メリディアン・オーディオが開発した、新しいハイレゾ音声コーデックMQA。
ハイレゾ相当の音源は昔からあるものの、浸透してきたのは最近の話です。今ではハイレゾ対応のDAPというのもほとんど当たり前のようになってきていますが、そんな中で近年プッシュされているのがMQAというフォーマット。
ただ、MQAとは何なのか、いまいちよくわからないという人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、MQAフォーマットの魅力と、MQAを聴く方法、MQA対応機種について詳しく紹介します!
目次
MQAフォーマットの魅力とは?
MQAフォーマットの魅力は、その仕組にあります。魅力を知ることで、どのようなフォーマットなのかを知ることになるんです。そんなMQAの魅力は、大きく3つあります。それぞれじっくりと、なおかつ簡単に見ていきましょう。
ハイレゾなのにデータ容量が小さい
ハイレゾ音源の良いところは、音が良いことですよね。人間の可聴域を超えた音の幅を出せ、解像度が高くそれぞれの音をしっかり聴くことができます。情報量が多いわけですが、その分、データ容量も大きくなりがちです。
非圧縮ほどではないものの、ハイレゾの主流となっているFLACはオリジナルのマスター音源に比べて半分くらいにしか圧縮できないんですよ。
MQAは、ハイレゾ音源でありながら、データ容量が小さいんです。しかも、一般的なハイレゾ音源よりも最大サンプリング周波数が高いにもかかわらず、一般的なハイレゾより小さくなるんですよ。
どういうことか。
MQAに長く携わっている人は、「音を折りたたむ」という表現を用います。
ちょっと何言ってるかわからないです
あや
MQAをエンコードする前は、WAVという非圧縮形式になっています。これを音のボケを少なくしつつ、音を削り取って容量を減らすのではなく、折り紙のように折りたたんで容量を減らしているということです。
わかりやすく言えば、情報を削らずに圧縮するような技術を用いているということでしょう。
これにより、ファイルサイズがかなり小さくなるんです。
ハイレゾのデメリットをカバーできるということで、注目されているうえに、プッシュされているんですよ。
CDでハイレゾが聴ける
先程、MQAはハイレゾなのに容量が小さいと述べました。これにより、普通のCDにハイレゾ音源を入れることができるようになるのも、MQAの魅力です。
通常、FLACなどのハイレゾ音源ではCDには入りません。容量が大きすぎるためです。だからハイレゾ音源は音楽配信サイトでのダウンロードや、音楽サブスクでのオンライン再生で聴くのが一般的ですよね。
それを、MQAならCDに入れることができるんです。
MQA入りのCDをMQA-CDと呼んでいるんですが、物理的にも製造工程的にも通常のCDと何も変わりがありません。
つまり、専用ディスクを生産することなくハイレゾをCD化できるというわけです。
これはレコード会社にとっても、ユーザーにとってもメリットがあります。
やはり、好みな音源はパッケージとして持っておきたいという人もいますからね。
特にクラシックなどは、パッケージでステレオで聴きたいという人が多いので、かなり需要があります。
音の分離がハッキリしている
MQA音源は、サンプリング周波数192kHzまたは352kHzであることが多いです。量子化ビット数は24bitと、数値上ではかなり音が細かく解像度が高いように感じられます。
実際に聴いてみると、FLACなどのPCM音源のハイレゾよりも、音のまとまりが良い印象があるんです。全体的に澄み渡るような透明感があり、粗さが全くありません。特にクラシックとの相性が良いように感じられます。
というのも、音の分離がとても良いんです。
よしぞー
音の分離は、各楽器やヴォーカルの音がしっかり聞き分けられるかどうかという考え方だね
クラシック、ジャズを聴けばその分離の良さに感動します。特にベース、パーカッションといったリズム隊がしっかり引き締まっているように感じるのが魅力的です。
サブカル音楽によくあるチップチューン的な音色との相性もよく、シンセサイザーの音も粒が細かく聞こえます。
ロックは少し勢いが無いように感じられるものの、迫力がないというわけではありません。メタル的な要素のある激しいロックより、オルタナティブ・ロックとの相性が良いでしょう。
MQA音源の問題は? MQAを聴く方法とは
ここまでMQA音源の魅力を語りましたが、MQA音源にも問題はあります。
それは、聞く機会が少ないということです。 e-onkyo musicなどMQA音源を配信しているサイトもありますが、分母と比べると数が多いわけではありません。MQA-CDも決して数が多いとは言えず、さらに音源を手に入れても対応機種が少ないという問題があるんです。
じゃあMQA音源音源を聴くにはどうしたらいいか。
まず、MQA-CDを購入して対応プレイヤーで再生するという方法があります。
続いて、MQAのデータを手に入れて対応DAPやDACなどを使って再生するという方法です。
どちらかと言えば、後者のほうが簡単にMQAを聴くことができます。近年のMQAはCDより音楽データ販売に力が入っているようで、データの方が圧倒的に幅が広いです。MQAに対応したDAPにそのデータを入れれば、どこでも聴けるので楽ですよ。
具体的に、どんな機種が対応してるの?
