ゲーム配信をする人や、ゲーム中にボイスチャットをよくする人の中には、ゲーミングミキサー(オーディオインターフェイス)の導入を考えている人もいるでしょう。
※厳密にはミキサーとオーディオインターフェィスは違うのですが、オーディオインターフェイスとしての機能を併せ持つミキサーも多いので、本記事中では「ミキサー」で統一します。
ただ、ミキサーがなくてもボイチャや配信自体は可能です。わざわざ高いお金を出してまで導入する意味はあるのかと、迷っている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ボイチャやゲーム配信におけるミキサーのメリットと、ゲームに特化したゲーミングミキサー・おすすめオーディオインターフェイスを紹介します!
目次
ゲーム配信でのオーディオインターフェイス・ゲーミングミキサーのメリットは?
ゲーム配信におけるミキサーのメリットは、ボイチャで使うときよりも大きいです。実際、多くの配信者がミキサーを使っています。そこで、ゲーム配信におけるミキサーのメリットを5つ紹介しましょう。
音質が良くなる
ミキサーを使って配信をすると、音質が良くなります。配信中、または録音中にノイズが入ることに悩まされているなら、導入するメリットは大きいです。ミキサーはノイズを低減させてくれますから。
ホワイトノイズは視聴者にとって大きなストレスになるので、消すに越したことはないでしょう。
ミキサーを使うことで劇的に音質が変わることはありませんが、ノイズが少なくなるだけでもより高音質に聞こえますよ。
プロ仕様マイクを使えるようになる
ミキサーを使うと、プロ仕様のマイクを使えるようになります。
ゲーム配信で入門用として使われるマイクは、ほとんどがPC用マイクです。PC用に作られているものは、USB接続・オーディオ端子接続どちらでも直接PCに接続できます。
ただ、よりグレードの高いマイク、たとえばプロ仕様のマイクはほとんどがPC用ではありません。ミキサー、オーディオインターフェイスなどに接続する必要があります。
最近ではUSB接続のコンデンサーマイクが登場してきてPCに接続はできますが、本格的なミキシングはできません。
配信をより良いものにしていこうとするのであれば、ミキサーは必須です。
音量調整がしやすい
ミキサーを使うと、ゲーム音声とマイク音声との調整がよりしやすくなります。マイクの音量調整を手元のつまみで調整できるので、音量バランスが悪いというコメントが来たときに対応しやすいです。
さらに、配信中は自分でもゲーム音を聞くことになります。
配信での聞こえ方と、自分のヘッドホンでの聞こえ方は違うんです。配信では音が小さいと言われても、自分のヘッドホンでは音量が大きすぎて耳が痛いということにもなりえます。
整理すると、下の音声を調整できなければ良い配信につながりません。
- 視聴者が聞くゲーム音声
- 視聴者が聞く配信者の声
- 配信者が聞くゲーム音声
- 配信者が聞く自分自身のマイク音
ゲーミングミキサーがあればミキサーにマイクやヘッドホンを挿してPCに接続することで、ミキサー側でマイク・ヘッドホンの音量調整が可能です。
つまり、配信上でも自分の環境でも適切な音量にコントロールできるということです。
Roland BRIDGE CASTのようなゲーム配信に特化したゲーミングミキサーだと、配信側が聞こえるゲーム音、自分の声、配信先が聞こえるゲーム音・配信者の声を別々で細かく設定することが可能。
ゲームに適したイコライジングが可能
ゲーミングミキサーは配信をするためのツールだけでなく、ゲームサウンドを最適化して自分自身の耳に届けてくれる製品も登場しています。
特にAPEXやフォートナイトなど、FPS/TPS系ゲームでは敵の位置や銃声がどこから聞こえてくるのかを確認する定位感を掴むことが非常に重要です。
敵の足音や銃声などのしっかりと聞きたい音の周波数帯をイコライザーで持ち上げることによって、ゲームをより優位に進められるイメージです。
サウンドエフェクト機能によってこだわりのある配信が可能
ゲーミングミキサーやオーディオインターフェイスの中には、サウンドエフェクト機能を搭載し、配信中にさまざまな音を入れたり、ボイスチェンジャーで自分の声をカスタマイズして配信できるものもあります。
自分の生声で配信するのは身バレに繋がるからちょっと変えたい、女の子の声でバ美肉やりたい、配信中に効果音を入れて盛り上げたいといった要望にも応えてくれますよ!
