メタバースや仮想空間上で仕事ができれば、何かと面白いですよね。
家で仕事をするとなると、周囲には趣味のものがたくさんあったりして気が散ることもあります。家が理想的なデスク環境だとも言い難いでしょう。
メタバースで仕事ができれば、理想を体現したり現実世界のノイズから解放されて仕事がはかどったりするのではないか、と期待に胸が膨らみますよね。
そこで今回は、メタバース上で仕事をするメリットと問題点、方法について紹介していきます!
目次
メタバース上で仕事はできる! そのメリットは?
大前提として、メタバース上で仕事はできます。メタバースに限らず、プライベートな仮想空間で仕事をすることも可能です。ただ、メリットがないとやる意味がありませんよね。そんなメタバースや仮想空間上で仕事をするメリットを、5つ紹介しましょう。
視界から余計な情報が消えて集中できる
メタバースや仮想空間にいると、現実世界の情報が入ってきません。
現実のデスクには、さまざまな情報がありますよね。視覚的情報だと趣味の漫画やゲームが置いてあったり、デスクが雑然としていたり生活感がありすぎたり…。家族の生活音など聴覚情報が気になる人もいるでしょう。
VRゴーグルをかぶって仮想空間に潜ることで、そうした現実世界のノイズが消えて、集中できます。
高層ビルなど好きな部屋の環境を再現できる
メタバースの作業空間は、自由です。
元からあるアセットなどを使って部屋を作ることも、できます。自分の理想の作業部屋を作り、そこで作業できるんです。書斎風の部屋、高層ビルの最上階などなど…。「こんなところで仕事をしてみたい」という願望を、叶えられます。
だけど部屋を作ったりするのって大変でしょ?
あや
よしぞー
アプリによるけど、元から色々な空間が用意されてるものもあるよ
マルチディスプレイ環境を簡単に構築できる
現実世界でマルチディスプレイ環境を構築するのは、案外大変です。
まず、お金がかかります。モニターもこだわればキリがなく、ひとつ数万円はするので2つ・3つ買うとそれだけで10万円くらいになることもあるんです。モニターアーム、広めのデスクなどなど…他にも投資が必要になります。
さらに、配置にこだわったりするとキリがありません。
配置も一度決めると気軽に変えれるとは言い難いですよね。
ところが仮想空間であれば、簡単にマルチディスプレイ環境を構築できます。ディスプレイをポンッと表示させ、それを好きなようにコントローラーを使って動かして調整できるんです。
チームメンバー全員自宅にいながらミーティングができる
一人でメタバースや仮想空間にこもって作業するのはもちろん、チームで作業することもできます。
全員自宅にいるのに集まってミーティングできるんです。動きがしっかりありますし、バーチャルではあるものの顔を突き合わせている感覚もあります。ビデオ会議よりも、現実の会議に感覚が近いので話し合いも捗るかもしれませんね。
他にも、チームメンバーを同じワールドに集めて、そこで集まって作業することもできます。
相談などもしやすくなるんです。
まるでバーチャル空間のオフィスね
あや
よしぞー
問題点もあるけど、それは次章で語っていくよ
在宅業でもバーチャル出社で気持ちの切り替えができる
元から在宅業の人もコロナ騒動でテレワークが多くなった人も、「気持ちの切り替えが難しい」という問題を抱えている人がいるでしょう。
長年在宅で仕事をしている人でも、たまに気持ちが全然切り替わらないときがあります。
出社は確かに憂鬱ですし、移動時間があればもっと朝にゆっくりできるでしょう。仕事をするにしても、移動時間を短縮すれば仕事時間をもっと確保できます。
ただ、出社で「仕事モード」に切り替えているのは事実でしょう。
メタバースや仮想空間にオフィス環境を用意すれば、在宅業でもバーチャル出社できます。自分は全く移動していないのに、自室とは明らかに異なる光景が目の前に広がるため、案外気持ちは切り替わるものです。
メタバース上で仕事するデメリット・問題点とは?
