スマホにワイヤレスイヤホンを接続して、気軽に音楽を聴くのが近年の主流です。
ただ、在宅需要などで「自宅で音楽を高音質で聴きたい」という人も増えてきています。だけど自宅で高音質と言うのは簡単ですが、オーディオはなんだか難しそうですよね。ガチで環境を作ると、電気系の知識も必要になります。
「正直わからない!」
あや
そんな人のために、今回は据え置きヘッドホンアンプ・DACの選び方、人気モデルを詳しく紹介します。専門用語もゴリゴリ噛み砕いて説明しますよ。
目次
ヘッドホンアンプ・DACとは?
ヘッドホンアンプは、簡単に言えばヘッドホンを接続することを前提とした簡易的なアンプです。
うん? そもそもアンプって何だっけ…
あや
アンプというのは、音声信号を増幅してくれる装置のことです。ヘッドホンアンプなら、ヘッドホンでの視聴に適したレベルにまで増幅してくれます。
音質は、原則的に「ボリュームが大きい方が良い」とされているんです。音が小さくなると、低音が聞こえにくくなります。そこからさらに下げると、低音がほとんど聞こえないレベルになるんです。
実際に、お手持ちのヘッドホンで試してみてください。音量を上げ下げすると、低音の聞こえ方の違いがハッキリわかりますよね。
それだけでなく、音が大きい方がさまざまな音がハッキリ聞こえるようになります。
つまり、アンプは音声信号を増幅させて高音質を保てるようにできるもの、ということです。
さらに、アンプ自体に音質の特徴があります。ハイレゾに対応しているアンプは、あらゆる音源をハイレゾ相当で楽しめたりするんです。
よしぞー
アンプはつまり、ヘッドホンに音を送る前に音質や音量を調節してくれるものだね
じゃあ、DACって何?
あや
DACは、デジタル音声データをアナログに戻してくれるものです。通常、音楽のデータはマイクが捉えたアナログの電気信号をデジタル波形に置き換えて、劣化を防いでいます。アナログのままだと、複製したりするときに音質が劣化するんです。
ただ、再生するときにはアナログに戻す必要があります。
この作業を担うのが、DACです。
Windowsにももちろんカーネルミキサーという同様の役割を担う機能がありますが、複数アプリの音を混ぜることを前提としています。そのため、音質が劣化するんです。
外付けのDACを使うことにより、この音質劣化を防げます。
よしぞー
DACは劣化を防いで音質を高めるということだね
アンプと似てるようで、実は全然違うのね
あや
よしぞー
ちなみに、ヘッドホンアンプはDAC内蔵のものが多いんだ
ヘッドホンアンプ・DACの選び方
ヘッドホンアンプ・DACの概要について説明してきました。ただ、それだけでは自分に適したヘッドホンアンプを選ぶことはできません。本章ではDAC内蔵ヘッドホンアンプに焦点を当て、選び方について簡単に説明していきます。
入力端子をチェックする
入力端子は、アンプに音を送り込むのに使います。PCで楽しむ場合は、PCに接続する部分が入力端子です。ヘッドホンを繋ぐ部分は、出力端子となります。
ヘッドホンアンプの入力端子は、主に3種類です。
- 光デジタル端子
- アナログ端子
- USB端子
光デジタル端子は、光ファイバーを使ったケーブルを採用しています。ノイズに強く、ホームシアターなど本格的な音響を必要とするものに使う人が多いです。
アナログ端子は、RCA端子やピンジャックとも呼ばれます。RCA端子は、簡単に言えばテレビの裏やゲーム機の端子などでよく見かけるものですね。
USB端子は、その名の通りUSBを接続できる端子です。スマホやPCで音楽を楽しむときに使います。
今回紹介する製品は基本的にUSB端子には対応しているものの、光デジタル端子は物によるので注意が必要です。
とはいえ、ストリーミングなどを在宅で楽しむ程度ならUSB端子さえあれば問題はないでしょう。
出力端子をチェックする
出力端子は、ヘッドホンに接続する部分です。ここからヘッドホンへと音を送り込みます。こちらも、主な種類は3つです。
- ヘッドホン端子
- 光デジタル端子
- アナログ端子
光デジタル端子とアナログ端子は、前述した入力端子と同様の特徴を持ちます。
ヘッドホン端子は、ヘッドホンその名の通りヘッドホンのプラグを接続するための端子です。規格は、3.5mmを採用するヘッドホンアンプが多いです。これは一般的なヘッドホンに使われているものと同一規格となっています。大抵のヘッドホンを接続できるので、使う製品が多いんです。
バランス出力に対応しているかをチェック
