現在主流なオーディオ環境は、スマホ&イヤホンです。家ではヘッドホンを使う、という人も多いでしょう。
在宅が当たり前になったことにより、自宅のオーディオ環境構築需要と、これまでのようにスマホで手軽に音楽を聴くという需要とが現在はとても高くなっています。
スマホで手軽に音楽を持ち運べるというメリットを活かしながら、より高音質な音楽を楽しめたら…。
そんな気持ちを満たせるのが、DACを内蔵したポータブルアンプ(ポタアン)です。
そこで今回は、DAC内蔵ポタアンの基本と選び方、おすすめ商品を紹介していきます。
目次
ポータブルアンプ・DACとは?
ポタアンとは、ポータブルヘッドホンアンプのことを指します。ヘッドホンアンプは、ヘッドホン接続を前提とした簡易的なアンプのことだと思っておけば間違いはありません。
アンプは音声信号を増幅してくれる装置です。ヘッドホンでの視聴に適したレベルにまで増幅してくれます。これで音質が良く大きな音量で楽しめるんです。
このヘッドホンアンプを持ち運び式にしたものが、ポタアンとなります。
よしぞー
今度はDACについて説明するよ
DACは、デジタル音声データをアナログに戻してくれる機能のことです。通常、音楽データはマイクが捉えたアナログ電気信号を、デジタル波形に置き換えて劣化を防いでいます。このデジタルデータですが、再生するときはアナログに戻さないといけないんです。
この作業をより高クオリティで担ってくれるのが、ポタアンに内蔵されているDACということになります。
これにより、音質が良くなるんです。
じゃあポタアンのメリットって何なの?
あや
まず、音質が良くなるところですね。スマホにワイヤレスイヤホンを直に繋ぐのと比べ、音の幅が広がります。高クオリティなアナログ変換による音の情報量の増加、アンプの信号増幅によるハッキリとした音の広がりなどがメリットです。
ただ、音に関しては製品ごとに異なる特徴を持っています。音質が良くなると言っても、音にもさまざまな傾向があるので一概には言えません。
次に、持ち運びやすいという点です。ポータブルというだけあり、ポケットにおさまるサイズのものが多いんですよ。これをスマホに繋いで、さらにポタアンにイヤホンを繋げば外にも高音質の音楽を持ち出すことができます。
もちろんPCにも対応しているので、在宅でも高音質を楽しめるんです。
ポタアンを1つ持っておけば、外でも家でも高音質を楽しめます。
ただ、据え置き型に比べて機能面はオミットされていることもあるので注意が必要です。
よしぞー
据え置き型の完全代用品には、ならないかもしれないよ
ポータブルアンプ・DACの選び方
ポタアンとは何かについて説明したころで、今度は選び方について見ていきましょう。選び方は据え置き型もポタアンもあまり変わりません。ただ、いずれも重要な項目なのでしっかりチェックしておくことをおすすめします。
入力端子をチェック
入力端子は、アンプに音を送り込むのに使います。ポタアンの場合はスマホやPCに接続する部分の端子のことですね。
据え置き型の場合は光デジタル端子やアナログ端子なども対応していることが多いですが、ポタアンはあまり対応していません。別売りのコネクタがあれば対応するケースもあります。
ほとんどは、USB端子のみです。
さらにスマホとの接続を前提にしているため、USB Type-Cが多い傾向があります。Type-C端子が無い機器に接続する場合は、変換器が必要です。
製品によってはBluetoothにも対応しているものもあります。
出力端子をチェック
出力端子は、ヘッドホンやイヤホンを接続する部分です。ここから、音をヘッドホンやイヤホンなどの再生機器に送り込みます。
これもポタアンの場合、あまり種類がありません。ほとんどは、ヘッドホン端子(ミニプラグ)のみです。ポタアンの場合は3.5mmが最も多い傾向があります。これは一般的なヘッドホンやイヤホンで使われているものと同一規格なので、たいていの製品で使えるということですね。
バランス出力に対応しているかチェック
バランス出力は、簡単に言えばノイズを減らしてクリアな音になる出力方法のことです。
アンプでヘッドホンを駆動するときの出力方法は、アンバランスとバランスの二種類があります。
よしぞー
アンバランスが一般的なんだけど、最近はバランスで接続したいニーズが増えているんだ!