メタバース上で仕事をするメリットを語ってきましたが、反面デメリットもあります。むしろ、現状のメタバースや仮想空間では問題点のほうが多いのではないかというくらいです。特に複数人で仕事をする、ミーティングをするという用途には多くの問題点があります。
そんなメタバース上で仕事をする問題点について、7つ紹介しましょう。
VR機器のバッテリーなどが気になってしまう
VR機器のバッテリー問題は、避けられません。
充電しながら使うこともできるのですが、ずっと充電ケーブルを繋ぎっぱなしではバッテリーに負荷がかかってしまいます。過充電防止などは付いているものの、推奨はできません。
充電しながら使うにしても、給電速度によっては消費速度のほうが早いケースもあります。
最も気軽に導入できるVR機器であるOculus Quest2の場合、バッテリー持続時間は2時間程度です。
ちょっとした作業をする分にはバッテリーを気にする必要がありませんが、本格的に仕事をするとなると気になってしまうでしょう。
遊べる環境なのでかえって集中できない場合もある
VRゴーグルを付ければ、現実世界のノイズが消えて集中できると説明しました。
ただ、これは人による面もあります。
実際現実世界のノイズは消えるのですが、VR世界にもノイズが無いわけではありません。空間自体にノイズはなくとも、VR機器にはあるんです。
VR機器は、さまざまな遊びに使えます。ゲームをしたり、VRChatなどで誰かと交流したり、映画を見たり…。これはこれで誘惑が多いものです。
空間に誘惑するものがなければ集中できるという人は良いですが、集中できる空間でも使っているデバイスが遊びに使えるものだと集中できないという人には問題があるでしょう。
ゲームアプリとか入れなきゃいいんじゃない?
あや
よしぞー
それじゃあ宝の持ち腐れだよ
キーボードが見られない
メタバースや仮想空間で仕事をする場合、現実世界のパソコンやキーボードなどを表示させることはできます。
ただ、そこにあるキーボードは単なるオブジェクトです。実際にそれを仮想キーのように使えるわけではありません。打つのは、現実のキーボードです。Horizon Workroomsではいくつか同期ができるキーボードもありますがまだまだ少なく一般的ではありません。
手元のキーボードを見ることができないので、ブラインドタッチに自信が無い場合は作業がもたつくこともあります。
逆に言えば、ブラインドタッチの訓練にはなるかもね
あや
スマホ・紙の資料が見られない
メタバースや仮想空間でデジタルデータを見ることはできますが、紙の資料は見られません。たとえば書籍などが資料としてあるような仕事をしている場合には、かえって仕事しにくくなるでしょう。
さらに、スマホも見られません。
たとえば会議中にスマホを見なければならない場面もあるでしょうが、そういうときに困ります。
人によってはVR酔いしてしまう
メタバースや仮想空間だけでなく、VR機器にも問題点があります。
その筆頭が、VR酔いの問題です。VRではないゲームでも、3D酔いを起こす人がいます。VRとなると、なおさら酔ってしまうという人は結構多いです。特に使い始めの頃は、挙動などに慣れずに酔ってしまうことがよくあります。
慣れるとマシになることもあるのですが、慣れるまで酔いながら仕事をするのは問題がありますよね。
また、人によってはどれだけ長く使っても慣れないという場合もあります。
会社など組織単位で導入するには、あまり現実的ではありません。
VRゴーグルが重い
VR機器の問題点として、VRゴーグルが重いことも挙げられます。
たとえば、よく普及しているOculus Quest2は本体重量が503gです。この重みを頭から目にかけて乗せなければならないので、長時間使うと頭や首が結構疲れます。この重くてしんどいというのが、仕事をする際のノイズになってしまう可能性は否定できません。
これでも、Oculus Quest2は旧型の571gから軽くなったほうです。
軽量化は徐々に進んでいますが、少なくともヘッドホンくらいの重さにならないと長時間使いっぱなしというのは辛いのではないでしょうか。
髪型が乱れる
VR機器を使うと、髪型が著しく乱れるという問題点があります。少しでも毛量があると、髪がぺったんこになるんですよね。
VR機器のヘッドバンドは、ヘッドホンなどに比べるとかなり厳重なものです。縦方向と横方向から固定するので、髪はどうしてもぺったんこになります。
自室で一人で使う分には問題ないのですが、たとえばVR会議をしてから通常のビデオ会議などを行うと髪型が乱れるのを気にしてしまう人もいるでしょう。他にも、VR会議をしてから出社というのも髪を整えるのが大変です。