あや
よしぞー
それをこれから見ていくよ!
MQA対応機種を6つ紹介!
MQAを聴くには、対応するDACやDAPを使う必要があると説明しました。普通のPCやスマホ、プレイヤーなどでは再生ができませんから。そこで、MQA対応機種を6つ紹介しましょう。
ifi ZEN DAC
- 4.4mmバランス接続
- 6.35mmヘッドホンアンプ
- 4.4mmバランス&RCAライン専用出力
- 384kHz/32bitまでのPCM対応
- DSD256(11.2MHz)対応
- DXD,MQAも対応
- USBバスパワー&別売りACアダプタ駆動
- 低音ブーストスイッチ搭載
- ハイ/ローゲイン切り替えスイッチ東亜市
- ライン出力の可変/固定切り替え可能
対応フォーマットが多い、定番のDAC入りヘッドホンアンプです。最大サンプリング周波数は384kHzと、圧倒的な対応幅を持っています。MQAにも対応し、DSDにも対応。MQAもDSDも比較的特殊なフォーマットですが、これを両方搭載しているのが良いところですね。
6.35mmシングルエンドに、4.4mmバランス対応。本機は筐体がコンパクトな分、いくつもの端子を搭載することができません。ある程度絞らないといけないわけですが、そこでシングルエンドとバランス駆動を1つずつ搭載しています。
どちらも大型の端子です。実際に使うときには、使うイヤホンやヘッドホンによって端子が異なるため変換アダプターを使う人も多いでしょう。変換アダプターを使うなら、端子への負荷を考えると、メス側の端子が大型な方が都合が良いです。
この構成は、非常によく考えられていると関心させられます。
2021年6月からは値上げとともに、仕様変更が入りました。
これまではMQAレンダラー対応ということだったのが、MQAフルデコード対応になったんです。
どういうこと?
あや
簡単に言えば、両者は折りたたまれたMQAは音源を展開する方法が違うというイメージです。その違いにより、フルデコード対応のほうが音質が良くなります。
つまり値上げはしたけどMQAを最高の音質で聴けるということだね
iFi audio hip-dac
- 4.4mm5極バランス出力対応
- 384kHz/32bitまでのPCM音源に対応
- 352.8/384kHzのDXDに対応
- DSD対応
- MQAレンダラー対応
- 重量:125g
- 連続再生時間:8~12時間
hip-dacは、バッテリー内蔵型のポータブルアンプです。スマホやDAPに接続して、持ち歩いて使うことができます。しかもバッテリー内蔵なのでスマホやDAPのバッテリーの消費が激しくなる、ということもありません。連続再生時間的にも、1日の外出くらいには使えますよ。
さらに、低価格のエントリーモデルでありながらバランス出力対応、DSD対応、MQAレンダラー対応とフォーマットの幅が広いのが魅力的です。
同社のポータブルアンプのフラッグシップモデルになるとMQAフルデコードに対応していますが、エントリーモデルでレンダラー対応というのも価値があるのではないでしょうか。
機能性はかなりシンプルなので、初心者でも扱いやすいです。
ゲインSwitchもあり、ハイローの切り替えが可能。低価格のポタアンでゲイン調整まであるのも、嬉しいところですね。
音は迫力が良い印象があります。MQAだとフォーマットの特性的に迫力は抑えめになりますが、その分高解像度。PCM音源はド迫力で、低音が太く盛り上がり、高音は激しさを感じる良い調整です。
ただ、家でPCM音源を聴くときには少しくどいかもしれません。MQAならくどさはそこまで感じないかもしれませんが、やはりアンプという特性上、多少は製品の特徴が出てくるため少し聴き疲れがあります。
fiio M11 Plus LTD
- 最大連続再生可能時間:約11.5時間(アンバランス)
