあったんです。中にはセカンドライフ内の物件で賃貸をして、お金持ちになった人もいます。
そんな中に、詐欺を行う人がいたんです。
たとえばどんな詐欺?
あや
よしぞー
たとえば広告詐欺
セカンドライフ内での広告費の表記をわかりにくくして、ごまかすという手法がありました。たとえば月額料金であるかのように誤解させ、「月額でこれならお得だな」と思わせ、実際は1週間ごとに支払いが発生するというような詐欺がありました。
投資詐欺のようなものもありましたし、犯罪に利用されてしまうことが結構あったんです。
それをメディアが報じるようになり、新規ユーザーが伸び悩みました。
既存のユーザーも離れる人が増え、衰退に拍車をかけていったんです。
信頼性がない金融機関が参入していたこと
セカンドライフ内で賃貸などを営む人がいた、と述べました。こういう仮想空間上の経済圏ができており、金融機関が介入することもあったんです。
信頼性のある金融機関ばかりなら良いのですが、中には信頼性に欠ける金融機関も入り込んでいました。そういう人たちが法外な利子を取るというようなこともあり、問題になっていたんです。
自由なネット社会の弊害とも言えるでしょう。
セカンドライフは、自由で誰でも気軽に楽しめる空間だからこそ、注目されすぎてこういうことが起きるようになっていたんです。
ID認証の導入
2007年8月19日、セカンドライフにID認証が導入されました。
これはあくまで任意で行われました。運転免許証やパスポードなどの情報を入力して照合し、公的データベースを使って二重チェックが行われるという仕組みです。
これは制限された地域にアクセスする際、必要なことでした。制限された地域には、たとえば18歳未満のユーザー立入禁止区域などがあります。
他にも、さまざまな規則が整えられました。
2007年7月にはギャンブルをするのがダメになったり、現実世界での銀行の免許を持っていない人や組織が利子を付ける行為も禁止。他にもさまざまです。
これにより、セカンドライフに乗じて稼ごうとする人たちが撤退していきました。
投資・ビジネス分野での衰退は、これが決め手です。
自由度の高いゲームがたくさん出てきた
稼ごうとする人たちが撤退するようになると、一般ユーザーにとっては居心地の良い場所になっていきました。
ただ、時代が進み自由度が高くクオリティが高いゲームがたくさん出たんです。もちろんセカンドライフ最大の魅力であり特徴である、仮想世界中のすべてのものをユーザーベースで作れるという機能を持ったゲームはほとんどありません。
それでもいろいろな娯楽が出てくれば、目移りするものです。
それから緩やかに人が減って、衰退したと言われるようになりました。
じゃあ結局衰退したの? 今は?
あや
よしぞー
今も続いてるよ
現在、セカンドライフはメタバースの注目度の高まりにより、再注目されつつあります。全盛期に比べれば人は圧倒的に少ないですが、企業などが撤退した後も熱心なユーザーによる創造が続いていたんです。
しかも、アバターの進化も進んでいます。
自由度の高いアバター制作が可能で、よりリアルなアバターや逆に二次元的なアバターなどさまざまなアバターがいるんです。
衰退したというよりも、落ち着いた状況になったと言うべきでしょう。
企業などがいなくなって本来のゲームとしての楽しみが強調されています。ある意味、メタバースが行き着くべき先の姿だとも言えるかもしれませんね。
セカンドライフの生みの親が作ったTilia Payとは?
セカンドライフの生みの親が、Tilia Payというツールを作りました。
これは、仮想経済の決済ツールです。現在のメタバースの機能である、ユーザーを呼び込んでデジタルで稼いだお金を現金化するというものをセカンドライフは長年行ってきました。
こういうツールやシステムというのは、決して簡単ではありません。クリエイターが仮想商品を現金化する際、プラットフォームの提供者が送金業者になる必要があります。それには、ライセンスの取得等が必要です。
Tilia Payは、完全認可となっています。
つまり、安全に使うことができるということですね。
さらに、Uplandという次世代ブロックチェーンメタバースと提携するという動きもあります。今後さまざまなメタバースとも提携が進めば、よりデジタルアイテムの売買がしやすくなるのではないかと注目されているんです。
今メタバースをはじめるなら何が良いの?
セカンドライフというメタバースの先駆者について、説明してきました。
今は、セカンドライフだけでなくさまざまなメタバースがあります。そんな今メタバースをはじめるなら、何が良いのか気になる人もいるでしょう。
初心者におすすめなのは、VRChat、Cluster、NeosVRなどです。また、NFTを活用した収益目的で考えるのであればThe Sandboxなどもチェックしておくと良いでしょう。
VRChatはVRゴーグルを付けて楽しむメタバースとしては、古参です。収益化などはできませんが、その分仮想空間本来の楽しさのみを味わうことができます。ユーザーが世界にあるあらゆるものを創造できるという点、簡単に楽しめる点、PCでも使える点などが魅力です。
人口も多いので、楽しみやすいでしょう。
Clusterはスマホでも楽しめる事と、日本企業が開発したサービスであるため、とっつきやすいです。
NeosVRは、VRChatよりさらにクリエイティブな方面に特化したメタバースです。ゲーム内でそのまま世界を作ることができます。誰かとコミュニケーションを取りながら協力して、一つのものを作り上げるという体験を重視する人におすすめです。
The Sandboxはマイクラのようなボクセルで構成されたメタバースで、収益化ができます。NFTを活用したブロックチェーン型のメタバースとしては人口も比較的多く、売買やコミュニケーションが盛んなのが特徴です。
そして、今回紹介したセカンドライフも覗いてみると良いかもしれません。
現在も独自進化を続けており、ゲーム内にショップがあってクリエイターの作ったデジタルアイテムを購入することができるのが魅力です。
しかも、現在主流なメタバースに比べて物価が安いんですよ。安く魅力的な商品を買えるうえ、長い間創造されてきた多種多様な世界と建造物があります。
第二・第三のセカンドライフが生まれている! メタバースを始めるなら今
セカンドライフは今も続いており、企業が撤退してからも、個人間でアイテムの売買などが行われているんです。現在も熱心なクリエイターが活動していますし、十分楽しめます。
そして、第二・第三之セカンドライフとも言えるメタバースがたくさん生まれているんです。
メタバースに興味があるなら、まずは気軽に始めて見る事をお勧めします。