ここから、少し難しい話になります。複雑な話を単純な話に変換して紹介するので、マニアから見たら「厳密には違うなあ」という部分があるかもしれません。ただ、初心者の場合そこまで深く理解する必要が無く、これから説明する程度の認識でOKですよ。
アンプでヘッドホンを駆動するには、アンバランス接続とバランス接続との二種類のうちいずれかの方法を取らないといけません。
アンバランスは、一般的な接続方法です。
ケーブルには、HOT、COLD、グランドの3種類のピンがあります。HOTはプラス、COLDはマイナスの特性を持っているんです。グランドは電流をしっかり流すための役割を持っており、コンセントの左側と同様の働きをしますが、ここは今回は省略して構わないでしょう。
アンバランス接続は、プラスの役割を持つHOTのみが音声信号と一緒にヘッドホンに送られます。
一方バランス接続は、HOTとCOLDの両方が送られるんです。このプラスとマイナスが合わさることにより、ノイズが打ち消されます。
他にも難しい話をすればキリがないですが、以下のような理解をしておけば問題ありません。
よしぞー
バランス接続はノイズに強い!
アンバランス接続はノイズが消されないということね
あや
当然、バランスに対応している方が音が良くなります。
愛用ヘッドホンとの相性をチェック
今愛用しているヘッドホンを使いたい場合、ヘッドホンベースでヘッドホンアンプを選ぶことをおすすめします。
わかりやすいのが、端子ですね。ヘッドホンの端子には、以下のような種類があります。
アンバランス接続
- 3.5mm3極
- 6.3mm3極
バランス接続
- 2.5mm4極
- 4.4mm5極
- XLRジャック
- コンポジャック
XLRは少し珍しい部類ですが、「○○mm」と書いてあるものはすべてあまり珍しくはありません。
最も一般的な、PCに直挿しするタイプは3.5mmが多いです。
重要なのは、アンプがバランス接続に対応していてもヘッドホンがバランス接続用の端子を使っていなければ意味がないということですね。バランス接続に魅力を感じるけど今使っているものではダメ、ということなら思い切ってヘッドホンも買い換えないといけません。
さらに、ゲインによってもヘッドホンとの相性が変わります。
ゲインは、アンプに入ってくる音量を制御するもので、大きくするハイゲイン、小さくするローゲインがあります。
ボリュームは出力の音量を制御するのに対し、ゲインは入力時の音量を制御するものです。
小音量で入ってきた音を大きくして出すのか、大音量で入ってきた音を抑えて出すのかといったイメージですね。
よしぞー
このゲインを調節できる機能を搭載したアンプの方が、音質は有利だよ
どうして?
あや
原則として、ボリュームが高い方が音質が良いということを前述しましたね。たとえばハイゲインにしてボリュームを小さくすると、結局低音が聞こえにくくなるなど音質が下がってしまうことがあります。
難しいのは、ヘッドホン感度によってボリュームが変わるところです。感度が低いものだとボリュームマックスにしても小さかったりしますよね。逆に、感度が高いとボリュームを小さくしても普通に聞こえます。
感度が高いならローゲインでボリュームを上げ、感度が低いならハイゲインでボリュームも上げるという調整が出来たほうが音質を高く保ちやすいです。
ゲイン調節機能があるアンプは、どんなヘッドホンでも対応できます。
なるべく、ゲイン調節機能はあったほうが良いでしょう。
対応サンプリングレートやフォーマットをチェック
オーディオには、サンプリングレートというものがあります。
これは、サンプリング周波数と量子化ビット数を表すものです。ひとつひとつ、説明しましょう。
サンプリング周波数は、簡単に言えば音を1秒間に記録する回数のことを指します。大きい方がより記録回数が多くなり、繊細で豊かな音になるというイメージです。ハイレゾなんかは96kHzなどが一般的ですね。
kHzより大きい値として、MHzというのもあります。
量子化ビット数は、音声信号の振幅の大きさの段階です。16bitの場合、65536段で表現します。数値が大きいほどに、元の音源であるアナログ信号を忠実に再現してくれるんです。
後ほど触れますが、「DSD」というフォーマットでは1bitとなっています。
1bitは、音があるかないかの「0」か「1」かのみで音の濃淡を表現するということです。
この対応サンプリングレートにより、音質が異なります。
どれくらいの大きさに対応しているのか、チェックしておくと「これくらいの音質なのか」という目安にはなりますよ。
よしぞー
ハイレゾ対応か否かの目安にも使えるよ
サンプリングレートはわかったけど、じゃあフォーマットって?