- バランス出力時:約10時間
- バッテリー容量:6000mAh
- 対応サンプリングレート:384kHz/32bit DSD256/1bit
- MQA×8デコード対応
- DACチップ:AK4497EQ×2
- アンプ回路:THX AAA-78×2
- OS:FiiOカスタム仕様のAndroid10
- 重量:310g
- 幅75.7x高さ136.6x厚み17.6 mm
- L/M/Hの三段階のゲイン調整が可能
- All to DSD変換機能
本機は、M11ProなどM11シリーズの第3弾です。同シリーズの特徴として、Androidを搭載しているということがあります。これにより、ストリーミングサービスの利用が可能です。他にも様々なアプリを使い、スマホのサブ機のような扱いもできます。
MQAはレンダリングではなく、デコードに対応。しっかりとした音質でMQA音源を楽しむことができます。
さらに、本機は新世代フラッグシップ高性能DACチップをデュアル搭載。ノイズ耐性が向上し、繊細な音の表現を可能としています。
アンプ回路もデュアル搭載。
音の消え際の表現力が高く、音のディテールまで忠実に再現してくれるのが本機の特徴であり強みです。レコーディングスタジオにいるかのような、臨場感と再現性を楽しむことができます。
解像度がかなり高いMQA音源との相性はとても良く、サブスクのハイレゾ音源を楽しむのにも、MQAを楽しむのにも最適です。
そのうえ、PCM音源をDSDに変換してアナログ信号に変換する機能も搭載しています。通常のPCMとは質感の違い、自然かつ透明感溢れる音になるのが特徴です。
音の傾向自体は、フラット。全体的に透明感があり、中高域は特にクリア。女性ボーカルとの相性が抜群であると同時に、MQAのクラシック音楽などとも相性が良いでしょう。
ゲイン調整も可能です。
とにかく基本性能が高く、機能も豊富なDAPということですね。
よしぞー
残念なのは、新しめの機種なのに新品がなかなか手に入らないこと
限定だったみたいだしね
あや
Sony NW-A100 series
- 連続再生可能時間:最大26時間
- 充電時間:満充電まで約5.5時間
- 容量:16GB
- 重量:約102g
- サイズ:幅55.9×高さ98.9×厚み11.0mm
- OS:Android 9.0
- FLAC,MQA,DSD対応
- 3.6型ディスプレイ
- DSEE HX搭載
- バイナルプロセッサー搭載
- ストリーミング対応
上記はNW-A105の基本的な仕様ですが、基本仕様はほとんどシリーズ共通となっています。ここでは、特に人気のあるA-105を軸に紹介しましょう。
対応フォーマットも全て同じで、NW-A100シリーズならどれを選んでもMQAには対応していますよ。
形式はネイティブデコードとなっています。より自然かつ高音質なMQAサウンドを楽しむことが可能です。DSDも同様。ここはソニーのこだわりなのかもしれませんね。
Androidを搭載しているところも、良いところです。スマホの代わりのような使い方もできます。デザイン的にも小さなXperiaといった感じです。どちらもSONY製ですからね。
機能的には、レコードのようなアナログ音源に近い音を楽しめるバイナルプロセッサー、あらゆる音源をハイレゾ相当にアップスケーリングしてくれるDSEE HXと、とても充実しています。
音の傾向は、高解像度で分離が良いといったところです。
PCM音源でも各楽器の音の分離をしっかりと感じることができます。それでいて、低音にしっかりとしたキレが感じられるのが良いところです。曲の空気感、残響まで細かく捉えて鳴らしてくれます。
音の特徴的に、ハイレゾやMQA音源との相性はとても良いでしょう。
よしぞー
Walkmanの中では比較的安価なのもいいところだね
コスパは大事!