ケーブルには、HOT,COLD,グランドの3種類のピンがあります。HOTはプラス、COLDはマイナスの特性を持っているんです。グランドは電流をしっかり流すための役割をしています。ここは難しい話になりすぎますし、ポタアンを選ぶには不要な知識なので割愛しますが、興味があるなら調べてみると面白いですよ。
アンバランス出力は、プラスの役割を持つHOTのみが音声信号と一緒にヘッドホンへと送られます。
このとき、音声信号と同様の波形のノイズが乗るんです。
バランス出力は、HOTとCOLDの両方が送られます。これも同様の波形となって送られるんです。プラスとマイナスの同波形の信号により、ノイズが打ち消されます。
なるほど、だからバランス出力はノイズが減るのね
あや
重量・形状など持ち運びやすさをチェック
据え置き型ならあまり気にしなくても良い部分ですが、ポタアンなら重量や形状もチェックしておいたほうが良いですよ。持ち歩くことを前提とするなら、なるべく軽く小さいものが良いでしょう。
ただ、小さければ小さいほど良いかというと、少し難しいところです。
ポタアンである以上、たいていは小さくなっています。ただし、USBコネクタくらいのサイズ感のかなり小さい部類に入るポタアンだと、ゲイン調整機能が無かったりするんです。要はたくさんのボタンと機能を詰め込むほどの余裕がないということですから。
スマホより少し小さいくらいのサイズ感のものだと、ゲイン調整機能などさまざまな機能やボタンを搭載したものも増えます。
欲しい機能と携帯性とを天秤にかけて、選んだほうが良いでしょう。
よしぞー
機能豊富が良いなら少し大きめになるけど、要らないなら小さくても問題ないよ
バッテリー容量・駆動時間をチェック
ポタアンは持ち運ぶので、バッテリーに関しても気にかけたほうが良いでしょう。
ポタアンのバッテリー駆動方式には、主に3種類あります。
- 電池式
- USBバスパワー式
- 内蔵バッテリー式
電池式は、最近のモデルではあまり見ません。
現在主流なのは、USBバスパワーと内蔵バッテリーです。一番選択肢が多いのは、バスパワー式でしょう。内蔵バッテリーを搭載するとどうしてもサイズも大きくなりますし、値段も高めになります。
一方バスパワー式は、電力供給を接続先のスマホなどで賄うためサイズも小さく値段も下げやすいです。
ただ、バスパワー式はスマホのバッテリーを結構食います。スマホのポータブルバッテリーは必須でしょう。
また、駆動時間もモデルによって異なります。
短くても連続再生8時間程度が一般的で、最大20時間など結構長めのものもありますよ。
※バスパワー式の場合は接続先のスマホなどのバッテリーに依存するので、メーカーの公称値はあまり参考にならないかもしれません。
おすすめのポータブルアンプ・DAC6選
ここからは、おすすめのDAC内蔵ポータブルアンプを6つ紹介します。どれも価格帯は高すぎない1万円台から2万円台と高コスパなので、初心者にも中級者にもおすすめです。それぞれの特徴について、簡単にまとめて見ていきましょう。
SHANLING UP5
- 2.5mmバランス/4.4mmバランス出力対応
- 384kHz/32bitまでのPCM音源に対応
- DSD対応
- ハイレゾ対応
- ヘッドホン端子、USB端子搭載
- Bluetooth5.0対応
- 最大連続再生時間:15時間
- バランス出力なら11時間
- 重量:50g
バランス出力にしっかり対応しているだけでなく、DSDやハイレゾにも対応しています。DSDはSACDに採用されるフォーマットのことで、音源の再現度の高さが魅力です。音の大小に関しては「音の有無」のみで判断するので、ハッキリとした濃淡も特徴となっています。
DSDに対応しているオーディオ機器は決して多くはないので、ありがたいところですね。
ハイレゾにも対応しているので、音楽ストリーミングサービスでハイレゾ音源を気軽に楽しむという用途にも適しています。
地味にありがたいのが、Bluetoothにも対応している点でしょう。現在主力として使っているのはワイヤレスイヤホン、という人も多いでしょうから。
さらに、レザー調のケースが付属するのも嬉しいところです。
サイズ感は厚みも含め、煙草の箱より少し大きい程度。スマホよりは少し小さいくらいと、ギリギリポケットに入るくらいでしょうか。ただ、ポケットよりバッグに入れておくほうがおすすめです。バッグからコードが伸びてしまいますが…。
音はメリハリがあり、シャッキリとした印象があります。非常になめらかではあるのですが、力強さもあるといったところでしょうか。
初期は動作の不安定さが目立ちましたが、ファームウェアアップデートにより不安定な部分のすべてが改善されています。
アップデートでしっかり対応してくれるのも、UP5の魅力だと言えるでしょう。
よしぞー
少し前なら動作の不安定さからおすすめしにくかったけど、今買うならおすすめ!