ボイスチャットにまでミキサーは必要?
ゲーム配信におけるミキサーのメリットは、先述したとおり大きいです。配信上で適切な音量バランスに整えたまま、自分の環境でも音量バランスを適切に整えることができますし、プロ仕様のマイクも使えますから。
ただ、ボイスチャットにまで必要かどうか、首をかしげる人もいるでしょう。
こればかりは、絶対に必要というわけではありません。
ボイチャを楽しんでいるとき、ゲーム音にかき消されて相手の声が聞こえなかったりすることに悩まされている人は、購入しても無駄にはならないでしょう。
コンシューマゲームを遊ぶ場合、ゲーム機とミキサーを繋ぐことで、ゲーム音量とボイチャの音量を調整しやすくなり、こちらのマイク音量も調整しやすいです。
コミュニケーションがより円滑になり、ゲームとボイチャをこれまで以上に楽しめるようになりますよ。
私はSwitchでボイチャしたいだけなんだけど
あや
精度にこだわってるわけじゃないんだ。Switchでヘッドセット付けてスプラトゥーンやりながらスマホでボイチャしたいだけなんだという方は、エレコムから発売されているゲーミングミキサーが便利ですよ。
機能は最低限ですが、2000円程度で事足ります。
ゲーム配信におすすめゲーミングミキサー・オーディオインターフェイス8選
ゲーム配信、ボイチャにはミキサーがあったほうがより楽しめるという話をしてきました。必須とは言い切れないまでも、悩むのであれば導入したほうが良いかもしれません。そこで、ゲーム配信やボイチャに使えるおすすめミキサー・ゲーミングミキサーを8つ紹介します。
Roland BRIDGE CAST
BRIDGE CAST は2023年1月に発売されたゲーミングミキサーです。
現在発売されているゲーミングミキサーの中では、圧倒的に細かなレベルでさまざまな音声を調整することが可能。
配信者自身が聞こえる声やゲーム音、そして視聴者が聞こえるゲーム音や声、また音声チャットの声などをそれぞれ独立して調整することが可能です。
もちろんコンデンサーマイクやダイナミックマイクなど、音響で使われるプロフェッショナルマイクも装着できるとともに、ゲインは75dBまで上げられます。
そのため、ダイナミックマイクのような音量を取りづらいマイクであっても、ブースターなしで使用することが可能です。
また、Roland社の音響エンジニアが徹底的にチューニングを追い込んだ、各ゲームに特化したサウンドチューニングも必見。
APEXやFortnite、CoD、VALORANTなど有名なFPS/TPS向けにチューニングされたプリセットが用意されており、敵の足音や銃声の位置が驚くほど鮮明に聞こえてきます。
合わせてエフェクトやボイスチェンジャーも秀逸で、より自然な音での声やエフェクトを作り込めるのもBRIDGE CASTの強みです。
2023年現在、最強のゲーミングミキサーを求めるのであればBRIDGE CASTを外すことはできません。
YAMAHA ZG01
YAMAHAから2022年に発売されたゲーミングに特化したゲーミングミキサーです。
ゲームボイスチャットやゲーム配信の為に設計されており、ゲーム音、ボイスチャットの声、チャット相手の声を整えつつ、ボイスチャット相手や配信先の視聴者に対し理想的な音声を届けます。
マイク接続は3.5mmジャックと合わせXLRにも対応しており、高性能なマイクを接続できるのもZG01のメリットです。
また、ボイスチェンジャーや、ゲームのサラウンド音声のエフェクト機能も充実。ゲームにあわせた設定が可能で、例えば敵の足音にフォーカスするなど、FPSをより優位に戦うための調整も可能です。
2系統のHDMI入力とパススルーに対応したHDMI出力端子を搭載し、画面を切り替えるスイッチャーとしても使えますよ。
上で紹介したBRIDGE CASTとZG01はどちらもゲーミングに特化したゲーミングミキサーです。
よりこだわった音響を整えたいのであればBRIDGE CAST、よりライトに楽しみたいのであればZG01という棲み分けです。
YAMAHA AG03 MK2