こればっかりは軽くなってもどうしようもないわね
あや
よしぞー
VR機器の形が大きく変わらない限り、髪型が乱れる問題は避けられないね
メタバース・仮想空間上で仕事をするためのツール
メタバースや仮想空間上で仕事をするには、対応するツールを使う必要があります。そんな、仮想空間上で仕事ができるツール・アプリを3つ紹介しましょう。中にはメタバース以外のものもありますよ。
Horizon Workrooms
Horizon Workroomsは、Facebook(現・Meta)が提供しているVR会議ツールです。Oculus Questに、Horizon Worldsというメタバースがあります。それを元にしてつくられた、ビジネス会議システムです。
会議室のような仮想空間に、アバターを使って集まって会議することができます。一人で作業するというのではなく、VR会議をとりあえず試してみたいという人にはおすすめです。(一人で作業する環境ももちろんあります)
また、講習会などのイベントを開くこともあります。会議室というだけでなく、講義室などの用途にも使えるということですね。
VRChat
VRChatは、ユーザー数がとても多いメタバースです。家庭用のVR機器が注目された2018年頃から既に大人気で、2022年現在も全く人気が衰えることがありません。ほぼ無数とも言えるほどのワールドがあり、アセットストアから色々ダウンロードすれば3D関係の技術があまり無くても部屋くらいなら簡単に作れます。
このVRChatでミーティングを行うこともできますし、Oculusのデスクトップ画面表示機能を使えばPC環境を再現することも可能です。
実際に、この機能をVRChatで使って簡単な作業くらいはする、という人もいます。
問題があるとすれば、気がつくと他のワールドに遊びに出てしまいそうになることでしょうか。
バーチャルデスクトップ
バーチャルデスクトップ(Virtual Desktop)は、PCと自分のVRヘッドセットを同期させ、バーチャル空間内にデスクトップ環境を映し出せる有料のアプリです。SteamやOculus Storeにて購入することが出来ます。
これはメタバースではありませんが、一人で黙々と作業する用途ではバーチャルデスクトップも使えます。
使うと簡単に個人オフィスを仮想空間上に作ることが可能。背景も高層ビルのオフィス風、自室風などさまざまなものがあります。
さらに簡単にマルチディスプレイ環境を構築できますし、PC画面の表示方法も簡単です。
VRでPC作業をするという面においては、専門的なアプリなので他のどのメタバースよりも機能が豊富ですよ。
よしぞー
とりあえず、VR上で作業するのがどういう感じか試すならこれだね
作業への没入度も高そう!
あや
メタバース内で仕事の雇用が生まれている! 事例を紹介
これまで、メタバースで会議やPC作業などを行うということを説明してきました。
それだけでなく、メタバースでは現在雇用が生まれてきているんです。メタジョブ!というサイトがあり、そこにはいくつかメタバースやVRに関係した仕事の募集が掲載されています。
2022年1月現時点で掲載されている中から、いくつか例を紹介しましょう。
まず、バーチャル空間に再現されている百貨店の案内スタッフ募集です。REV WORLDSというアプリで、バーチャルな三越伊勢丹の案内をします。操作方法、店舗の案内、商品説明などが主な仕事です。
続いて、XR Cloudというアプリで、展示会ブースでアバタースタッフとして働く仕事があります。VRの体験会という感じで、VR機器の操作方法や空間の説明・案内をする仕事です。
さらに、現実でのイベントでアバターを通してゲームの案内を行うゲームマスター、アバターの中の人になってVtuber的に商品を案内したりする仕事などがあります。
接客やイベントスタッフが主ですね。
こういう仕事もメタバースや、仮想空間・VRなどで生まれています。
今後はもっと増えてくるでしょうね。
仮想空間で仕事をする近未来を体感してみよう!
仮想空間で仕事をするという近未来が、今はもうすぐそこに迫っています。現在はまだ問題点があるものの、ちょっとしたPC作業くらいならメタバースや仮想空間上でも可能です。仮想空間でアバターを通した仕事の雇用も生まれているのが、面白いですよね。
VRゴーグルもピンキリですが、Oculus Quest 2なら4万円もあれば体験できます。また、重さや髪型の問題が今後徐々に改善されていけば、今まで以上にメタバース上での仕事の機会は増えるはずです。今のうちからメタバース上での仕事に慣れ始めておいた方が良いですよね。
そんな面白い近未来を、実際に体感してみてはいかがでしょうか。