小型軽量なDACが多くなってきたことにより、ポータブルDACという存在は今までより身近なものになっています。
オーディオマニアでなくとも、軽めに沼につかりはじめたくらいの人がDACを買うことも珍しくはありません。
中でもFiio Q3は、ライト層・マニア問わず幅広い人に人気があります。
今回はそんなFiio Q3の良い評判と不満点をメインに、旧版と2021年版の比較も交えて紹介していきましょう。最後には、旧版ではありますが、実際に使ってみた感想をお伝えします!
目次
Fiio Q3のスペックを旧モデルと新モデルで比較して見てみよう!
Fiio Q3のどこが良いか、どこがイマイチなのかを詳しく見ていく前に、まずはスペックを紹介します。旧モデルと新モデルとの違いもわかりやすく説明しますので、旧モデルを持っていて新板を買うべきかどうか悩んでいる人や、中古の旧モデルが気になる人は参考にしてみてくださいね。
旧モデルのスペック
- オーディオ入力端子:USB Type-C 3.5mmライン入力
- バランスヘッドホン出力:2.5mm,4.4mm
- 電源:DC5V 2A推奨
- 充電時間:2時間以下
- バッテリー容量:1800mAh
- 連続使用時間:10時間以上(USB DAC使用時)
- DACチップ:AKM4462
- アンプモジュール:THX AAA28
- XMOS:XLF208
- 16Ωでの出力:150mW~180mW
- 32Ωでの出力:160mW~300mW
- 300Ωでの出力:19mW~35mW
- 対電波干渉シールド機構搭載
- ADCボリュームコントロール機能搭載
- BASSブースト機能搭載
- ゲイン調整機能搭載
Fiio Q3には、良いパーツが惜しみなく使われています。
特徴的なのは、THX AAAアンプ回路です。THX社の特許技術で、従来のアンプ回路の欠点となっていたゼロクロス歪を効果的に除去してくれます。簡単に言えば、出力が高くても歪みが低くなるということです。
これにより、純度の高いクリアで安定した高音質を実現しています。
そこに、AKMの新世代32-bit 2ch Premium DACチップ「AK4462」というものを合わせているんです。
これも歪を低くし、ノイズを抑制するという特徴を持っています。これらを組み合わせることにより、とことん歪とノイズを低減させようということですね。歪は必ずしも悪者というわけではありませんが、近年は歪があまり無い音を好む人が多いです。多くの人が気に入るだろう音を作っている、といううことですね。
よしぞー
XUF 208なのも良いところだね
何もわからない…どういうこと?
あや
XUF208というインターフェイスチップを搭載することで、PCM768kHz/32bit,DSD512までの再生ができるようになっているんです。つまり、幅広い音源、とてもサンプリングレートが高い音源でも問題なく対応してくれるということになります。
さて、この旧版から2021年版がどう変わったのか、見ていきましょう。
2021年版のスペック
- オーディオ入力端子:USB Type-C 3.5mmライン入力
- バランスヘッドホン出力:2.5mm,4.4mm
- 電源:DC5V 2A推奨
- 充電時間:2時間以下
- バッテリー容量:1800mAh
- 連続使用時間:10時間以上
- DACチップ:AK4462
- アンプモジュール:THX AA28
- XMOS:XLF208
- 16Ωでの出力:150mW~180mW
- 32Ωでの出力:160mW~300mW
- 300Ωでの出力:19mW~35mW
- 対電波干渉シールド機構搭載
- ADCボリュームコントロール機能搭載
- BASSブースト機能搭載
- ゲイン調整機能搭載
同じじゃん!
あや
よしぞー
実は、つくりはほとんど変わらないんだよね
じゃあ何が違うの?