あや
フォーマットは、簡単に言えば音源の種類ですね。ハイレゾもひとつのフォーマットと言えます。
ほとんどの音楽データは、PCMです。その中にハイレゾなど細い区分けがあるとイメージしておくと、わかりやすいでしょう。
フォーマットごとに音質や特徴が異なりますが、たいていはサンプリングレートと紐付いています。
DSDに対応しているかどうかチェック
DSDは、先程のPCMのような音源の種類のことです。
PCMに対応していないアンプは、ありません。一方DSDはとても変わった種類なので、対応していない機種もあります。
DSDは、SACDに採用されるようなものです。SACDはクラシックやジャズなどでよく見られる記録メディアで、高音質さとCDの約4倍のデータ量を持っているのが特徴となっています。この容量を活かし、アーティストや制作者が表現したかったものを再現するというのがSACDの魅力です。
DSDの特徴は、2.8MHz/1bitというサンプリングレートにあります。
サンプリング周波数がPCMと比べて、とんでもなく高く設定されているんです。1kHzは、0.001MHzです。そう考えると、差は火を見るよりも明らかですよね。
この高すぎるサンプリング周波数のおかげで、先述の忠実な再現が可能となっています。
一方、量子ビット数は「音があるかどうか」のみで濃淡を付けるというもの。
よしぞー
つまり、DSDは音の濃淡に焦点を当てて、それをとてつもなく繊細に記録する方式ということだね
クラシックファンは、対応したアンプを買ったほうがいいかも
あや
好みの音質かどうかをチェック
ここまで語ってきた理論的な話ではなく、これは非常に感覚的な問題ですが、好みの音質かどうかはとても重要です。
「大迫力な音が良い」という希望を持っている人が、音の解像度が高い鋭いサウンドのアンプを選ぶと「なんか違う」と思ってしまいます。高解像度の音は得てして鋭く、それでいて一定の音だけが強くなるということもありません。クセがないのが魅力ですが、低音がきいたド迫力さや高音がキラキラとした艶やかさを持つ華やかさには欠けます。
どのような音質かどうかは文字で語るのには限界があるでしょう。
もちろん参考程度に「こういう音質」ということは、これから語っていきます。
ただ、できるなら実際に店舗で試してみたほうが良いでしょう。
オーディオ専門店ならお試しもできそうね
あや
おすすめの据え置き型ヘッドホンアンプ・DAC4選!
長々と選び方を語ってきましたが、これだけの知識を得たらもうヘッドホンアンプを選べるでしょう。おまたせしました、今回の本題・おすすめの据え置き型ヘッドホンアンプ・DAC4つを紹介します!
iFi audio ZEN DAC
- 4.4mmバランス接続
- 6.35mmヘッドホンアンプ
- 4.4mmバランス&RCAライン専用出力
- 384kHz/32bitまでのPCM対応
- DSD256(11.2MHz)対応
- DXD,MQAも対応
- USBバスパワー&別売りACアダプタ駆動
- 低音ブーストスイッチ搭載
- ハイ/ローゲイン切り替えスイッチ東亜市
- ライン出力の可変/固定切り替え可能
主な機能や仕様を上記にまとめました。
特筆すべきは、対応しているフォーマットの多さでしょう。
PCMで実際に384kHzのサンプリング周波数になることはほとんどありませんが、これだけの対応幅があればハイレゾも十分に聴けます。
ハイレゾをCDで聴けるMQAにも対応していますし、どんな環境でも馴染むことができるでしょう。DSDに対応しているのも、嬉しいところです。本当に、DSD対応のオーディオ機器は少ないですから。
さらに、ゲイン切り替えもできます。
出力は案外大きく、アンプとしての駆動力は申し分ありません。音は高解像度のタイプで、落ち着いており角も無く安定したクセのないサウンドです。聴きやすく、ジャンルによる得意不得意が出ないのが利点となっています。
パワーがあり低音がしっかりしているのはもちろん、高音の良い質感が遠くまで広がるような不思議な感覚もあるんです。高解像度系にしては鋭さがなく、音の広がりも豊かなのでどんな人でも楽しめるでしょう。
万能選手です。
フォステクス HP-A4