あや
HiBy R5
- 連続再生可能時間:最大18時間
- 充電端子:USB-Type C
- サンプリング周波数:384kHz
- 記憶容量:16GB
- 搭載OS:Android8.1
- DAC:CS43198×2
- CPUコア数:4
- アンバランス接続:3.5mmシングルエンド
- 4.4mmバランス出力端子対応
- DSD,FLAC,ALAC,MQA対応
バランス接続が可能で、Androidを搭載していてストリーミングも楽しめる高機能でハイコスパのDAPです。当たり前のようにさまざまなフォーマットに対応し、DSDとMQA両方再生できるのが強みですね。
HiByは比較的新規参入とも言えるメーカーですが、OEMでの研究開発と生産では10年以上続いており、中国メーカーとしては信頼がおけます。そもそも、近年デジタル機器は中国がとても強いです。中国メーカーは質が悪いという認識は、最近は通じません。
音の傾向は、濃密で情報量が多く、音の粒立ちが良いフラットな音といったところです。
特定の音程を強調することがないので、聴き疲れもありません。楽曲は進むにつれて音の数が増えることが多いですが、音の数が増えていったとしても全て綺麗に鳴らしてくれます。分離感も結構良いです。それぞれの音の輪郭がくっきりとしており分離が良いので、MQAはとの相性も抜群。
もちろん、Amazon Music HDなどのストリーミングでハイレゾ音源を楽しむのにも向いています。
ギリギリエントリー機といえる価格帯のDAPですが、ミドルクラス以上と言われても納得するほどの出来です。
iBasso DX160 ver.2020
- 連続再生可能時間:最大約12時間
- 容量:32GB
- OS:Android 8.1
- 重量:181.5g
- サイズ:幅69×高さ123mm×厚み15mm
- Bluetooth 5.0
- Bluetoothレシーバー機能あり
- 5インチディスプレイ
- DSD,FLAC,MQAなど対応
3D曲面仕上げの背面デザインが特徴的で、見た目にも美しい所有欲を満たしてくれるDAPです。
カラバリもブラック、シルバー、レッド、ブルーと人気の色の中から選べます。デザイン重視でDAPを選びたい人にもおすすめです。
端子は3.5mmヘッドホン端子と、4.4mmバランス端子の2つとなっています。Androidを搭載しており、操作感覚はほとんどAndroidスマホと変わりません。ストリーミングサービスも使えます。Chromeも標準でインストールされており、ブラウジングも可能です。
フォーマットはMQA,DSD含めて、さまざまな形式に対応しています。
音はとても良く、高音がキラキラとして聞こえるのが特徴的です。解像度が高く、クリアでありながら立体感と奥行き感もしっかりあります。ハイレゾらしさ、MQAらしさを味わうのにぴったりな音です。
味付けは、外で聴くことを考慮してか、少し派手気味。とはいえ、家で聴いても疲れにくい程度にまで、味付けの濃さは抑えられているので安心です。
変わった機能は特にありませんが、だからこそ基本的な性能・音質の良さに注力できているような印象があります。価格帯的にもあれこれ詰め込むのは難しいですし、デザイン性と音質の良さとMQA対応というだけでもお釣りが来るくらいでしょう。
エントリー機でありながら性能が良いので、コスパも高いですよ。買って後悔しない入門機です。
MQA音源で淀みのない音を楽しもう!
MQA音源には、高解像度・高音質でデータ容量が小さいという魅力があります。PCMのハイレゾ音源よりも音の粒がハッキリとして分離が良く、さまざまな音をしっかり聴くことができるので、音を楽しむというにふさわしいフォーマットです。
対応するDAPやポータブルアンプなどがあれば、簡単に聞くことができます。MQA音源を配信サイトなどで手に入れて、対応機種を使って、音を最大限楽しみましょう!