配信者の使うライブストリーミングミキサーとして人気なのが、YAMAHA AG03 MK2です。
スタンダードな機種なので、どれを買うか悩んだときに選択肢として取っておくと良いでしょう。もちろん、第一の選択肢としても十分すぎる性能を備えています。
AG03 MK2は、ミキサー型のオーディオインターフェイスです。ミキサーとしてだけでなく、オーディオインターフェイスとしても使えるので作曲をする人でも使えます。
接続はマイク端子ひとつと、ヘッドセット用端子がひとつ、スマホ・音楽プレイヤーを接続する端子がひとつです。音量調整だけでなく、イコライザー、コンプレッサー、リバーブ、アンプシミュレーターの4つのエフェクトも使えます。
ライブ配信でPC・スマホで流しているBGM・音とマイクの音とを合わせて出力できる、ループバック機能も搭載。もちろん、それぞれ分けて出力することもできます。
小さい機体に必要な機能が全て揃っているので、とてもおすすめです。
YAMAHA AG06 MK2
YAMAHA AG06 MK2も、03と同じく人気です。ナンバーは03よりも後の数字になっていますが、発売時期は同じなので、後継機というわけではありません。純粋な上位機種となっています。
違いは、マイク端子が2つあることです。これで、複数人でのオフライン配信もしやすくなります。
上位機種と言っても他に違いは無いので、複数人で配信する機会の有無によって選ぶと良いでしょう。一人で配信するスタイルならAG03、二人以上で配信するスタイルならAG06がおすすめですよ。
Steinberg UR12
UR12は、Steinbergの製品の中では入門モデルという位置づけです。価格は1万円程度ですが、ゲーム配信やボイスチャットに必要な機能は全て揃っています。
端子はマイク用と楽器用がひとつずつです。2in2outという方式ですね。各メーカーの入門モデルはほとんど、この構成になっています。YAMAHAのAG03もそうですね。
特筆すべきは、1万円程度で買えるのにループバック機能も搭載していることです。スマホとも接続できますが、ループバックはスマホでは使えません。
ステレオ仕様のアプリだと、INPUT1は左からのみ、2は右からのみしか音が出ません。そこは注意が必要です。nanaパーティ、トピアなどスマホの配信サービスを使う場合には覚えておきましょう。
音質も1万円にしては十分すぎるほど良好ですが、AG03には劣る印象があります。内蔵エフェクトはありません。エフェクトは付属のDAWソフトを仲介すればかけられますが、ハウリングする可能性もあるので、注意が必要です。
UR12を使う場合は、エフェクトはOBSなどの配信ツールでかけたほうが良いでしょうね。
安くてループバックを搭載した機種が欲しい人には、おすすめです。似た価格帯で内蔵エフェクトが欲しい人は、YAMAHAのAG03の方が良いでしょう。
Steinberg UR22C
入出力はマイク端子と楽器用端子がひとつずつの、エントリーモデルにありがちな2in2outとなっています。オフライン複数人で配信するときには不便に感じることもあるかもしれませんが、一人だけでゲーム配信をするなら何の問題もありません。
我が家では歌みたする際にも活用しています。
特徴的なのは、USB3.0(USB-C)に対応しているということです。これにより、高速通信が可能になるうえに、給電能力が高くなります。その恩恵のひとつが、192KHz/32bitの高音質に対応しているということです。
簡単に言えば、早くて高出力になり音質もよくなるということですね。
DAWソフトの「CUBASE AI」も付属します。
配信に使えるループバック機能も搭載。マイクの音とPCの音とのバランス調整も、MIXタブひとつ動かすだけで可能です。モノラルの切り替えもボタン一つですし、かなり扱いやすい印象があります。
つまみやボタンの数も、比較的少ないです。YAMAHAのAG03は少しボタン数が多く、覚えるのに少しだけ時間がかかりますが、Steinberg UR22Cにその心配はありません。その分、本体操作によってできることはAG03より少ないので、ここは好みですね。