- USB入力端子
- アナログ端子、デジタル光端子、ヘッドホン端子対応
- 44.kHZから192kHzまでのサンプリング周波数に対応
- 16bitと24bitPCM対応
- 2.8MHz/5.6MHzのDSD対応
- ゲイン切り替えスイッチ搭載
- 非同期モード採用
- ファームウェアアップデート対応
DSDに対応しているだけでなく、より高音質な5.6MHzにまで対応しています。PCMもハイレゾ音源の中でも高水準な192kHzに対応しているのが嬉しいところです。ハイレゾは専用ソフトと組み合わせることで、手軽に楽しめます。
地味に嬉しいのが、再生中の曲が何Hzなのかをランプで示してくれる機能です。
DSDの場合は「DSD」ランプと、どちらのサンプリング周波数なのかを示す数字ランプが点灯します。
ゲインの切り替えもでき、さまざまなヘッドホンに対応しているのも強みです。
音質に関しては、どんなヘッドホンでも臨場感がアップします。音がより楽しいものになる、と表現するのが適切かもしれませんね。ヘッドホンの真の実力を思う存分発揮させることができます。
ただ、ボリュームを小さくすると音がやや不安定になる傾向があるので注意が必要です。
EPOS/SENNHEISER GSX-1000
- USB接続対応
- 96kHz/24bitのPCM
- 7.1chバーチャルサラウンド搭載
GSX-1000は、ゲーミングアンプです。音楽用のヘッドホンアンプと違い、幅広いフォーマットへの対応やゲインの切り替えなどに関しては、オミットされています。それでも96kHz/24bitとハイレゾ音源を聴ける程度にはあるので、十分でしょう。
特徴的な部分が、いくつかあります。
まず、イコライザ設定を本体で弄れるということです。Musicに選択すると低音域が強くなります。セットアップする必要もなく、「設定で音が変わる」という現象を手軽に楽しむことが可能です。
最も良いところは、バーチャルサラウンドでしょう。音の定位がとても良く、ヘッドホンでありながらも複数ユニットを搭載するスピーカーを配置したかのような臨場感が得られます。
単純な音質というより、臨場感溢れる「楽しい」音楽体験を向上させたい人向けです。
ただ、音楽だけが目的なら音楽用のものを買ったほうが良いかもしれません。
ゲーマーのあなたみたいな人にぴったりな商品よね
あや
よしぞー
そうだね、ゲームも音楽も楽しくしたいという欲張りさんにぴったりだ
FiiO K5 PRO
- 768kHz/32bit PCM
- DSD512(22MHz DSD)対応
- 繊細な音量調節が可能
- ゲイン調整機能あり
- 光デジタル入力端子搭載
一見機能豊富に見えますが、実はかなりスッキリしています。フロントパネルには端子、ボリュームコントロールのつまみ、ゲインの切り替えスイッチなどが整然と並んでいるだけです。初心者がひと目見てわかる構成となっています。
比較的価格は安いのですが、それでもDSD対応と高い性能を持っているのも特徴です。
さらに、あらゆるハイレゾファイルを変換による音質劣化を気にせずに再生できます。ハイレゾがより高音質に聞こえるので、ハイレゾ音源が好きな人は必聴ですよ。
アンプとしての駆動力も高く、ゲインの調整も可能。この駆動力とゲイン調整により、どんなヘッドホンとも相性が良くなっています。
音は、全くクセがなく全体的な音の解像度が高いという印象です。上品かつ質の良い音、と言えば良いのでしょうか。ライブで一番良い場所に陣取っているかのような、クリアかつダイナミックな音の聞き分けができます。
低域から高域までのバランスも良く、奥行き感、臨場感も抜群です。
万人受けするでしょうし、これまでヘッドホンアンプを使ったことがない人ならあまりの音の違いに感動できるでしょう。
自分好みのヘッドホンアンプ・DACで高水準の音を楽しもう!
ヘッドホンアンプは、音が大きく変わる部分です。近年はほとんどのヘッドホンアンプがDACを搭載しており、音の変化と広がりは従来以上となっています。自宅での音楽体験は、据え置き型ヘッドホンアンプ・DACがあれば大きく変わりますよ。
自分好みのものを見つけ、高水準の音を自宅でじっくり楽しみましょう!