あや
主に、ケーブルです。LT-LT1という、USBタイプCとLightningとを繋ぐ少し良いケーブルが付属するようになりました。
モデルチェンジと言いながら、事実上の値上げです。しかも変わったのはiPhoneユーザー以外使いみちのない付属ケーブル。音にこだわる人は別途ケーブルを買いますし、このモデルチェンジは正直なところ不満だという人が多いようです。
ただ、前述したようなクオリティの高さがあるので、それでもFiio Q3を支持する人は大勢います。
値上げと言っても、元々クオリティに対して価格は安いと評判だったので、上がってもまだ安いと感じる人が多いのかもしれませんね。
モデルチェンジに対する不満、値上げに対する不満があってでも選ぶ人が多いと、ポジティブな捉え方ができるでしょう。
Fiio Q3によく挙げられる良い評判を紹介
Fiio Q3は性能の良いチップを使っており、値上げしてもまだコストパフォーマンスは健在です。2万円前後の機器のスペックとしては、高い方でしょう。ただ、スペックだけでは本当の良さはわかりません。そこで、実際にFiio Q3を使っている人がどこに魅力を感じているのかについて、紹介しましょう。
携帯性が高い
ポータブルDACのサイズ感は、モデルによってまちまちです。ポータブルと言いながら、「これポケットには入らないな…」という分厚く大きいものもあります。中にさまざまなチップ・回路が詰まっているので仕方がないのですが、携帯性が高い方が使いやすいですよね。
Fiio Q3はスマホより少し小さいくらいのサイズ感です。厚みもDACとしては抑えられている方なので、ジャケットのポケットなどに普通に入ります。カバンの外ポケットにも、収まりが良いでしょう。
持ち運びには、とても便利なDACです。
よしぞー
デザインがシンプルなのも、持ち運びやすさの理由のひとつだね
どこにでも溶け込めそう!
あや
ボリュームノブが使いやすい
ポータブルDACのボリューム調整は、ダイヤル式ノブとプラスマイナスのボタンタイプのいずれかです。人によって好みもありますが、ボタンよりノブの方がオーディオ好きには好まれる傾向があります。細かい調整ができますから。
Fiio Q3のボリュームノブは、とても使いやすいと評判でし、実際に使ってみて使いやすいです。
本当に少しずつボリュームが変わっていくので、とても繊細な音量調節ができます。ノブタイプのボリューム調整のメリットを最大限引き出せるんです。
小さいのに端子は3種類対応
Fiio Q3には、3.5mmシングルエンド端子だけでなく、バランス出力端子も搭載されています。しかも、バランス出力端子は2.5mmと4.4mmの2種類です。つまり、3種類の出力端子が搭載されています。
スマホより少し小さいくらい、厚みは抑えめ。このサイズ感で3種類の端子に対応している点を、評価点として挙げる人は多いです。
出力端子を変えるだけで、音は想像以上に変わります。種類が豊富であれば、それだけ楽しみが広がるということです。
素直で安定した高い音質が楽しめる
肝心の音質ですが、Fiio製品は全体的に素直な音という傾向があります。特定の音域を極端に強めることがなく、フラットで高解像度な音になるように作られているんです。この素直な安定感のある音が、高く評価されています。
Fiio Q3で言えば、各チップ・回路の組み合わせの恩恵でしょう。低歪が特徴のDACチップとアンプ回路を組み合わせているため、歪みの無い素直で安定した音になります。
低音を強めたいという人のために、BASSブースト機能を搭載しているのも良いですね。痒いところに手が届いているような印象があります。しかも、BASSブーストをしていも中域・高域にほとんど影響がないという声が大きいです。
低音をブーストすると中音・高音が聞こえにくくなるケースもありますが、そういう不安は不要ということですね。
出力が大きいから高インピーダンスも使える
Fiio Q3は、出力がポータブルDACの中では比較的大きい方です。そのため、高インピーダンスのイヤホン・ヘッドホンでも安定して使えます。対応インピーダンスの広さは、そのまま対応するイヤホン・ヘッドホンの種類の豊富さにもつながるんです。
DACを買っても自分が気に入っているイヤホン・ヘッドホンで使えなければ、不満は募ります。新しいヘッドホンを買うときも、DACで使えるかどうかを気にしすぎてしまい、本当に欲しいものが買えなかったりもするでしょう。
そういう心配が要らないのは、とても良いことではないでしょうか。
よしぞー
ゲインの切り替えもできるしね
ゲイン切り替えは、マルチファンクションボタンにより行います。1回タップすると、ローゲインとハイゲインを切り替えることが可能です。
さらにダブルタップすれば、帯域外フィルターの切り替えもできます。
まさに、かゆいところに手が届くって感じね!