ただ、付属の「dspMixFx」というソフトを使うことで、エフェクトなど、AG03同等の機能を得ます。ループバックもこのソフトを介して行う形です。
本体で操作できることは割り切り、後の操作はソフトに任せることでコストをカットしているのかもしれませんね。
価格はAmazonで2万円程度です。
とはいえ、音質はかなり良いので、2万円出せるという人にはおすすめです。
我が家で愛用しているのもこのオーディオインターフェイスです。
TASCAM US-2×2-CU
言うまでもないかもしれませんが、入出力は2in2outです。TASCAMの中でも、エントリーモデルという位置づけになっています。4×4という4in4outの上位機種もありますが、ゲーム配信なら、エントリーモデルで十分です。
音質はサンプリングレート96kHz/24bitではあるものの、ゲーム配信においては必要十分といったところ。音のレンジは若干広めなので、演奏の録音などに使うにも良いかもしれません。堅実な音作りをしてくれるという印象があります。入力レベルが上がらないというトラブルもありませんし、レベルを上げることでノイズも乗っかってしまうということもありません。
非常に安定感があり、頼りになります。
もちろん、ループバックも可能です。
USB2.0パスパワー接続もできますし、ACアダプターによる外部電源も使えます。これにより、特定条件下で発生する電源ノイズが発生しなくなるんです。
目立った機能はあまりありませんが、堅実にノイズをしっかり取り除きたい人、とりあえずループバックができればいいという人には向いています。
価格はAmazonで1万1000円程度です。
2021年現在は「2×2 HR」という別シリーズの同系統機種の方が入手しやすいですが、そちらは価格が1万7000円程度にまで上がります。HRの方が音のレンジが広く、音質も良く機能面も強化されているので、CUが見つからなかった場合にはHRの購入も考えると良いかもしれません。
Roland RUBIX-22
Roland RUBIX-22も、例のごとく入門機です。Steinberg UR22と、よく比較されます。
入出力は2in2outと、入門機のベーシックな形です。接続はUSB2.0によるパスパワー接続となっており、PCから電源供給しながらPCに出力してくれます。音は192kHz/24bitが最大です。音質は入門機としては、かなり良いですよ。
音はフラットな印象があります。ノイズもかなり低減されますし、ゲーム配信や雑談で使うにはぴったりな音作りです。とにかく、ノイズの少なさに力を入れています。演奏をしたときの印象は、「中~高音域に強い」という感じで、ギターなどに向いているのではないでしょうか。
コンポジャックはXLR・LINE両対応ですが、ゲーム配信だけなら特に関係はありませんね。この機種は「ゲーム配信もしたいし、音楽配信もしたい」という人に、特に向いています。もちろん、ゲーム配信だけでも使いやすいです。
機能はシンプルにかなり削られており、操作系統もひと目でわかります。扱いやすいので、ミキサーやオーディオインターフェイスは難しそうだと足踏みしている人にも、おすすめです。
ただ、ループバック機能はありません。OBSなどで調整するしかないでしょう。
価格はAmazonで1万8000円程度です。機能が削られているだけに高く感じてしまうかもしれませんが、鬼の敵のようにノイズは許さないという人には強く勧められます。
雑談、ゲーム、音楽全てにおいて使いやすいのも良いところですね。
より快適にボイチャ・配信がしたいなら導入を考えよう!
ミキサーはゲーム配信者にとって必需品ではありませんし、ボイチャならなおさらです。ただ、環境構築の予算に余裕があるなら買っておくと得をします。配信の音のクオリティが上がりますし、ボイチャもクリアに楽しめますからね。
特に配信者の場合、音量バランスや音質が悪いと、視聴者は配信者が一声発しただけでブラウザバックしてしまいます。意外と重要なんです。
より高いクオリティで快適に配信やボイチャがしたいのであれば、ミキサーの導入を考えましょう。