Fiio Q3
- 4.4mm5極バランス出力対応
- 2.5mm4極バランス出力対応
- USB,ヘッドホン端子搭載
- 充電はUSBType-c
- 768kHz/342bitまでのPCM音源に対応
- DSDにも対応
- ハイレゾにも対応
- 連続使用時間:最大19時間
- 重量:110g
重量はそこそこですが、大きさは結構コンパクトです。UP5と同じくらいのサイズ感でありながら、UP5より薄いのが魅力的。薄型のスマホよりほんの少し厚みがある程度で、ポケットに入れても全くかさばりません。
付属品も豊富です。すべての端末に対応したケーブル類、ストラップ、滑り止め、持ち運びポーチなどが付いており、 iPhoneとのライトニングでの接続ケーブルも付いてきます。
デバイスと接続して電源を入れるだけで使えるので、初心者でも扱いやすいですよ。
音の特徴は、高解像にあります。立体感、解像度、静寂さが特に心地よいです。音と音の合間の少しの静かさ、余韻などをしっかり感じることができます。
ボーカルの息遣いまで聞こえてくるほどです。
迫力が増すというような音ではなく、音楽の世界観をうまく再現しているという印象があります。音楽の世界に、より没頭できますよ。
また、ボリュームノブが地味に良い感じです。つまみを回すタイプで、調整がしやすくなっています。ボタン調整だと細かな調整がきかず急に音が大きくなったりしますが、つまみタイプなので細かな調整が可能ですよ。
全体的に初心者向けなのね
あや
iFi-Audio hip-dac
- 4.4mm5極バランス出力対応
- 384kHz/32bitまでのPCM音源に対応
- 352.8/384kHzのDXDに対応
- DSD対応
- ハイレゾも対応
- 重量:125g
- 連続再生時間:8~12時間
hip-dacはバッテリー内蔵型なので、スマホやDAPなどの電源を無駄に消費することがありません。連続再生時間も1日使えるレベルにはあるので、充電ストレスもあまりないでしょう。
低価格のエントリーモデルではありますが、バランス出力に対応していたり、DSDやDXDなど幅広いフォーマットに対応していたりと高性能です。
機能性は挿せば動くシンプルな感じで、初心者でも難しいことを考えずに扱えます。
さらに、ゲインスイッチがありハイローの切り替えが可能です。ポタアンでゲイン調整ができる機種は、そこまで多くはありません。低価格帯でゲイン調整が欲しいなら、迷わずhip-dacを選ぶことをおすすめします。
ボリュームノブは電源スイッチを兼ねており、アナログタイプです。それでもノイズがほとんど感じられないので、聴き心地が良いですよ。
ただ、ゲインスイッチが端の押しやすい場所にあるのが不満点になりやすいです。携帯時に誤作動を起こすことがあります。
音はド迫力に仕上がっている印象です。
低音は太く盛り上がり、高音は激しさがあります。さまざまな騒音が入り交じる路上や電車内で、しっかりとした聴き応えを得るための調整でしょう。外で聴く分にはとても程よく感じられますが、家で聴くときは少しくどく感じられます。
外では気にならないのに、冷えたお弁当を家で食べるとなんだか味が濃く感じるようなものです。
よしぞー
派手めな音を好む人にはおすすめしやすいよ
SHANLING UA2
- 2.5mm4極バランス出力対応
- 768kHz/32bitまでのPCMに対応
- DSDネイティブ再生にも対応
- ハイレゾにも対応
- 電源はUSB Type-C
- 重量:12.6g
ネイティブ再生というのは、DSDを内部で一般的なPCMに変換せず、直接再生できる機能のことです。変換してもDSDの特徴である音の再現度の高さは感じられますが、ネイティブのほうがより感じやすくなります。
変換時の劣化を気にしなくて良いので、とてもありがたい機能です。