あや
合わせてご覧ください
> ゲインって何? ボリュームとの違いも解説!
Fiio Q3によく挙げられる不満点を紹介
Fiio Q3の良い評判を紹介してきました。音質が素直で安定した高音質なだけでなく、ボリュームノブの調整の細やかさ、端子の種類などなど細かい部分も徹底している印象があります。そんなFiio Q3にも、もちろん不満になりがちな部分はあるんです。そんなよく挙げられる不満点を紹介します。
無線接続には対応していない
ポータブルDACの中には、スマホと無線接続できる機種があります。無線接続より有線接続の方が音は良くなるのですが、スマホとDACを離して携帯しやすくなるんです。基本的に、オーディオでは機器同士を近づけるのは良くないとされています。
そのため、無線接続を好む人もいるんです。
ただ、Fiio Q3は無線接続に対応していません。スマホとも有線、イヤホンも有線のみです。
スマホと重ねるとノイズが出る?
Fiio Q3には、さまざまなノイズ対策機能があります。回路からして対外ノイズを拾いにくいものを使っていますし、電波干渉シールドがあったりと対策はしっかりしているんです。
ただ、スマホとFiio Q3とを重ねて聴くと、ノイズが出ることがあると聞きます。
必ず出るというわけではないですし、実際に使ってみて気になったことはありませんが、ここは不満点になりがちです。
スマホと重ねてノイズが発生するという事例があるのは、ストリーミングを使っているときです。機内モードにしていたら大丈夫だったという声もあるので、ネット回線の電波が邪魔をしているのだと考えられます。
気になる場合は、ダウンロード楽曲専門機として使うのも良いかもしれませんね。
また、スマホとアンプの間に厚手のシリコンパッドを差し込むとノイズは軽減されます。
合わせてご覧ください
> 【ポタぴたシートストロング レビュー】スマホとポタアンを組み合わせるときの最適解
低インピーダンスだと若干ノイズがある
高インピーダンスに対応しているのが良いところだと説明しましたが、逆に低インピーダンスのイヤホンには使いにくいという声もあります。インピーダンスが低いと、若干ノイズを拾うという不満点を挙げる人が少なからずいるんです。
出力の大きいDACなので、インピーダンスが低すぎると不都合があるのかもしれません。30Ω以上あれば問題ないでしょうが、それより低いインピーダンスのイヤホン・ヘッドホンを使っている人は要注意です。
よしぞー
低インピーダンスのものはそれだけでノイズは増えるので、Q3の問題ではないです
合わせるイヤホンやヘッドホンは 30Ω以上のものをチョイスしましょう!
あや
Fiio Q3は入門機にもおすすめ! 高コスパで高音質ライフを!
Fiio Q3は、よくポータブルDAC入門機として語られます。2万円前後という価格帯も入門機と言うにふさわしいですし、値段以上の性能がある点も入門として良いでしょう。スマホだけで聴いていたときよりも、明らかに音が違うということがわかります。感動も大きいので、はじめてのDACとして沼にハマるきっかけになることが多いです。
実際コストパフォーマンスが高く、素直で安定した音が出るFiio Q3は入門におすすめ。
これからポータブルDACを使ってみたい人、高コスパなDACを探している人は検討してみても良いのではないでしょうか。