サイズは、ライターくらいの小型サイズとなっています。ポケットどころか、空中にぶらぶらさせていても違和感がありません。もちろん、スマホと一緒にポケットにつっこむこともできるでしょう。
1万円台の低価格で上記の高性能さを楽しめるのが、最大の魅力です。
地味に嬉しいのが、現在再生中の曲のサンプリングレートをLEDので表示してくれるところ。外だといちいちチェックはしないでしょうが、見たいときにすぐわかるのは良いですよね。
音は全体的になめらかな印象があります。
高解像度タイプの音ですが、全く角がありません。誰でも聞きやすい音で、すぐに「音質が良くなった」と感じられます。シンプルに音源を忠実に再現しつつ、豊かな音に仕立てようという気概が感じられるような音です。
味付けなどがあまり無いので、万人受けするでしょう。
音の情報量も、とても豊かです。
ポタアン入門に良さそう! 私これにしようかな
あや
Razer THX ONYX
- 384kHz 32Bit
- Sabre DAC使用
- 180mw 22Ωと低消費電力
サイズは細身のUSBメモリ程度です。圧倒的なコンパクトさを誇っています。
その分、3.5mmミニプラグしかなかったり、ゲイン調整ができなかったりとオミットされている部分が多いです。
ただ、MQAレンダラーとして機能するという嬉しい特徴もあります。ハイレゾ音質のCDによく使われるフォーマットであるMQA音源を、スタジオマスタークラスの音質で楽しむことが可能です。MQAの再現度は随一。
さらに、ヘッドセットとして認識するためマイク入力ができます。音楽を聴いているときに電話がかかってきたとしても、そのまま電話に出られますよ。
音はRazerらしく、派手です。
音はクリアで、ノイズが無く素直に音量が大きくなります。アンプとしての駆動力は、申し分なく高いです。
ハッキリとしたメリハリのきいた音を楽しめます。低音、高音、中音それぞれがハッキリしているので音の聞き分けがしやすいです。ゲーミングデバイスを多数作っているRazerらしさが、ここに表れていると言えるでしょう。
特にリズム楽器の音がリアルに再現されています。
そして、ボーカルの聞きやすさも魅力的。ロックなどとは相性がとても良いでしょう。
よしぞー
ロック好き、メタル好きには良さそう
Astell&Kern PEE51 AK USB-C Dual DAC Amplifier Cable
- 384kHz/32bitまでのPCMに対応
- DSDネイティブ再生対応
- ハイレゾ対応
- 電源はUSB Type-C
- 重量:25g
太めのUSBメモリ程度のサイズ感で、携帯性が高いです。
さらに、DACチップをデュアル搭載しています。一般的なポタアンはDACチップをシングルで搭載しているのですが、デュアルにしたことでさらに音が変わるんです。
1万円台のポタアンとしては、とんでもなく高性能だと言えます。機能面は若干弱いですが、機能を削ることでこの価格帯でもシンプルに音質の高さを追求することができているのでしょう。
音の傾向は、キリッとした感じです。
解像度がとても高く、耳に心地よい音を鳴らしてくれます。繊細な音を鳴らすタイプの楽器の音は、透明感があり自然な伸びを楽しむことが可能です。クセが本当になく、初心者向けであり万人向けでもあります。
デュアルDACの恩恵は、しっかり感じられますよ。
よしぞー
自然だけどメリハリがしっかりしてる音が好きな人にぴったりだね
自分に合ったポータブルアンプで高音質を持ち歩こう!
DAC内蔵のポタアンは、さまざまなメーカーからたくさん出ています。音の傾向が製品ごとに異なるだけでなく、対応フォーマットや機能面も大きく異るのでしっかり選ぶことが大切です。
特にバランス出力の対応可否、携帯性あたりは重要度が高いですよ。
さまざまな観点から、自分にぴったりなポタアンを選び、高音質をどこにでも持ち出していきましょう!